第42話 話猫物語〜復讐〜
3日前の早朝——。
直人が出かける前に、
「アル、今日は外でる?」
とアルに向かって言った。
アルは何も言わず、狸寝入りをした。
直人はアルが来ないので、大学に向かった。
ドアが開閉する音を確認して、しばらくするとアルは玄関に向かった。
ジャンプして、鍵を開けてドアノブを掴んだ。
ドアはアルの勢いで開いて、アルは外に出た。
そして、首輪の中に仕込んだ針金を取り出し、体を伸ばして鍵穴に針金を入れ、カチャカチャ動かして鍵をかけた。
天才と言っても遜色がないほど器用にこなした。
「遜色がないじゃなくて、天才にゃ!!」
アルは途端にキレた。
そして、イライラしながら階段を降りてどこかへ向かって行った。
***
「ついて来るにゃ」
アルは歩きながらもあしらうように言った。
アルは歩みを止めることなく進んで行く、それは目的地が決まってるようだった。
「お前うるさいにゃ! なんで今更ついて来るにゃ!」
アルは誰かにキレたが、周りにはパンイチのおっさんしかいなかった。
「どんな状況にゃ!! 変態が町を歩いているとかいやにゃ!!」
「——そんなことどうでも良くて、なんで今更にゃあが主役回にゃ」
アルは光栄なことにもかかわらず、不満そうに言った。
「不満にゃ! なんで、にゃあの登場が12話から39話までの27話開いてるにゃ!!
あんな『アルと直人の絆を深める話が幕を開ける』とか謳っときながら、全然幕開かないにゃ!!
それになんにゃあれ、1日のことを13話分書くなんてどうかしてるにゃ!
あとあの姫乃とか言う奴にゃ。なんでにゃあよりも後に出といて、にゃあよりも出番あるにゃ!!!!」
アルは不平不満を憎しみと怒りを込めて、愚痴った。
——アルはバカである。
「誰がバカにゃ!! 脈絡もなくディスるなにゃ!!」
——なぜなら、作者の文句を言えば消されるからだ。
「は! それはずるにゃ!」
アルは急に態度を変えて、怖気付いた。
そんな時だ——後ろから車がアルに向かっていた。
「だから、ずるにゃ!」
アルはそう言いながら、バッと鬼気迫る表情で振り返った。
アルが目にしたのは赤ちゃんが乗っているアンゴハン号(国民的アニメの乗り物)だった。
「脅すなにゃ!!」
アルは胸を撫で下ろして、フゥ〜と息を吐いた。
そんなアルの顔に1枚のチラシが飛んで来た。
「なんにゃ?」
そう言って、内容を読むと『今からどこに行くの?』と書かれていた。
「普通に言えにゃ!……にゃあの忌々しき場所をぶち壊しに行くにゃ!」
アルは笑顔だが目には復讐心が燃えていた。
「糞を爆発させてめちゃくちゃにしようかにゃ……ミントを周りに植えて大量発生させるかにゃ」
と犯罪計画立てながら向かって行った。
***
「着いたにゃ!」
アルが向かっていた場所はペットショップだった。
ペットショップは町はずれにあり、ワンフロアで、がらんとして閑散としていた。
「どうでもいいにゃ。さっと行くにゃ」
アルは適当にあしらった様子で言った。
ペットショップの裏にまわり込んで、さっきの針金で裏口の鍵を開けて中に入った。
中に入るとバックヤードであり、物が乱雑に置かれて、埃っぽく営業しているのが不思議なほどだった。
「あいつはゴミだから、ゴミが好きにゃ。埃を食べて生きてるにゃ」
アルの言葉には怨念が混じっていた。
アルはジャンプして、デスクの上に行き、パソコンを操作し始めた。
「あいつはバカだから、パスワードは……」
アルは「0123456789」と入れてパスワードを解除した。
アルは慣れた手つきでマウスを操作して、店の防犯カメラ映像を見始めた。
再生バーをゆっくり動かしながら一つ一つ確認していき、
「あったにゃ」
とアルは重いトーンで言った。
内容は語るに耐えないほど残酷だった……。
アルは重くなった手をなんとか動かして、その部分を切り取りこの店のSNSアカウントにあげた。
「これで、映像の猫の死は無駄じゃないにゃ……」
震えた声でなんとか言い切った。
“ガチャ”——突然裏口の鍵が閉まった。
“バタン"——誰かがドアを思いっきり開けようとしたのか、轟音が響いた。
「あれ? 俺、鍵閉めたような?」
ドアの向こうから声が聞こえた。
アルはその声で店主だと分かった。
アルはパソコンを開いたまま、デスクの下に行き、椅子の先に隠れた。
“ガチャ”——鍵が開いた。
そして、ドアが開いたのか風がスーッと入って来た。
“コツコツ”——靴底がこちらに迫って来ている。
「あれ? パソコンつきっぱだ……誰かいるのか!」
近くで声を上げて怒鳴った。
アルは自分の近くにあるイスがキャスター付きだと確認して、後ろ足を置いた。
そして、思いっきり蹴って、椅子は店主の脚に向かって行った。
「いてっ」
店主は小枝にぶつかった程度のリアクションだった。
視線が椅子に集中している間に、アルは移動して背後を取った。
アルはジャンプして棚に上がって、助走距離を確保した。
そして、勢いよく走り出して、ギリギリのところで、地面を“ブニッ”と力強く踏み締めて、店主の背中に向かって跳んでいく。
「これで終わりにゃ! おにゃあが殺めた猫と犬の魂を背負って——今、倒すにゃ!!!!」
アルは目をキリッとさせて、魂からの雄叫びをあげた。
アルの背後には無数の猫と犬がうっすらと現れた。
その猫と犬はアルより先に店主に向かって、飛び蹴りしていった。
アルは体を縮こませて、
「喰らえ!! 『“復讐のレクイエムスマッシュ"』!!!!」
と言って、一気に足を伸ばして、店主の背中に蹴り込んだ。
——1匹の猫の蹴りとは思えないほど力強い、まるで車に撥ねられたような衝撃が背中から全身に駆け巡った。
店主は目を見開いて驚き、前に倒れた。
そして、デスクに頭を打ち気絶した。
「ゴミに相応しい幕引きにゃ!!」
アルはクールにサラッと言葉を言い捨てた。
片方だけ口角を上げて、アルはクールにその場を去った。
必殺技みたいなのがダサく、カッコ良さのプラマイはゼロな印象だ。
「感想なんていらないにゃ!!」
アルはペット売り場に行くと、次々に鍵を開けてペットを逃していった。
「早く逃げるにゃ! あいつが起きる前に! お前達は自由にゃ……!」
アルは喜びを噛み締めながら全てのペットを逃した。
「これで1個目が終わりにゃ! 次に行くにゃ!」
TO BE CONTINUED




