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【魔魅相談!】〜無双出来る力は遅刻回避に使う!?ポンコツ魔法使いと苦労人ツッコミ〜  作者: 風みやび
1年の4月

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第18話 ミッション『姫乃の魔の手から逃れろ』スタート!

 ひかりに食べさせられたポッチー×米の影響で姫乃と梓は食欲もなければ活力もなく、その後の授業を受けた。


 姫乃は5時間目終わりの休憩時間にも、またひかりの側に行こうとしたが、また食べさせられるという未知の恐怖からか、近づけなかった。


 とはいえ、ひかりの側にいたい気持ちも強く、休憩時間中は教室のドアからひかりを凝視していた。


「ふうー、今回は姫乃ちゃん来ないんだ」

 と安堵の声を出した。

 ひかりは朝から姫乃の相手をして疲れていた。


 ようやく肩の荷が下り、気を休めると木の上でじっと狩りの機会を狙っているヒョウのような視線を感じた。


 身の毛がよだつような思いで、視線を感じる方を見た。

——姫乃が目に映る。


「うぇ!!」と驚きの声をあげて、体はビクッと脊髄反射した。

「姫乃ちゃんいたんだ」


 と声をかけるが、姫乃は何がトリガーとなってまた食べさせられるか分からず警戒して、答えなかった。


 何も答えない姫乃にひかりも変に警戒をする。

 どちらも怖がっているだけなのに、お互いに何かしてくると思い込んでいた。


 なので、もちろん何も起きるはずはなく、キンコンカンコンとチャイムが鳴り響き、姫乃は自分の教室に戻って行った。


「なんだったんだろ?」

 ひかりは呟いた。


 6時間目が終わり、ひかりはすぐさまドアを見ると、やっぱり姫乃が来た。

 中には入らずじっとひかりを凝視していた。


 ひかりは席を立ち、姫乃に話しかけた。

「どうしたの?」

「なんでもないわ」

「なんでもなかったら、自分の教室戻ったら?」

「あたしの自由だわ」


「アタシに何か用があるけど言い出せないの?」

「そんなはずないじゃない。あたしが下僕に躊躇う訳ないわ」

「そんなこと言って、もしかして……」

 ひかりはポケットに手を入れて何かを取り出そうとした。


 その瞬間、姫乃の脳から危険信号が出て、本能的にその場を立ち去った。


 ひかりは「あれ?」と自然と声が出て、

「ポッチーあげようと思ったのに……」

 と続けた。


 姫乃は逃げて正解だった。


 そして放課後——。

 姫乃はOSBに行ってひかりがどんな風に活動しているか気になってしょうがなかった。


 それは、覚悟を決めないとかえって身を滅ぼす行為だった。

 だが、姫乃は黒川グループの令嬢なこともあり、自分の感情よりも利益を優先する教えを守り、意を決して教室を出た。


 すると、ぐわっと自分の下僕が集まり、姫乃の周りを囲んだ。


「姫乃様、今日も一段と美しいです!」

「姫乃様、本日はお日柄が最高ですので外でティーはいかがですか?」

「姫乃様、ボクを踏んづけてください!!」


 下僕達はそれぞれの想いを言葉に込めて口々に言い立てた。

「あたし今日は行く所があるので、みんなは帰りなさい」


 姫乃は言い方も声も優しかった。

 だが、下僕は言う事を聞かず、

「ついていきます!」

「いえ、やはりティーを飲みましょう」

「ボクを踏んづけてください」

 と言いたい放題だった。


「ついてこなくっていいわ」

 と姫乃は大声で言うが、下僕には聞こえていなかった。


 そんなことをしていると、ひかりと梓が教室から出てきたのが見えた。

「おーい、ひかり。あたしをOSBまで案内しなさい」


 ひかりは立ち止まって、姫乃の方を向いて、

「姫乃ちゃん人気だね」と呟いて行ってしまった。

「ちょっとひかり待ちなさいよ!あなた達邪魔!」


 姫乃はキレて下僕に当たるが下僕はどかず自分達の主張をし続けた。


 ひかりと梓は何事もなく部室に着いた。

 着いた途端、ひかりは席に座り机に突っ伏した。


「疲れたー。やっと姫乃ちゃんから解放される〜」

「朝からだもんね。もうほぼストーカーだね」

 梓は戯けたように言った。


「梓は知らないと思うけど、人に追われるのは疲れるんだから!」

「でも、男じゃないだけ私よりいいじゃん」


 ひかりは「え?」と目を丸くして驚いた。

「ストーカーされたことあるの?!」

「うん、一回だけ」

「いつ?」

「小学生の頃に」


「大丈夫だったの?」

「別にクラスメイトだったから、そこまで酷くはなかった」

「へぇ〜梓ってモテてたんだ」


「違うよ。変な人に好かれるだけ」

 梓は眉間に皺を寄せて嫌そうな顔で話した。


「まあ、人に追われるより、やっぱり追われるならポッチーが良いな!」

 ひかりは場の空気を変えるために元気よく言った。


「人外。無理してボケなくていいよ」

「いやいや、いつも追っかけてるんだから、たまにはさ、追っかけられたいじゃん!」


 ひかりの真面目にアホなことを言う姿に、梓はふふっと、笑った。


「ひ〜か〜り〜!!!!」


 突然廊下から姫乃の怒りが乗った声が聞こえた。

 ひかりは咄嗟に『透(・)明(・)』と言って、魔法によって姿を完全に消した。


 ひかりが透明になってすぐに、バタン、と音が鳴るほどドアを強く開けて、姫乃が入って来た。

「あたしを無視して行くなんて、教育が必要かしら?」


 姫乃は違和感を覚えて教室を見渡し、気がつく、ひかりがいないことに。

「梓、ひかりはどこに行ったの?!」

「私も知らない。トイレとかかな?」

 梓はひかりの味方をして、とぼけた。


「知らないはずないわ、さっき一緒に歩いてるところ見たもの」

「トイレ行くって言ってた」


 姫乃の目が鋭くなり、

「なら、最初に知らないなんて言わないはずだわ。隠しているのはお見通しよ」

 と言って、部室をくまなく探し始めた。


 当然見つからず、

「まあ、いいわ。隠れたところであたしの手からは逃れられないもの」

 と言い残し、出て行った。


 ひかりが透明を解除して姿を現した。

「危なかった。教育って言ってたけどアタシ見つかったら何されるの?」

 不安そうな目で梓に聞いた。


「分からないけど、やばそうだし今日は帰る?」

「そうしよっかな」


「ひかりーー!!」


 また廊下から声が聞こえてきた。

 ひかりは姫乃が帰ってきたと思い、すぐさま『透(・)明(・)』を使った。


 ドアが優しく開くと、半袖のTシャツに短パン姿の——遥花だった。

「あれ?梓しかいないの?」


「えっと……」と梓が言葉を詰まらせていると、ひかりが透明のまま言う。

「アタシならここにいるよ!」


 遥花が「うん?」とキョロキョロ教室を見渡す。

 ひかりは透明を解除して、梓の隣に現れた。


 遥花がひかりを見ると、

「ふぇ、あべ?!!」

 変な声を出して尻餅をついた。


「遥花、大丈夫?」

 そう言い、遥花に近づいて手を差し伸べた。

 遥花がその手を掴み、立ち上がった。

「なんで急に現れたの?」


「姫乃ちゃんから逃げてたから、遥花を驚かせるつもりはなかったんだよ」

「姫乃ってあの子?今日ずっとひかりの側にいた」

「そうそう、ちょっと疲れたから今日はもう帰ろうかと思って」


「じゃあ、無理か」

 と遥花は肩を落とした。

「どうしたの?そういえば何しに来たの?」


「ウチ女子バスケ部なんだけど、マネージャーが2人いて2人とも休んで、今日はマネージャーいないんだよ。

 だからひかりと梓に今日だけマネージャーしてもらおうと思ってたんだけど」

 遥花はがっかりした表情を浮かべた。


「それなら、引き受けるよ!」

 ひかりは快く引き受けた。

 それを聞いた遥花はニッ、と笑顔になった。


「ほんとに!?梓もいい?」

「いいですけど——ひかり、姫乃さんはどうするの?」


 ひかりはしばらく考え、

「スパイみたいに姫乃ちゃんから隠れながら行けば良いんだよ!」

「散々考えた結果がそれ……」

 梓は呆れて言葉が出てこなかった。


「ひかり、いいね!楽しそう!」

 遥花は名案だと思いひかりを褒めた。

「でしょでしょ!じゃあ早速行こう!」

「え?!ほんとにやるの?」

 梓はまだ乗り気ではなかった。


「もちろん!アタシ見つからないので!」

「バスケの練習始まってるからなるべく早く行こう」

「無理だと思うけど、ほんとにやるの?」

 梓はまだ覚悟を決められていないが、ひかりはお構いなしに始める。


「梓、行くよ!ミッションスタート!」

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