第50話 遊園地ダブルデート開始
翌日——。
ひかりと梓は別の場所で待ち合わせして、都内某所の遊園地へと向かった。
向かうと真希がすでに待っていた。
真希は白く透明感のあるメイクをして、可愛らしげのあるロングスカート姿で気合が入っていた。
まるで、モデル雑誌から出てきたかのようだった。
「真希、おはようございます!」
「ひかりちゃん、梓ちゃん、おはよう!」
「おはようございます」
真希は今日は一段と気前が良く、太陽のような笑顔をしていた。
「今日はキマってますね!」
「当たり前だから!——私、変じゃないよね?」
「めっちゃ可愛いです!!」
「うん、派手すぎず、ちょうどいいです」
「梓ちゃん、それ褒めてるの?」
「褒めてます」
真希が自分の服装を見せびらかすようにして聞き、2人は口々に褒めて言った。
「真希、メイク上手いですね! どこで学んだんですか?」
「私の友達にメイク上手い子がいて、教えてもらったの」
「真希の方が上手いんじゃないですか?」
「えー、ほんと! でも、ガチで上手いんだよ! 今度会わせてあげる!」
「ありがとうございます! でも、アタシは真希に教えてもらいたいです!」
「もう〜ひかりちゃんたら〜!」
ひかりと真希は雑談に花を咲かせた。
真希は有頂天の気分で照れたように楽しく話していた。
ひかりは煽てるつもりはなく純粋に思っていることを、明るく伝えた。
梓は興味がなく、話に入らずに周りを見ていた。
すると、蓮斗がこちらに来ているのが見えた。
「あっ、蓮……」
梓は途中で口をつぐみ、絶句した。
「蓮斗来たの?」
真希が周りを見渡そうとした時、梓はゴキブリ並みの速度で、真希を強引に後ろに向かせた。
「えっ、ちょっと、梓ちゃん」
「どうしたの、梓?」
「あっ、背中にゴミがついてるんで取ってます」
梓は慌てた様子で嘘をついて、真希の背中を指でカリカリした。
「ひかりはあれを見て!」
梓が蓮斗の方を指差して、ひかりは不思議に思いながらも見た。
「あっ、蓮……」
ひかりも梓と同じく絶句して、地蔵のように固まった。
なぜなら——蓮斗の服装は……シャツの真ん中にデカデカとドクロマークが印刷されており、脚にピッタリのズボンで、高校生とは思えなかった。狂気の異質そのものだ。
「えっ? 蓮斗来てるの? 梓ちゃんまだなの?」
「まだです。蓮斗さんに見せるわけにはいかないので、もう少し待ってください」
「それもそうね」
梓は真希を必死に振り向かせないようにして、ひかりに近づき小声で話しかけた。
「ひかり! 蓮斗さんを真希から見せないようにして! 後で私も行くから」
その声でひかりは全てを理解して、動き始めた。
「蓮斗先輩、こっちに来てください」
「え、なに?」
ひかりは強引に蓮斗の手を引き、木の裏に連れて行った。
「なに? なんで連れてかれた?」
「ちょっと待っててください」
ひかりは説明せずに梓が来るのを待った。
そこに梓が来ると、開口一番にひかりは勢いよく言った。
「なんですか、その服装!」
蓮斗は「え?」と眉を上げて驚いた。
「なにって普通だけど?」
「服装が小2で止まってます?」
「いや?」
梓は近くで見て、さらに嫌な顔でツッコミを入れた。
「とにかく、その服装じゃダメです!」
「なんで!?」
「ひかり、できる?」
「任せて!」
「じゃあ、蓮斗さん、目を瞑ってください」
「なに?」
蓮斗は意味もわからず、頭の中はハテナで埋め尽くされた。
だが、2人に押されて目を瞑った。
「『変身』蓮斗先輩をカッコよくして」
ひかりは一条燦の服装を思い浮かべながら、魔法を使った。
蓮斗の体をまばゆい光が包み込み、刹那の間に蓮斗はピタっとしたチェスターコートに白のニット服で大人びて清潔感のある姿になった。
「良いですよ!」
ひかりの言葉に蓮斗は目を開けて下を向いた。
「えっ……嘘、なんで着替えてるの?」
蓮斗はあまりの事で固まった。
「なんででしょ? それより、真希が待ってるんで行きましょう!」
「え?? はあ??」
蓮斗はまたしても何も分からないままひかりに連れてかれた。
「真希、蓮斗先輩いました!」
「えっ、その服どうしたの? いつものドクロは?」
真希は蓮斗の変わりように目を見開いて驚いた。
梓は目が点になって呆れた。
「いつもあれだったんだ……なんで、真希は受け入れてるんですか?」
「別に服装は人それぞれだから」
梓は一歩引いた目で小声で呟いた。
「もう付き合った方が良いですよ……」
「いや〜僕も分かんない」
「でも、いつもと違ってカッコいい」
「……!?」
真希と蓮斗は顔を赤くして照れていた。
「あ、ありがとう……!」
蓮斗は照れくさそうに頭を触りながら言った。
ひかりと梓は暖かい目で見守っていたが、そこから何も動かない2人に割って入った。
ひかりは蓮斗に近づき耳打ちをした。
「蓮斗先輩も褒めないと、ずっと待ってるよ」
「はっ」蓮斗はようやくすべきことに気づき、真希の服装を上から下、下から上に見て口を開いた。
「真希は可愛いよ!」
ひかりと梓はガクッと拍子抜けして、真希は嬉しそうだった。
「違ーーう! そこはロングスカートと真希の可愛さが合ってるよとか」
「具体的に褒めた方が喜ばれますよ」
「うーん、分かんない。可愛いは可愛い!」
蓮斗は考えるのをやめて、さっぱりした様子で言った。
「2人ともいいの! それより、行こう!」
真希は顔を赤くのぼせたようだった。
「まあ、喜んでるならいいか」
「さあ、行こう!!!!」
「なんで僕は着替えたの?」
4人は遊園地へと入って行った。




