第35話 捜索!発見!前編!
時は朝——。
日差しが部屋を白く光らせる。
普通なら眩しくて目を覚ますが、ひかりはものともせずぐうぐう寝ている。
気持ち良さそうに笑顔で寝てい……
“バァン”
寝返りをしてひかりはベッドから落ちた。
さすがに目が覚めて、うっすら目を開けて、
「もう、朝……?」
頭が働かない、動く気力がない、そう思いながらも起きようと奮闘した結果……
ひかりはいもむしのようにケツを上げて、顔を引きずらせながら、洗面所に向かった。
部屋を出るとリビングに着く。
リビングでは母親が掃除をしている。
母親はズルズルとひかりの部屋から聞こえる音に注目していると、ドアが開いていもむしで移動するひかりが目に入った。
「何やってるの?!!」
母親は驚きで声がうわずっていた。
ひかりの元へ駆けつけた。
「おはよう……」
とだけ言って、ズルズルと洗面所へと進む。
「おはようじゃなくて」
「え? もうお昼なの? こんにちは」
ひかりは眠そうな声で的外れなことを言った。
「そうじゃない。何やってるのよ?」
「顔を洗いに行ってる」
「そんな移動で?」
「立てないんだもん」
母親は目の色を変えて迫り来るように、
「まさか、ひかり病気?! すぐに病院行きましょう!」
「そうじゃない。起き上がる気力がない」
「もう、仕方ないわね」
母親は呆れた様子でひかりの腕を自分の肩に回し、起こした。
ひかりはトボトボと歩き、洗面所に向かい顔を洗った。
洗っても眠そうにあくびをして、スマホを取りに自室に戻った。
スマホを確認すると、SNSアプリ——磯スターのOSBアカウントにDMが届いていた。
写真とメッセージが送られていて、ひかりは写真を見ると「やったー!!」と声を上げて喜んだ。
眠気は吹っ飛び、いつもよりも元気な様子で梓に電話をかける。
少しすると、梓が出た。
「もしもし、どうしたの?」
「もしもし、梓、今日暇?」
「暇だけど……何?」
「じゃあ、学校に集合ね!」
「何? どういう……」
ひかりは梓の返答を聞かず電話を切った。
「やったー! さあ、準備開始!」
ひかりは興奮して、足をジタバタさせた。
***
「“遅ーーーい”」
ひかりは校門で待っていると、梓がやって来るのが見えて、大声で梓に向かって言った。
梓はムッと顔をしかめて、仕方なく駆け足で向かった。
「いきなり呼び出してなんなの? あとそれ何?」
梓は少しキツめに言った。そして、ひかりが持っている物に目がいった。
「何って虫取り網だけど」
「だから何するの、虫取り網使って?」
「それはね……」
ひかりはスマホを操作しながら言った。
「今朝、DMが届いてて、その内容がこれなんだよ!」
梓にスマホを見せた。
梓は写真を見て、目を丸くして驚いた。
なぜなら——写真にツチノコらしきモノが写っていた。
「本物?」
梓はすぐに疑った。
「当たり前でしょ!」
ひかりは勝ち誇ったように言った。
ひかりと梓は言い合いになった。
「やっぱりツチノコいたんだよ!」
「有り得ないよ」
「でも、写真があるよ」
「絶対におかしい!」
梓は一歩も譲らず、信じようとしなかった。
「アタシの言うとおりじゃん」
「うん? ひかりは見間違えたって言ったよね?」
梓はその時の会話を思い出して、言った。
ひかりは焦りながらも否定した。
「あれは違う! 言ってない」
「言ってた」
「そういう梓だって、いないに決まってるって」
ひかりは梓に反撃したが、
「それは姫乃さんが言ったセリフ」
失敗に終わった。
「でも、信じてないから同じだよ!」
「分かったよ。それで、私達は何するの?」
梓は事実なので折れて、ひかりに質問した。
ひかりは写真と一緒に送られた、メッセージを読む。
「えっと……
『学校近くのコンビニ、ファーソンらへんでツチノコがいました。お悩み相談部にはツチノコが本物か確かめて欲しいです』
だから、捕まえよう!」
「もうどっか行ってるかもよ。それか捕まってるか」
梓はめんどくさそうに言った。
「でも捕まってないかもじゃん!」
「『サーチ』は使えないの?」
梓は逃れるために聞いた。
「生物には使えないの! だから、現場百遍、歩き回ろう!」
「刑事はツチノコ探しに本気出さないよ」
梓は嫌ながらも、ツッコミを入れた。
「いいから行くよ! ツチノコ探しにレッツゴー!」
「何年前の掛け声?」
***
2人は目撃現場のファーソンへと向かった。
写真を見比べながら、どの角度で撮られたのか探して見つけた。
そこを見てもツチノコはいなかった。
「いないね」
「なんでいないの?!」
「だって、メッセージ来たの2時間前じゃん。
どんだけ寝てたの?」
梓の言葉にひかりは顔が赤くなり、
「うるさい! 良いでしょ別に、休日なんだから」
と言い放った。
「二手に分かれて探す?」
梓は無視して、言った。
「聞いといて反応無しなの?!……こういう時は前みたいに動物に聞けばいいから」
ひかりは周りを見渡すが、鳥どころか人すらいない。
「何にもいないよ」
「なんでー!?」
ひかりは町に響くぐらいの大声で嘆いた。
「うるさいよ」
梓の言葉にひかりは「うん?」と眉をひそめた。
「梓、今ハエって言った?」
「言ってないよ——確かに五月に蝿でうるさいだけど」
「蝿……蝿……虫か!」
ひかりは何かを閃いて、しゃがみ込んで道路を隅々まで見るとアリがいた。
「『翻訳』アリさんこの辺でツチノコ見なかった?」
ひかりは魔法を使い、アリとの会話を試みた。
「アリって話せるの?」
梓が質問すると、ひかりは手を向けて待てといった感じだった。
ひかりはアリに耳を傾けながら、梓にそのことを言う。
「何々、『はあっ、知らねぇよ! 邪魔なんだよ、退けろよ、うすのろが!』
だって。言われてるよ、梓」
「ひかりに対してでしょ」
「梓にだって! 足遅いじゃん」
「ひかりにだって! 鈍臭いじゃん」
2人はうすのろがどちらか言い合いになった。
「梓だ」
「ひかりだよ」
「梓で間違いない!」
「ひかりしかいない」
「梓に100ポッチー賭けよう!」
「……私がうすのろでいいから、早く場所聞いてよ」
またしても、梓はこれ以上埒が明かないので折れた。
ひかりはスッと正常に戻り、アリに聞こうとするが、どこかへ行ってしまったようだ。
「また探さないと……」
2人は肩を落として、他に生き物がいないか探し始めた。
すると、ひかりは遠くに物影が動いたのに気づいた。
「なんかいた! 行ってみよう!」
2人はその場所に行くと、茶色い生き物がいた。
大きさは猫が香箱座りしているような感じで、見た目はツルツルして斑点模様だ。
「えっ……」梓はそれを見て固まった。
ひかりはそれに近づいていき、声をかけた。
「『翻訳』この辺でツチノコ見てない?」
反応はない。
ひかりは聞こえてないのかと思いもう一度声をかけた。
「あのー、ツチノコ見なかった?」
それでも反応はなかった。
もう一度言おうとした時、梓はひかりに呼びかけた。
「ひかり、ひかり」
「何?」
「そ、それ……“ツチノコだよ”」
TO BE CONTINUED




