第45話 バカと天才初めての一致
「……という感じでにゃあは悪と戦っていたにゃ!」
「長いよ!! もう日が暮れちゃったよ!!」
ひかりは黙って聞いていたが、あまりの長さに勢いよく吐露した。
「後半いらなくない」
梓はひかりに乗じて小さく呟いた。
アルの耳には聞こえて、カッと怒った。
「いるにゃーー!! にゃあの活躍ぶりを堪能させるために必要にゃ!! それににゃあが怪我したのも説明しないと変にゃ!!」
アルは捲し立てるように言った。
「いや、ペットショップのことだけで良かったんだけど……」
梓は怒られてもまだ愚痴を口にした。
「なんだと、最悪怪我したところはいらないにゃ」
「え……僕が出てこなくなる……」
直人は急に自分を申し訳なさそうに主張してきた。
「そうだよ、アル! 直人さんが出てくるから、いらないのは真ん中の話だよ! それにあのカップルが可哀想だよ!」
ひかりは声を大にして伝えた。
「どこが可哀想にゃ? 犯罪者なんだし、何よりちゃんと仕事して税金を納めている人が可哀想にゃ!」
「確かに! やっぱり全部必要だよ!」
「手のひら返しが早い……」
梓はひかりに対して呆れた様子でツッコミを入れた。
「それで犯人はアルってことだから……アルが悪いの?」
ひかりは自分の頭では考えずすぐに梓に聞いた。
「にゃあは悪くないにゃ! 動物を逃がしたのは正義にゃ! そして1番の悪は……あの店主にゃ!!」
アルは悪びれることなく、店主に対しての怒りを込めて梓に弁明した。
「アルの話だけだと店主が悪いけど、嘘かもしれないからなんとも……」
「それもそうにゃ……なら、ネットニュースを見ればいいにゃ」
アルは梓の言葉に納得して、助言した。
ひかりと梓はスマホで調べ始めた。
「えっ?!」
ひかりは3日前にこの町で起こった事件のニュースを目にして驚いた。
「パンイチの不審者が出没だって」
「今関係ないよ。普通に探して」
「それ早朝に見たあいつにゃ! ちゃんと探せにゃ」
ひかりはアルと梓に総ツッコミされて、背筋がビクッとなった。
「ごめん……あっ!? もしかしてこれ?」
ひかりは違うニュースが目に入った。
「『人気動画配信者、脱税で逮捕。マルチ情報にも関与か』だって、物凄い炎上してるよ」
「ペットショップ関係ないじゃん」
「はははは、そのニュースに載ってるあいつの写真笑えるから見るにゃ! めっちゃ涙流して、情け無さすぎて面白すぎるにゃ!」
アルは写真を思い出して爆笑し始めた。
そんなアルを無視して2人はニュースを探した。
「えっ!?」
ひかりは過去1番驚いた声を上げた。
アルと梓は期待していない目でひかりを見た。
「8月に一条燦がツアーライブするらしい!!
やばい、超行きたい!! テンション上がってきたー!!」
ひかりは飛び跳ねて喜んでいた。
アルは死んだ魚のような目でひかりを見て、心の中で思った。
「こいつは本物の魑魅魍魎にゃ。どう生きてたらこの状況で喜べるにゃ」
「アル、口に出してるよ……ひかりはこれがアイデンティティだから慣れるしかない……」
梓はひかりに対して諦めた様子で言った。
「アタシは妖怪なんかじゃないよ!! それにアタシのアイデンティティはポッチーだから!!」
ひかりはアルと梓を叱るように言った。
「ポッチーがアイデンティティなのはほぼ製造会社なんだよ……自分で自覚はしてるんだ!?」
梓はひかりの言葉に驚きを隠せなかった。
「いいから、さっさと調べるにゃ!!」
アルはひかりに嫌気がさした。
「……あっ、あったよ」
梓はアルの言葉でニュースを探し見つけた。
「『ペットショップで殺処分!? 店主は逃亡中』らしい……待って、捕まってないの!?」
梓はその事実に驚愕した。
「そうなんだ!? やっぱり1番悪いのは店主だよ!」
「手のひら返しが甚だしいにゃ」
ひかりのコロコロ変わる意見に、アルはうんざりした。
「まあでも、アルの言う通りだね。それで犯人は分かったけど、元輝さんにはなんて説明しよう……」
梓は片耳に手をかけて、考えにふけようとした時、アルが口を開いた。
「まだ、終わってないにゃ! 店主には捕まえて償わせないと死んでいった猫と犬が報われないにゃ!」
アルは熱く語り、そのうちの1人はすぐに心を打たれた。
「そうだよ、何勝手に終わらそうとしてるの?
アタシ達が捕まえないと!!」
もちろん、ひかり。
アルに心を打たれたひかりは梓を責めた口調で言った。
「なんで私は責められてるの?」
梓は疑問をひかりにぶつけたが、無視された。
「そうと決まれば、明日その店主を捕まえるぞ!!」
「おうにゃ!!」
ひかりとアルは意見が一致した。
「呉越同舟みたい……」
梓は一歩引いた様子だった。
「……って、それなら早くにゃあの傷治すにゃ!」
「あっ、傷が浅かったらもう治ってると思うよ!」
アルはポカンとした様子でひかりの言葉を信じて包帯を外して、傷の部分を見た。
すると、本当に傷があったのか不思議なほど綺麗になっていた。
「マジにゃ!? いつ魔法使ったにゃ!?」
アルは鳩が豆鉄砲を食ったように驚いた。
「魔法……? なにどういうこと?」
直人は眉に皺を寄せて困惑していた。
「おにゃあは黙るにゃ」
アルは冷たくあしらった。
「一回ここに来て『早く治るといいね』って言った時」
「……ってことは……にゃあが心を殺してやった、犬の鳴き真似意味なかったってことにゃ……?」
アルは全身に力を込めて震わせていた。
「そうだよ!」
「ひかり、そんな軽く言わない方が……」
「“ふざけるにゃーーーー”!!!!」
アルは渾身のぶち切れを披露した。
その怒号は覇気を纏い町を震撼させた。
「言わんこっちゃない」
梓はお手上げ状態だった。
「魔法って……?」
直人はまだ困惑していた。
TO BE CONTINUED




