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魔魅相談!〜魔法JKひかりがお悩み相談部と共に魑魅魍魎なキャラ達を巻き込む〜ドタバタ学園生活!  作者: 風みやび
1年の4月

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第37話 初めてのプリ

 異様な寒気に包まれた3人は言葉を失った。

 寒気は背筋をなぞり震わせた。

 ツチノコは本当にいるかもしれない——そんなことを思うわけがなかった。


「そんなわけないでしょ! 前にも言った通りあり得ないわ!」

 姫乃は冷ややかな目でひかりを見た。


「えっ? なら、アタシが見たのは?」

 ひかりは身を縮こませて、辺りを警戒しながら質問した。


「あたしみたいにイタズラで作られた偽物だわ、きっと」

「そうだと思う。そもそも、ツチノコ自体が人が作ったものだし」

 姫乃に続き、梓も正論で返した。


「あら、梓もツチノコに怖がってたじゃない?」

 姫乃は煽るようにニヤけた顔を梓に向けた。

「あれはひかりが悪い! 不安を煽ることを言うから!」

「なんでアタシなの?! 本物のように見せた姫乃ちゃんが悪いよ!」

 ひかりは姫乃を指差して怒ったように言った。


 姫乃は再び怒りのエンジンがかかった。

「だから、ひかりが未読無視したのが悪いのよーー!!」

 ひかりの肩を再び持って揺らし始めた。


「分かった。アタシが悪かったから、それやめて!」

 ひかりは全力で抗議した。


 姫乃はやめたが、

「なら、あたし達にお詫びしなさい!」

 と要求してきた。


 ひかりは頷いて姫乃に従った。

 嫌だと言えば、同じことが繰り返されるだけだから。


「お詫びって何すればいいの?」

「そんなの自分で考えなさいよ!」

「大体は相手が喜んでくれることをするかな」


 ひかりは両方の人差し指を自分の頭につけて考えた——何なら喜んでくれるかな?

 そして、1つ思いついた。まだ高校に入学してからやっていないことを。


「じゃあ、3人でプリ撮りに行こう!」

「プリ?」

 姫乃は首を傾げて、眉をひそめた。

「プリか……」

 梓は引き攣った顔をした。


「ね、行こうよ!」

 ひかりは遊園地に行くのを親におねだりする子供のように目を輝かせた。


「プリってなんなの?」

 姫乃の言葉に梓が憎しみを込めて答えた。

「プリは加工して盛ったり、デコレーションできる写真機のこと」


「ふーん、そんなのがあるのね。行きましょう!」

 姫乃は知的好奇心に駆られていた。


 ひかりは梓の異変に気がついた。

「梓、大丈夫? なんかあった?」

「プリなんか撮って意味あるの? 今の時代、スマホでできるし。

 それに、なんで加工するの? 思い出として撮るなら、なおさら普通で撮るべきでしょ!

 ほんと意味わかんない!」


 梓は嫌悪感をあらわにした顔で、捲し立てるように言った。

 ひかりは双眸を広げて少し驚いた。まさか梓はプリに……


「そうだったんだ。梓はプリに親を殺されたんだね……」

「全然違うけど」

「え?!……それなら、プリ撮る友達がいなかったんだね」

「それも違う……とは言えないけど、違う」

「じゃあ、なんで?」

「加工する意味が分からない」

「それが楽しいからだよ! 目をおっきくして、デコレーションして、自分達の顔を遊ぶのが面白いの!」


 ひかりは持論を熱く述べて、梓を説得した。

 効果は一応あったみたいだ。

「ほんとに?」

 梓は疑いの目を向けた。

「ほんとほんと!」

「それならいいよ」


「話はついたようね。さっさと行きましょう。

 話を聞く限りじゃ何も分からないわ」

 姫乃はやっと終わったみたいな感じで塩対応で言った。


「早速レッツゴー!」


     ***


 3人はゲームセンターに来た。

 店内はいろいろな機械音が混じって聞こえてくる。

 その音に姫乃は顔をしかめて、両手で強く耳を塞いだ。


「なんなのここ? うるさすぎるわ」

 2人は心配そうに見つめた。

「姫乃ちゃん、来たことないから慣れてないんだよ」

「私もこの音嫌いだから、分かる」


「あなた達何黙ってるのよ!」

「いや、耳塞いでるからだよ」

「プリの中なら多少静かだから、早く移動しよう」

「うん」


 2人は姫乃を引き連れて、プリに直行した。

 プリに入ろうとした時、背後から声がして呼び止められた。

「あんた達、今からそこはうちらが使うんだけど!」

 姫乃以外は振り返った。そこには女子3人組がおり、真ん中の子が腕を組んでいた。


「早いもの勝ちだよ! 後から来てそれはないよ!」

 ひかりは至極真っ当なことを伝えた。


 ひかり達から見て左の子が、戯けたように聞いた。

「あんたら、あたしらを知らないの? ここらでは有名なんだけど」

「知らないよ」

 ひかりはぼやくように言った。


 右の子が自慢するように名乗った。

「あんたら、モグリ? あーし達はプリの精・三天王!」

「ダサい。プリの“精”がダサすぎる。姫君とかの方が良いと思う……」

 梓はツッコミというより、本音をただぶつけた。


「あーし達はプリの姫君……」

「言い直さなくていい……それより」

 右の子が言おうとしているのをやめさせて、真ん中の子は姫乃に近づいてきた。


「さっきから、なに背中向けてんのよ!!」

 姫乃の肩に手を置き、振り向かそうとしたがビクッともしない。


「何触ってるの?」

 姫乃はドスの効いた声で言い、顔だけ向いて真ん中の子を睨んだ。

 その目は相手を凍りつかせるほど冷たく、底知れぬ恐怖が見た者を襲う。


 真ん中の子は歯をガタガタと鳴らして、手が震え始めた。

「なんなの……」

 後ずさりで仲間の元へ戻ろうとした。


 姫乃はその間に2人にどういう状況か聞いた。

「なるほどね」


 そして、今度は姫乃が近づいて行って、3人だけに聞こえる音量で、

「早く失せないと、あなた達のこと調べ上げて、個人情報をネットに載せるわよ」

 ドスを効かせて言った。


 3人の顔は一瞬で青ざめて、走り去った。


「さあ、撮りましょう!」

 姫乃は何事もなかったように笑顔でひかりの元に来た。


「何言ったの?」

 ひかりは恐る恐る聞いた。

「あたしが言う前に逃げて行ったわよ」


 2人はこれ以上詮索してはいけないと直感で分かった。

「うん……ひかり早く撮ろう」

「そ、そうだね」


 ひかりは慣れた手つきでタッチパネルを操作して撮影開始!


「それで何するのよ?」

「ポーズ取れば良いんだよ! まずはピースから!」

「——」


 ひかり、姫乃、梓の並びで3人はピースして撮った。

 ひかりは屈託のない笑顔で、姫乃は困惑しており、梓は嫌々で真顔だった。


「もっと、笑ってよ!! 思い出なんだからさ!!」

「笑うって言われても……」

 梓がそうほざくと、ひかりは梓の脇をくすぐった。


「あーはっは、やめて、ひかりお願い! ふっははっ」

「やめない!」

 ひかりは笑顔でくすぐり続けた。

「ふふふ、梓、最高だわ!」

 姫乃は梓を見て満足気に笑った。


 その様子が撮られた。


 ひかりはくすぐるのをやめて、次のポーズを考える。

 姫乃と梓は表情がほぐれて、良い顔になった。


 その後、色んなポーズをして撮って、落書きへと移る。


「最後に落書きしたら完成だよ!」

「落書きはどうやるのかしら?」

「まあ、お手本を見せてあげる!」


 ひかりは意気揚々とタッチパネルを操作して、ハートをつけたりエフェクトをつけて、最後に『BEST FRENDS』と書いた。


「Iがないよ」「Iがないわよ」

 2人は同時に指摘した。

「え?」ひかりは目を丸くして、すぐに書き直した。


「ハートは描かれてるのにIがない。虚ろな愛なんだね」

 梓は皮肉めいたことを言った。


「ほら、これで良いでしょ……2人もやってみて」

 ひかりは梓と交代して、姫乃は隣で描いた。


 2人は苦戦しながらも黙々と落書きをした。

 ひかりはワクワクしながら待っている。


「できたわよ!」

 姫乃が沈黙を破って口を開いた。

「おー! 見せて見せて!」


 ひかりと梓は姫乃の落書きを覗く。

 それは、ひかりにだけ落書きが施されていた。

 ひかりに猫耳がついて、周りにハートが散りばめられており、『あたしの下僕達』と書かれていた。


「ツッコミどころが多すぎる」

「ありがとう、姫乃ちゃん! でも、3人で撮ったんだから2人にも猫耳つけて!」

 ひかりは優しく指示した。

「しょうがないわね」

 姫乃は渋々付け足した。


 そして、2人の視線は梓に向けられた。

——まだかなぁ!——早くしなさい、といった、別々の視線が梓を襲う。


 すぐに梓は落書きを終わらせた。

「できたよ。どう?」

 2人はどんな感じか期待をして覗いた。


 それは、星を取ってつけたかのように置かれて、周りは殺風景だったのか、集中線やデフォルメのネコが描かれていた。


「梓、もっと派手にしないと!」

「派手って言われても……」

「シンプルすぎるわ! 梓にはお似合いだけど!」

「確かに似合わないけど、姫乃さんに言われると嫌だな」

 梓は言われたい放題だった。


「もっとさ、こんな感じで……」

 ひかりは勝手に修正を行い始めた。

「それなら、もっとこうした方がいいわよ」

 姫乃もひかりに加わり、付け足し始めた。

 梓は傍観するしかなかった。


 それで、できた物は——上にはデカデカと『天上天下唯我独尊』と書かれて、下には『LOVE』の文字が書かれており、ひかりの周りにはポッチーが描かれて、梓には本が描かれて、姫乃にはティアラが描かれていた。


「情報量が多すぎる!」

 梓は呆然と立ち尽くした。

「やったー! 最高じゃない?!」

「あたしとひかりが手を組んだらこんなもんよ!」

 ひかりはテンション上がって喜び、姫乃は声高々に自慢した。


「まあ、いいや」

 梓は成り行きに任せることにした。

「ほら、まだまだ落書きできるんだから、梓もやろう!」


 3人は残りの写真にも落書きを施して、印刷を待った。

 しばらくすると出てきた。


「見て! みんな最高だから!」

 ひかりが手に取り、2人に見せた。

「良いような、ひどいような」

「ふーん、案外面白いじゃない!」

 梓は予想通りで、姫乃は予想よりもハマっていた。


「でしょ! 梓も分かった?」

「分からなくはない」

「回りくどいよ……どっちなの?!」

 ひかりは強く質問した。

 梓は小声で恥ずかしそうに、

「楽しかった」

 と言った。


「だよね! じゃあ、はいこれ!」

 ひかりは満面の笑みで、2人に写真を渡した。

「これで、家宝が一つ増えたわ!」

 姫乃はボソリと言葉を漏らした。

「なんて?」

「いや、なんでもないわ」

 姫乃はこの上なく喜んでいた。

 梓はまじまじと見て、微笑んだ。


「また来ようね!」

「うん!」「うん!」

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