第26話 気まずい時間(改)
21:30に投稿したものは納得いかず、消して加筆修正して再投稿しました!
もっと面白くなりました!!(絶対に!)
姫乃と一悶着が終わり、自分の席で小説を読んでいると、タオルを首にかけて自分の額を拭く遥花が教室に入って来た。
遥花の周りは空気が揺らめいている気がした。
遥花はいつもなら梓に話しかけて来ないが、この日は真っ直ぐに梓の側に来た。
「おはよう、梓」
遥花は気さくに挨拶をしたが、その声には疲れが滲んでいるようだった。
「遥花さん、おはよう……ございます」
梓は敬語でいくか、タメ口でいくか迷った末に敬語にした。
遥花は友達の友達であり、何度か話したことはあるが友達と言われれば違う。
だからと言って、他人でもない。
その狭間で葛藤が一瞬あったが、やはり敬語にした。
(なんで友達の友達ってこんなに気まずいんだろ?
ひかりがいたら普通に話せるのに……)
「梓は知ってる?ひかりが今日入院したこと」
遥花もまた梓ほどではないが気まずい様子で質問してきた。
「えっと……知ってます。まさかひかりが入院するなんて」
「さすがに知ってたか……ひかり入院なんて嘘みたいだね」
2人の間には微妙な空気が漂い続けた。
初対面の人と話す方が楽に思うほど、どんよりと重い。
2人は同じことを同タイミングで思った。
(ひかり、助けて)
思ったって来るはずはなく、遥花は何か言って立ち去ろうとした。
「あー、ウチ汗臭くない?制汗剤スプレーしたけど大丈夫かな?」
梓は少し遥花に顔を近づけて匂いを嗅いだ。
汗臭さは無く、逆に柔軟剤のいい香りがした。
「ううん、臭くない、いい香りがします」
「本当! 朝練で汗かいたからさ、心配だったんだ。ありがとう!」
遥花は笑顔でお礼を言って立ち去った。
梓は少し神経がすり減り、「はあ〜」とため息を吐き、
(ひかりがいたらな……朝から憂鬱だな)
と心の中で嘆いた。
チャイムが2回、間を空けて鳴り、担任が教室に入って来てホームルームが始まった。
ホームルームではひかりが入院していることが伝えられた。
他の教室よりも遅くホームルームが終わり、1時間目が体育ということで更衣室に梓は向かった。
この学校の体育は2クラス合同で男女別で行う。
更衣室に行くと4組の女子生徒達がいた。
着替える場所を探すために辺りを見回すと……見覚えのある人がいた。
その人は梓が今一番会いたくない人——姫乃。
姫乃は背中を向けて着替えており、梓に気づいていなかった。
梓は思わず「なんで……!?」と小さく声が出てしまった。
そして、梓はドッと身体が重くなるのを感じた。
どうして姫乃さんが?と思い、梓は思考を巡らせ始めた。
(え? 姫乃さんって4組だったの?
……そういえば、朝に話した時4組に入って行った。
……昨日は姫乃さんが下僕に囲まれてた場所、4組の教室の前だったような。
……それに……確かに体育の授業にいたかも……気にしてなかったから忘れてたけど。
気まずいな。さっき説教じみたことしたし、怒ってないかな?)
梓は姫乃をじっと見つめながら考え込んでいると、姫乃はその視線に気づき、振り向いた。
姫乃の目に、後ろで棒立ちして視線を送る梓が
映った。
姫乃は梓だと分かると、少し不機嫌気味に声をかけた。
「なによ? あたしに何か用? また説教するの?」
「いや……」梓は気まずさからか、説教をしたことを言われたからか、咄嗟のことで言葉が出なかった。
梓は何か言わきゃと、焦って目を下に落とした。
すると着替え途中で漆黒の高級そうなブラジャーに締め付けられた、姫乃のたわわな胸が目に入った。
梓は早く何か言わないとという焦りから、
「胸、大きいね」
と言ってしまった。
「は?」姫乃は何こいつと言わんばかりの顔で、梓を睨んだ。
「何バカなこと言ってるの?」
梓の顔はリンゴのように赤くなって、自分でも「何言ってるんだろう」と思い逃げ出したかった。
「あはは……」
愛想笑いをして姫乃に背を向けると、遥花がちょうど入って来て目が合った。
「あっ……」「あっ……」
2人は声が出て、気まずい空気が流れた。
姫乃は梓の視線の先に目をやった。
梓が見つめているのが、昨日邪魔をした人だと気づいた。
「あなた、昨日梓と協力してあたしをひかりに会わせなかったわね」
遥花と梓の気まずい空気に割って入ったが、更に空気が悪くなった。
「えっと、姫乃か……それはそうだけど、ひかりに手伝って欲しかったから……」
「何かしら? あなたまであたしを侮辱するの?」
「そういうわけでは……」
遥花は梓に助けを求めるかのように目をぱちぱちさせた。
「遥花さんは人手が欲しくて、姫乃さんはひかりと遊びたかった……ひかりが選んだのが遥花さんだっただけ」
梓は言葉を選びながら姫乃に説明した。
しかし、逆効果だった。
姫乃はそれを聞くと、頭に血が上った。
「何よそれ!! あたしがひかりに選ばれなかったってこと!? 下僕なのに許せないわ!!
やっぱり、ひかりの所に行く!!」
姫乃はブラジャー姿なのに外に出ようとした。
遥花と梓は絶対に行かせないようにドアを塞いだ。
「ちょっと、姫乃さん! さすがにその格好はダメだって!
それにさっきも言ったけど、その日は何度も姫乃さんに会ってるから、遥花さんを選んだんだよ!」
「そうそう、ひかりは姫乃の所に行きたかったけど、ウチの所に来てくれたんだ」
2人の言葉で姫乃の足が止まった。
「本当なの?」
姫乃は疑い深く質問してきた。
2人は頭を上下に素早く動かし「うんうん」と連呼した。
「それならいいわ」
姫乃は引き下がって、着替えを再開した。
2人は「ふぅー」と胸を撫で下ろした。
「ありがとうございます。私だけだったら止められなかった」
「いいよ、これくらい!」
2人の気まずさは姫乃と共に去って、少し仲良くなったそんな雰囲気だった。
かと言って、2人は離れた所で着替えをした。
梓は先のことを考えて、憂鬱になった。
( 姫乃さんとこれから1時間一緒……いやだよーー)
体育の授業編に続く。
TO BE CONTINUED




