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魔魅相談!〜魔法JKひかりがお悩み相談部と共に魑魅魍魎なキャラ達を巻き込む〜ドタバタ学園生活!  作者: 風みやび
1年の4月

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第48話 話猫物語〜Avenge〜後編

 ひかりが2人とやり取りをしている間、アルはというと……


     ***


 飼育部屋——。

 部屋の中は僅かな明かりしかなく、何十の檻で遮られて廃墟のように暗かった。

 さらに鼻を埃の臭いと獣臭、汚物の臭い、そして血の臭いが刺激した。

 近くで見るとより残酷だと分かった。

 こんな所に1時間も居れば、精神を崩壊させるほどであり、犬と猫は憔悴し切っていた。


 アルは臭いを気にも留めずに中に入って行き、その光景を前に憎悪しか湧かなかった。


「こんな所で、こんな所で、にゃあの母も父も、みんなの両親達が生きていたのか……にゃ」

 アルは牙を剥き出して、奥歯をギリギリと噛み締めていた。


「本物の悪にゃ、ただ許すわけがないにゃ……!! 苦痛を味わわせてやるにゃ!!」

 アルは爪を立てて、床に爪痕が残るほど引っ掻いた。


「まずは、逃がさないとにゃ!」

 アルは怒りを抑えて、目的を果たすために近くの檻の鍵を開けた。

「さあ、逃げるにゃ!」


 アルがそこに入っている猫に声をかけたが、全く動く気配が無かった。

 アルは眉をしかめて不思議に思ったが、一旦無視して、次の檻の鍵を開けに行った。


 次の猫も次の猫も開いたのに出る気配が無かった。

 それは犬でも同じであり、誰も外に出なかった。


「なんで出ないにゃ?! こんな所とおさらばできるのに、なんでにゃ?!」

 アルは信じられないような目で周りを見渡した。


「……こ、わ……にげ、たら……ころされる」

 誰かは分からないが、か細い声で途切れ途切れに言った。

「大丈夫にゃ!! にゃあがいるし、それにあいつらはにゃあの仲間がすでに懲らしめてるにゃ……!!」

 アルは優しく教えたが誰も動かなかった。


 そんな時、「“ふざけるなーー”!!」と隣から怒号が聞こえた。

「ほら! にゃあの言う通りにゃ! さあ、早く出るにゃ!」

 アルの嬉しそうな言葉でも、やはり誰も動かなかった。


 アルは頭を働かせて、この状況で必要なのは——闘志にゃ、と結論付け、早速行動に移した。


「おにゃあらよく聞けにゃ。

 おにゃあらはここで沢山ひどいことを受けてきたにゃ。

 暗い暗い闇の底だった……だがしかし、にゃあという一筋の光る蜘蛛の糸、いや……暗い世界と明るい世界をつなぐ『虹の橋・ビフレスト』が来たからには安心するにゃ!!」


 アルはまずはみんなに安心感を与えて、警戒心を解いた。

 さらに続けて、今度は鼓舞するように演説した。


「すでにおにゃあらは自由を手にしてはいるにゃ……

 でも、悔しくないのかにゃ? 憎くないのかにゃ? どんだけ苦しんで、どれだけの子を奪われて、夢や希望が幾千の数散っていったにゃ?


……にゃあは捨てられた時悔しかったにゃ……だから、奴らに復讐したにゃ。

 それはどんなことよりもスッキリしたにゃ。

 でも、自分がやらなければ意味がないにゃ。

 だからこそ、おにゃあらには戦って欲しいにゃ!


 自由な未来のために、子や喜びを奪われた日々を断ち切るために戦うにゃ!!

 今がその時にゃ! 共に戦い、腐った人間に正義の鉄槌を! これ以上の犠牲を出さないためにアベンジするにゃ!!」


 アルの心からの言葉にみんなが掻き立てられ、目に希望を宿して行った。

 だが、出ようとはしなかった。

 アルは何も言えなかった。なぜなら、自分も同じだからだった。


     ***


(にゃあは捨てられて、すぐに復讐できたにゃ。

 でもできなかった……そんなことしても戻らないからにゃ。帰る家、安心できる時間はもうないにゃ。

 そんな中で、ひかりに会って、梓に会って、直人に飼われて、ようやく踏み出せたにゃ。

 こんな状況にならないとにゃあは無理だった……それを家もない猫と犬達に何ができるにゃ?)

 アルは過去の自分と照らし合わせて、無理だと悟った。


     ***


「にゃあだけでも行くにゃ……」

 アルは諦めて寂しそうな背中を向けて、立ち去ろうとした。


 その瞬間、ここにいる全員がある感情を思い出した。


 それは——“愛(・)情(・)”だった。


 みんなはアルの姿を我が子に重ね合わせて、1人寂しく行こうとする我が子を放ってはおけず、一斉に檻から飛び出した。


「“待って”」

 みんなが一斉にアルの側に近寄って来た。

「ありがとう!」「ごめんなさい」「一緒に行こう」

 みんな口々に言って、団結していった。


「おにゃあら、やるのかにゃ?」

「もちろん!」

 アルの問いかけにみんなが答え、アルは満面の笑みを浮かべた。


「それじゃあ、おにゃあらついて来るにゃ!!

 奴らに憎しみを味わわせるにゃ!!」

「おう!」

 アルを先頭にみんながついて行き、2人のいる玄関に走り出した。


 アルは2人を目にすると、高揚感が高まった。

「楽しいパーティの始まりにゃ!!!!」

 アルは2人に跳びついて、顔をスパッと引っ掻いた。


「いてぇ!!」

 2人が痛がっていると、次々と2人に犬と猫が跳びついて、体当たりした。


「アタシの子を返して!!」

 憎しみたっぷりの怒声を言いながら、白猫は猫パンチを延々と繰り出していた。

「いいにゃ! おにゃあのパンチに鬼神が宿ってるにゃ!!」


「俺は地面を駆けたかったのに……!!」

 悔しがる言葉と共に、2人の上を行ったり来たりする黒犬。

「やってやれにゃ! おにゃあの脚は大木にゃ!!」


 そして極めつけが、

「おらの苦しみを味わえ!」

 その猫はブリーダーの顔面に脱糞をした。

「はははは、最高にゃ! おにゃあのケツにちっちゃいダンプカー乗ってんのかいにゃ!!」


 その猫を皮切りにみんな2人の上で排泄し始めた。


「はははははははは!!!! これが生きる喜びにゃ!!!!」


 アルは笑い転げて、死ぬほど笑った。


     ***


“ウーウーウーウー”とパトカーのサイレンが聞こえて、ひかりは笑い転げているアルを抱えて、窓から出て梓の隣に行った。


 警察官はひかり達から話を聞き、突入しようと玄関に行くと、汚臭が漂い、異常なことに気づいた。

 ひかり達は苦笑いして、申し訳なさそうな表情を浮かべた。


 その後は大掛かりな連行となった。

 まずは開かないドアをこじ開け、犬と猫の糞まみれで気絶している2人を運び出して、着替えさせて、臭いを消してからパトカーに乗せた。

 そして後日、噂を聞きつけた動物愛護団体がブリーダーに飼育されていた犬と猫を引き取っていった。

 さらに、ペットショップから逃げ出した子犬と子猫もある程度は保護され、残った子達は野良として生きる選択を迫られた。


     ***


「……ってことがあったんだよ」


 2日後の放課後——。

 ひかりと梓はOSBの部室で元輝に話せる内容だけを話した。


「マジっすか!? 大変だったっすね!」

 元輝は思いの外反応よく驚いた。

「まあ、だから野良とかは減っていくとは思うよ!」

「マジ感謝っす! まさか、原因解明から解決までするとか……本当にありがとうございます!」

 元輝は頭を机につけて、感謝を示した。


「そういうのいいから」

「顔あげてください」

 2人はやや慌てて、顔を上げさせた。


「これで母ちゃんに良い報告ができるっす——ありがとうございました!」

 元輝はもう一度感謝を伝えて、部室を出た。


「一件落着だね!」

「良かった!」

「そうだ、こういう時は乾杯だね、ポッチーで!」

「うん」

 ひかりは梓の態度に目を丸くした。

「え、いつもなら突っ込むはずなのに!?」

 その言葉に梓は照れ笑いをして、

「ひかりのポッチー愛に助けられたからさ……!」

「そっか! なら、はい」

 ひかりは梓に一本ポッチーを渡して、自分も一本持った。

 そして、

「乾杯!」「乾杯」

 2人は自分のポッチーをお互いのポッチーにつけた。


“ポキッ”


 梓が持っていたポッチーが折れた。

 梓は「あっ」と自然と口に出した。

「あーーーー!!」

 ひかりは大きく口を開けて叫んだ。


「ポッチーが……! いけないんだ!! ポッチーの神様が天罰下すよ!!」

「どんな神様なの? それに私は悪くない!

 ひかりが強く押したからだよ!」

「違うもん、梓が強く持ってたから折れたんだよ!」

「ひかりだよ!」

「梓だよ!」


 2人はしょうもないことで言い合いに発展した。

明日の投稿は誠に勝手ながら休ませていただきます。


ここまで読んで頂きありがとうございます!!!!

アルの長い復讐編はいかがでしたでしょうか……感想なんか貰えると嬉しいです!!

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