第43話 話猫物語〜Revenge〜
昨日はログイン出来なくて投稿ができませんでした。
すみません。
ひと仕事を終えたアルが向かったのは……花屋だった。
アルは花の香りを嗅ぎ、重く暗い心を落ち着かせた。
『あ〜なんて、最高な香りなのだろ〜ひかりとは違い、ほど良い甘さの匂いで心が洗われる〜』
と思っているような、極楽な顔をしていた。
店員は接客をしており、アルには気づいていなかった。
接客を終えたのを確認すると、アルは店員に向かって行き、
「にゃッ」
『いつものあれをくれ』と澄ました言い方だった。
「あら〜、今日はずいぶん早いね〜どうしたの?」
店員は慣れ親しんだ様子で気さくに話しかけてきた。
「にゃー」
『早く俺のココナッツミルクをくれ』とあたりの強い言い方で言った。
「待っててね!」
そう言って店員は店の奥に行った。
アルが行儀良く座って待っていると、さっきの店員がボウルを運んでアルの前に置いた。
ボウルには水が入っており、その上には薔薇の花びらが浮かんでいた。
アルは舌を器用に使い、チビチビと飲んでいった。
『これは、美味い! 薔薇の芳醇な香りが口いっぱいに広がってくる!』
と心で思いながら、どんどん飲んでいった。
アルは十分嗜むと、
「にゃあ」
『次からは俺が来た時にすぐ出しとけ』と店員に向かって言い放った。
「あら〜いつもお礼言えて偉いね! またいつでも来てね!」
店員は笑顔で手を振った。
アルは心と体が満たされたので、そそくさと花屋を後にした。
そして、周りに人がいない所に行くと、
「勝手にアテレコするにゃ!! 『』の台詞全部違うにゃ!! にゃあは店員に横柄な態度とらないにゃ!!」
アルは自分の考えとは明らかに違った地の文に憤怒した。
「次やったら、タダじゃおかないにゃ!! 気をつけろにゃ!!」
アルは怒りを吐き捨てて、目的地へと向かって行った。
***
「ここが最後にゃ!」
アルが着いた場所は——マンションやビル、一軒家が建ち並ぶ中で、場違いなほど広く豪華でモダンな家だった。
「あいつは目立ちたがり屋だからにゃ。都心部だとこんなのいくらでもあるから、ちょっと離れたこの町で金持ちアピールしてるにゃ」
アルは嫌味たっぷりに説明した。
アルは門壁を飛び越えて庭に入って行った。
庭は案外狭く木が2本植えられている程度で鑑賞用といった所だ。
一本は門壁ぐらいで、もう一本は2階と同じ高さだった。
アルは玄関に防犯カメラがあることを確認してから、木をよじ登った。
頂上まで登ると、ジャンプして2階に着地した。
「どうにゃ! あいつは1階の鍵は全部閉めてるが、2階は開けてるにゃ!」
アルは自信満々に言って、窓を開けて侵入した。
「さてと、早速にゃあを捨てた脱税カップルへのリベンジにゃ!!」
アルは意気揚々と宣言して、向かった先は——パソコンだった。
「今の時代は端末に知られたくない情報が山ほどあるからにゃ!」
アルは手慣れた手つきでパソコンを起動して、メールやファイルを調べ始めた。
アルは一つのファイル名に目が留まった。
「別に留まってないにゃ」
それを確認すると——
「見ればいいにゃ? しょうがないにゃ……えっと、『脱税カップルとは何?』スッと言えにゃ!! 回りくどいにゃ!!」
アルはムカついた様子で突っ込んだ。
「チッ、はあ〜」大きな舌打ちとため息をして、パソコンを操作しながら、答えた。
「彼氏の方は脱税に横領してるにゃ。
情報教材にマルチ商法、あとネットに啓発系の動画上げて……美容サロンを開業しているにゃ。
彼女の方はパパ活や男をはぐらかしてお金を貰ってるにゃ。
でも、あいつはアホだから、贈与税なんか知らずに貰ったらすぐに使ってるにゃ。
だから、脱税カップルにゃ!」
「こんだけあればいけるにゃ!」
アルはパソコンで脱税の方法や横領額、顧客の悪口を集めあげた。
アルは両耳を手で塞いで、目を瞑り考え始めた。
「ただネットにあげるだけじゃ面白くないにゃ……それに、アホ女にもリベンジしないとにゃ……だから……」
アルは頭でシミュレーションをして、これならいけると、不敵なニヤけ顔をした。
「それなら……」
アルはデスクを探してUSBを見つけると、パソコンに挿して集めた情報を転送していった。
その間にパソコンから離れて、広いクローゼットに向かった。
そこで壁にかけられた帽子を取った。
帽子のあった場所に、ダイヤルが現れた。
「ふふ、暗証番号は見ていたにゃ!」
アルは余裕そうに鼻を鳴らして、「19920229」と入力した。
“ガチャ”——と音がしてダイヤルを引くと、お金がたんまりと積まれていた。
「カップル揃ってアホにゃ。自分の生年月日なんて……」
アルは小さな手でお金を持って、カバンに詰めた。
お金を詰め終えるとパソコンに戻って、転送完了したUSBを取って、カバンに詰めた。
お金とUSBを詰めたカバンを、全力で引きずって玄関まで運んだ。
「重すぎるにゃ!!」
アルはゼェハァ言いながらやり遂げた。
そして、カバンの底を自分の爪で引き裂いてドアの側に置いた。
最後に玄関の鍵を開けて、パソコンに戻った。
パソコンに戻ったアルは、caco3を開いて、
「脱税が見つかりそうだから、全部お前にやる」
と彼女に送った。
数分もしないうちに返信が来た。
「マジで!? 貰う!!」
「アホが食いついたにゃ!」
アルは嬉しそうにニマニマして、返信を送った。
「20分で来い」
「分かった!」
すぐに彼女から返信が来た。
「あとは……」
アルは110番アプリを入れて、
「20分後に受け子が来るので、逮捕してください」
と送ってしばらく警察とやり取りをした。
「これで、全部仕掛け終わったにゃ……」
アルは思ったほど時間がかかり、疲労が溜まっていた。
アルはパソコンで玄関の防犯カメラ映像を出して、ゴロゴロしていた。
***
20分後——。
玄関前にジャージ姿で化粧すらしてない女性が来た。
そして、彼女から連絡が来た。
「着いたけど、早くちょうだい!」
アルは1分後に送られる設定にして、
「ドアの前にある」
と送信した。
アルはその間に窓から飛び降りて、木の陰に隠れて、玄関を見ていた。
彼女は携帯を確認して、玄関を開けた。
「このカバンかな?」
そう言ってカバンを持ち上げると——“ドサッドサッ”と大量のお金が落ちた。
「嘘ッ!? やばっ」
彼女は目の前の大金に釘付けになっていた。
そのとき、「逮捕だ!」と彼女の背後から声が聞こえて、2人の警察官が近づいて行った。
「詐欺グループの受け子として、お前を現行犯逮捕する!」
「はぁ、受け子なんかしてないし?!」
「じゃあ、なんだその金は?」
「これは脱税した金を貰って欲しいって言われたから貰っただけ!」
「脱税だと?……そういうことか、お前は隠蔽に関与していると。逮捕だ!」
「はあ、嘘? そんなつもりじゃ……」
警察官は彼女に手錠をかけた。
1人の警察官は落ちたお金を見て、そこにUSBが混ざっていることに気づいた。
「このUSB……もしかして、脱税の証拠が入ってるんじゃないか? やっぱり、お前は共犯だ!
署に連行しろ」
彼女は警察官に連れられた。
「“ぶっはははははははは”
あの情けない顔面白すぎるにゃ!!!!」
アルは笑い転げて、足をバタバタさせた。
「ははははははははは!!!!」
アルは気の済むまで笑い続けた。
TO BE CONTINUED




