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魔魅相談!〜魔法JKひかりがお悩み相談部と共に魑魅魍魎なキャラ達を巻き込む〜ドタバタ学園生活!  作者: 風みやび
1年の4月

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第16話 ひかりのストーカー?①

「ごきげんよう!あたしの下僕——ひかり!」


 時は朝。朝日が町を照らし、希望と活力を運ぶ。雲ひとつないとても良い天気だ。


 それを気にも留めない様子で、空を全力疾走で翔る——ひかり。

 いつもの如くひかりは寝坊して、遅刻しないように魔法を使って走っていた。


 学校が見えてくると、魔法を解除して地面を走る。

 校門の近くにはいつもの先生が立っていた。

 ちらちら、と腕時計を見ては校門を見る。登校時間が迫り、門に近づく。


 先生が門に手をかける瞬間、校門の正面から白い砂煙を上げながら走ってくるひかりの姿が現れる。

「うおおー!間に合えーー!」と雄叫びを上げ、最後にスピードを一段階上げる。


 残り30メートル、20メートル、物凄い速さで校門に近づき、残り3メートルまで迫る。

 まだ時間にはならず、先生は門を閉める様子はない。


 ひかりは(間に合った!)そう確信した途端、視界が低くなっていき、地面に激突した。

 ひかりは道路のひびにつまずいて、受け身が出来ず腹打ちし、そのままの姿で勢いよく校門を通過した。


 先生は目を見開いて驚愕し、急いで駆け寄る。

「大丈夫か?」

「間に合った?」

 ひかりは自分の体の心配より、遅刻の心配の方が大きかった。


 先生が腕時計を確認するとちょうど登校時間を過ぎた。

「ああ、間に合ったぞ。自分より遅刻の心配か、ほんと変わってるな。ほら、立てるか?」

 先生は少し戯けたように言い、手を差し伸べる。


 ひかりはその手を掴み、立ち上がる。

「ありがとうございます」

 先生はひかりの顔を見て、唇の端をひきつかせながら

「本当に大丈夫か?顔赤いぞ」

 と言った。


「大丈夫です!こんくらいならすぐ『治(・)る(・)』んで!」

 ひかりは清々しく言って、魔法を使い治りを早めた。

「それならいいが……保健室行った方がいいぞ」

「大丈夫ですって!それじゃ!」


 ひかりは先生の心配を受け流し、教室に向かった。

 顔の傷が浅かったのか、魔法が強力だったのか、教室に着く頃には治っていたが衝撃は残っており、腹を摩っていた。


 残った痛みに気を取られ、前を見ておらず自分の教室のドア付近に行くと、


「ごきげんよう!あたしの下僕——ひかり!」

と聞き覚えのある声が聞こえた。


 その声でひかりは前を見ると、ドアの横にひかりと同じポッチーのヘアピンをつけた姫乃が、ふんっ、と得意げに仁王立ちしていた。

「おはよう!姫乃ちゃん!ごめん、気がつかなかった」


 ひかりは痛みを隠し、元気に挨拶をした。

 姫乃はそれを聞き、頭に血が上った。

「はあーー!!このあたしに気がつかなかったですって!!勝負に一回勝ったからって、あたしの下僕のくせに調子に乗らないでちょうだい!!」


「ごめんね……実はさっき転んじゃって……」

 それを聞いた姫乃は、怒りから一変して心配が頭を埋める。


(転んだ?怪我はないのかな……医者に診てもらった方がいいわよね……救急車呼びましょ、って何番?

 確か1と9だけでどっちかが連続していたような…………そうだわ、911よきっと、そうに違いないわ)


 と頭の中で繰り広げている間、ひかりは黙って考えにふけている姫乃を見守っていた。


 なかなか口を開かないので、ひかりは

「見ての通り傷もないし、全然大丈夫だから、心配しなくていいよ!」

 と言って教室に入ろうとした。


 姫乃はドアに手をかけて、ひかりが入るのを防ぎ、ひかりの全身をくまなく見た。

(確かに、どこも怪我してなさそうね!良かった!)


「ふん、怪我がなくてなによりだわ。ひかりには馬車馬のように動いてもらわないとだから、また来るわ」

 そう言い残し、姫乃は自分の教室に戻って行った。


 ひかりは姫乃の言ったことが理解できず首を傾げる。


 教室に入り元気良く挨拶をして梓の席に向かった。

「おはよう!ねぇ、梓、さっきの会話聞いてた?馬車馬のようにって何?」

「聞いてたけど、たぶん心配しているってことなんだと思う」

「そっか!」

 引っかかりが消えて、ひかりはスッキリした。


「あと色々と言いたいことがあるからいい?」

 梓は逆に引っかかりが残っていた。

「いいよ!」

「いつから、下僕に成り下がったの?転んだって大丈夫?」

 とひかりに心配を向ける。


 ひかりはピン、ときてなかった。

「怪我はほんとに大丈夫だよ……下僕ってなんのこと?」

「さっき姫乃さんが言ってたでしょ。あたしの下僕——ひかりって」

「そういえば言ってたね!」

 ひかりは楽観的に答えた。


「言ってたね!じゃないから、下僕は負けたらの話だよね?」

「そうだよ。まあ、また来るって言ってたしその時聞くよ!」


「あと、姫乃さん私がこの教室来た時にはもうドアの横で立ってたから」

「待っててくれてたんだ!あとで謝っておかないと」


「それといつも遅刻してくるから、そんなに早く待ってないで良いことも伝えないと」

 梓は冗談混じりに言った。

「梓、それは余計だよ!それにいつもじゃないもん」

 ひかりはむすっとして、自分の席に着いた。


 ホームルームが終わると、姫乃がひかりめがけて来た。

「あら、下僕があたしの話をしてどうしたのかしら?」


 ひかりはいきなりのことで何を言っているのか少し考えて、さっきの梓の会話だと思いつく。


「ああ、そうそうなんでアタシのこと下僕って言ったの?アタシが勝負に負けたらの話だったじゃん」

 ひかりが質問した。


「そんなの決まっているわ、ひかりはあたしの下僕として決定したからよ」

「決定?!アタシ認めてないけど」

 ひかりは困惑した表情を浮かべる。


「拒否権はないわ。あたしがルールだもの。それより、あたしに言うべきことがあるわよね?」

「そんなこと言われても、下僕は嫌なんだけど」

「いいから言いなさい、謝るんでしょ」

 ひかりはそれを聞き、さっきのことを思い出した。


「朝から待っててくれてたんだね!待たせてごめんね!」

「ふんっ、謝ればいいのよ!」

 姫乃は鼻を鳴らして、上から物を言った。


「そんなに会いたかったんだね!」

 ひかりは付け加えるように言った。

 姫乃はまた頭に血が上る。


「はあー!!そんなわけないじゃない!!あたしはただ、その…………もういい!!」

 言葉が浮かばなかったのか、それとも言えなかったのか、姫乃は続きを言わず立ち去った。


 ひかりはふふっ、と笑みを浮かべた。


 1時間目が終わるとまたしても姫乃がひかりの側に来た。

 姫乃は黙ってひかりを見つめている。

 ひかりも見つめているとヘアピンに気がついた。


「あっ!姫乃ちゃんそのヘアピン!アタシとお揃いじゃん!?」

 姫乃は気づいてくれたことの嬉しさで少し口元が緩んだ。


「別に合わせたわけじゃないわよ。昨日、たまたま貰ったからつけただけだから」

「そっか!似合ってて可愛いよ!」

 姫乃は顔から全身にかけて熱湯風呂に入ったように赤くなった。


「か、か可愛い?!ふ、ふんっ、下僕に言われても嬉しくなんかないんだから」

「顔赤いけど大丈夫?」

 ひかりは聞くが、姫乃は「ひかりも似合ってる」と物凄く小さい声で言って走り去った。


「あれ?行っちゃった」


 ひかりのクラスは移動教室にも関わらず、2時間目の終わりに姫乃がやって来た。

「どうしたの?」

 ひかりが質問した。

「別に何にもないわ」


 姫乃はそう言って、黙っていた。

 ひかりは何か話した方がいいよなと思い話しかける。

「そういえば、なんでホームルームの後来たとき、梓との会話知ってたの?」


「特別に教えてあげるわ。あたしの下僕にひかりを観察させてたの」

 えっ、とひかりはシンプルに引いた。


「やめてほしい」

「やめさせても、聞こえてきたらしょうがないわよね」

「うん……まあ、それしょうがないけど、後とかつけないでよ」

「分かってるわよ。それより、早く教室戻りましょ」

 姫乃はひかりに手招きをする。


「一緒に戻りたいんだ」

「馬鹿言わないで、あたしが一緒に戻ってあげてるのよ」

 ひかりは姫乃と一緒に教室に戻った。


 3時間目が終わるがひかりの教室ではまだ授業をしていた。

 なのに姫乃は堂々と入り、ひかりの側に行った。


「おい、君、まだ授業中だぞ」

 と先生が注意した。

「あら、もう休憩時間でしてよ!それなのにまだ授業をしている先生に問題がありますわよ」

 姫乃は臆せず、言い返した。


「だからって入るのはダメだろ」

 先生が弱気になりながら注意した。

 姫乃はそれを無視してひかりに話しかける。

「そういえば、OSBって何なの?」


 ひかりは答えていいのか、授業中だから黙っておくべきか困惑している。


「お、おい」と先生がまた注意しようとした時、生徒の1人が「先生早くしてください、休憩時間なくなります」と言った。


「分かってる……えっと、まとめに入るぞ」

 先生は仕方なく授業を再開した。


「ひかり、あたしは一度しか言わないわ、答えなさい」

 姫乃はひかりに圧をかけた。

「姫乃ちゃん、さすがに授業中はやめてよ。それ以外ならいいからさ」

「分かったわよ」


 姫乃は授業が終わるまで、ひかりの側で待った。

 授業が終わると早々に質問した。

「で何なの?」

「OSBはお悩み相談部の略語のこと」

「お悩み相談部?それは何なの?」

「お悩み相談部はみんなのお悩みを解決するの!」


「それ楽しいの?」

「楽しいよ!みんなが笑顔になった姿を見ると嬉しくなる!」

「どこにあるの?」

「2階の奥の方にある」

 姫乃は質問をし続けて、ひかりはその質問に答え続けた。


 昼——。4時間目が終わると、姫乃が漆塗りの重箱を持ってひかりのところにやって来た。

「ひかり、一緒にご飯食べてあげる」

「梓といつも食べてるから、3人で食べよう!」

 ひかりが提案した。


 姫乃は梓の方を見て、「まあ、いいわ」と言った。

 ひかりと梓が対面に座り、姫乃はひかりから見て左側に座った。


 ひかりは姫乃の弁当を見て驚いた。

「すごい弁当だね!?」

「当たり前でしょ。黒川グループの令嬢がそこら辺のチンケな物食べるわけないわよ」


 梓は寝耳に水なほどの言葉に耳を疑う。

「黒川グループ?!」

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