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魔魅相談!〜魔法JKひかりがお悩み相談部と共に魑魅魍魎なキャラ達を巻き込む〜ドタバタ学園生活!  作者: 風みやび
1年の4月

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12/52

第12話 話猫道中飼探

昨日と今日21:30に投稿できず申し訳ございません

 朝——。

 天気は快晴だった。日差しが燦々と降り注ぐ。


 すらっとしたロング丈のデニムスカートに、清潔感がある白いカットソーを着て、深緑色のカーディガンを羽織った梓が到着すると、すでにひかりが校門の前で立っていた。


 梓は双眸を見開き、少し驚いた。

「早いね。いつ来た?」

「本当に今来たとこ!」

「それもそうだよね。だって——9時にしようって言ったら10時が良いってものすごい勢いで言ったもんね」

「そうそう、遅刻するわけないよ」


 少し前——。

 梓が駅のホームで電車を待っている時、ひかりはというと……

「えーー!!なんで朝起きたら9時40分なの?!」

 ひかりは今起きたところだった。


 焦りでバタバタしながら準備を済ませる。

「やばいー……『変(・)身(・)』」

 と言うとひかりの全身が光に包まれて、気がつくと、上は明るさが出る白い柄物のTシャツで、下は動きやすいガウチョパンツになった。

 髪はいつものポッチーのヘアピンで前髪を留めて、茶色のショルダーバッグを掛けて準備万端になった。


「よし、行こう!いってきます!」

 そして家を出て、マンションを出ると流れるように

「『透(・)明(・)』プラス『浮(・)遊(・)』」

 と言って、体が透明になり浮いて空中に見えない床があるように、全力疾走で学校に向かう。


 それは、いつも学校に行く時と同じ光景が広がっている。

 違う点は私服なだけで、いつも登校するより1時間遅いのに何も変わらない。


 校門に着く直前に、ひかりは梓の上を通り、先に着いて梓を待っていた。


 そして、今——。

「よし、探しに行こう!『サ(・)ー(・)チ(・)』アルの首輪はどこ?」

 ひかりの頭の中に、校舎の影で薄暗い低木の下で丸まって寝ているアルが、流れてきた。


「どこだった?」

「たぶん、校舎裏」

「学校の敷地にいるの?」

「うん。とりあえず行こう」

 2人は校舎裏に行き、低木を探す。

 ひかりは低木の下に茶色のものが見えて、指を差し、向かう。


 アルはぐっすり寝ていると、草が踏まれる音が聞こえてきた。

 アルは耳をピンとさせて、目を大きく開けて、音の方を見ると、ひかりがしゃがんで顔を覗き込んでいた。


 アルの黒目が一回り大きくなり、全身の毛が逆立った。

「なんでいるにゃ?!!」

「サプラーイズ!アル、もう朝も遅いよ。どんだけ寝るの?」

「ひかりに言われるのは酷だね」

 梓は小さく呟いた。


「いや、だからなんでいるにゃ?」

「それは、アルの飼い主探すためだよ!」

「いらないって言ったにゃ。帰るにゃ。じゃないと、正体バラすにゃ」

 アルは黒目を細め、ひかりを睨み、言った。


「ねぇアル、ひかりの正体バラすなら、アルの正体もバラすよ」

 梓はアルの痛いところをついた。

 アルは耳を折りたたみ、下を向く。

「にゃ?!それは……」

「アル、行こう!拒否権はな〜い〜!」

「いやにゃ、いやにゃーーー!!」

 ひかりは嫌がるアルをバッグに入れて、町を探索する。


 町行く人を見かけたら、アルに「あの人はどうか」を聞く。

 最初に前方から向かってくる、しわが浮き出た紺色のスーツを上下に身に纏い、やつれた顔の人について尋ねた。

「あの人はどう?」

「いやにゃ。見るからに飼える状態じゃないにゃ」


 スーツの男は

「猫いないかな……甘えたいな……」

 と呟いた。


「ほら、あの人猫欲しそうだよ」

「だからって無理にゃ。それに、甘えたいなら、猫より、女の人間にやってもらえにゃ」

 アルは冷たく言い放った。


 次に同じ服を着て、手を繋ぎながら、2人だけの世界を作り幸せそうな顔で歩くカップルが、横断歩道の向こうに赤信号で止まっていた。


「あの、カップルは?」

「カップルなんて絶対いやにゃ。どっちかが捨てた時、にゃあも捨てられるにゃ。あと、町中でペアルックとか死ぬほどダサいにゃ」

 アルは捨てられた思いからかカップルと、なぜかペアルックをとても嫌がった。


 次に首から下の肌の色と顔の肌の色が違いすぎるほど白く塗られた顔、それによって、目立つ真っ赤な唇、生地がしっかりした服装に、ギラギラ輝くアクセサリーを身につけた、いかにもなマダムが前から歩いてきた。


「あの人は?」

「ああいう人間はめっちゃきつい香水つけてるからにゃあは無理にゃ」

「うっ、それは分かるよ……」

 梓の祖母は香水臭かったことを梓は思い出して、心にダメージを負う。


 そんなこんなで学校近くの広い公園に着く。

「ひかり、なんで公園?」

「それはここの公園広いから、いろんな人来ていると思ったから」

「なんにゃその浅はかな考えは?」

「別にいいでしょ」


 青のポロシャツにスキニーパンツを履いたお父さんがよちよち歩きのまだ小さな子供を抱っこして、シャツワンピースを着たお母さんが赤ちゃんのいるベビーカーを押して、散歩していた。


「あの家族いいんじゃない?アルに愛を教えてくれそう」

「子供はうるさいだけだからいやにゃ。特に赤ちゃんは力の制御なんかできないから、無理にゃ」

 アルは全員を否定して、飼われる気が全くない様子。


 それを見かねた、2人は話し合う。

「梓、どうする?このままだと、OSBで飼うことになるけど」

「いやにゃ。ひかりに飼われるのは1番いやにゃ」

「なんでよ?!」

「まあまあ、まだ時間あるだしいい人いるよ」

 梓は2人を宥める。


 急にアルが体をバタバタして、バッグから飛び出した。

「トイレ行きたいにゃ」

「逃げないでよ」

「分かってるにゃ」


 アルは近くの草むらで済ませた。

 スッキリした顔で戻ってくる。


「よし、いくよ!」

「待つにゃ。ひかり、にゃあの粗相を片付けるにゃ」

「なんでよ?!」


「ひかりは傍から見れば、にゃあの飼い主にゃ。だから、ペットの粗相を片付けないなんてマナーがなってないにゃ。恥ずかしくないのかにゃ?」

 とアルに言われ、ひかりは言い返す。


「——アルこそ、人に見られそうになりながらトイレは恥ずかしくないのかな?」

「山奥でトイレがなかったら人間だってするにゃ。それと同じにゃ。でも、にゃあは人間に見られても別に変じゃないにゃが、人間は捕まるにゃ」

「…………」

 ひかりは言い返せなかった。


「アルの言う通りだね。私がやるよ」

「いい、アタシがやるから。梓は待ってて」

 ひかりはコンビニに全力疾走で向かう。

 ツナ缶をレジに持って行き、袋を貰い、また全力疾走で戻る。


「はあ、はあ、袋貰ってきたよ。片付ければいいんでしょ」

 ひかりはアルがトイレした所に向かう。

「にゃははは、飼い主頑張れにゃ!」

 ひかりはイラっとする。


「『浮(・)遊(・)』浮いて袋に入れ」

 茶色い物は浮いて、袋に入っていった。

 はあーーと深くため息をつき、アルにやり返そうとする。


「あ〜美味しっ!このツナ缶めっちゃ美味しいな!」

 ツナ缶をアルに見せつけながら食べている。


「うっ……ツナ缶が美味しくなさそうに思ったの初めてにゃあ……」

「私を初めて……ひかり、なんでポッチー2本を箸代わりに使っているの?しかも、ツナ掴んだ部分を一緒に食べるのはなんで?」


「ツナとポッチーが合うに決まってるからでしょ!小さくなったら、新しくすれば良いだけだから」

「見てたら、別の所からも汚物が出そうにゃ」

「私も気持ち悪い」

 2人はひかりに背を向けて、こそこそ話す。


「梓、あれは妖怪か何かにゃ?」

「ひかりの唯一変わっているところ」

「どうすればいいにゃ?」

「こういう時は、美味しそうも美味しくなさそうも言ったらいけない。触れないのが1番」

「分かったにゃ。梓がいて助かったにゃ!にゃあ1人なら確実に気が滅入ってたにゃ」


 2人はひかりの方を向き話す。

「いや〜今日はいい天気だにゃ」

「そうだね、こんな日は散歩でもしたくなるね」

「分かるにゃ。ひかりがご飯食べてる間散歩しないかにゃ?」


「それ良いね。ひかりはゆっくり食べてて。私達、周りを散歩するから」

「え、なんでアタシも行くけど」


「ダメにゃ。食べ歩きは危ないにゃ」

「そうそう。近くを歩くだけだから、待ってて大丈夫だよ」

「ひかりが食べ終わる間だけにゃ。さあ、行くにゃ」

「うん、そうだね」

 終始言葉に感情が無く、一定の音程で話した。


 2人は歩き始める。

「え、ちょっと待ってよ。」

 ひかりは急いで食べて2人に追いつく。


 その後も公園を歩いて回る。

「あの人はどう?」

 ひかりが指を差した。

 その先には、段ボールを敷いて寝ている、黒ずんだ箇所が何個もある服装の男がいた。


 アルは即答せず、少し考えて話す。

「いや、あの人間は自分の事でいっぱいだと思うにゃ。にゃあは違う人間がいいにゃ」

 アルは何故か同じ人間なのに配慮した言い方で断った。


「当たり前にゃ。にゃあは天才だから配慮して炎上回避するにゃ」

 と誰もいない所に向かって言った。


「誰に言ってるの?」

 ひかりは首をひねり、聞いたがアルは無視した。

 梓は腕時計を確認して

「ひかり、そろそろお昼ご飯にしない?」

 と言った。

「そうしろにゃ」

「え〜アタシまだお腹空いてないよ」

「それはさっきツナ缶食ったからにゃ」

 アルは怒鳴るくらい大きな声でツッコミを入れた。

「分かったよ」

 ひかりはアルの勢いに押されて承諾した。


「アルがいるし、コンビニで買って食べよう」

「それいいね!お花見じゃん!」

 ひかりは切り替えて、ご飯食べる気満々になった。

「桜はもう散ったから、ピクニックだね」

「アタシ買ってくるから梓は待ってて」

「いいよ、私が行くから」

 梓は首を横に振り、ひかりにはいてもらおうとする。


「いや、いいから」

「ひかりはもう行ったから、私が行く」

「2人で行くにゃ」

 アルは2人のやり取りに割って入った。

「逃げるからダメ」

「にゃあのも買ってくるにゃ?」

「うん」

「飯くれるなら、待っとくにゃ!最近まともなもの食べてないからにゃ」

 アルは元気な様子で小さくジャンプしたり、ルンルンで回り始めた。


「待っててね!」

 2人はさっきのコンビニに行って、おにぎりとサンドイッチとドライフードを買って、公園に戻る。


 戻るとアルが髪は無造作で、白いTシャツにデニムを身に纏った大学生くらいの男に絡まれていた。


 アルは目を鋭くし、毛を逆立たせ脚を伸ばし体を大きく見せて、「シャーー!」と威嚇している。


 男は弱腰で

「ごめん、ただ君が可愛かったから撫でようとしただけだから」

 と言った。

 そこに2人は近づいた。


「あの、アルに何か用ですか?」

 ひかりは最初に口を開いた。

「あっ、君達の猫だったんですね。えっと、実家で飼ってた猫に似てて、すみません」

 男は頭を下げた。


「へぇ〜猫飼ってたんだ。いつからですか?」

 ひかりは質問し、深掘りする。


「僕が2歳の時からいてね。家にいるときはずっと一緒だったんですよ。

 寝る時も病気で家にいるときも側で見守ってくれた。

 でも3年前から病気で歩くことが困難になり、寝たきりの日々が続いた。だから今度は僕がずっと側で見守った。

 受験勉強もそばでやって、最後までずっと一緒だったな。

 すみません、長々と話してしまい。帰りますね」

 男は帰ろうと2人に背を向け、進む。


 2人と1匹は話し合う。

「あの人に飼ってもらうのどうなのかな?」

「いやにゃ。あんなしけたやつ」

「いいと思うよ」


 梓は肯定して、目を瞑り、片耳に手をかけ思考を巡らせる。

(アルを説得する方法は——ご飯だ。よし、ならこれでいけるかも)

 とアルを説得する方法を思いつき、実際に試す。


「ねぇ、あの人はアルのことを第一に考えてくれるはずだから飼われてみない?」

「いやにゃ」

 アルはまだ否定する。

 梓は続ける。


「アルがこのままだったら、美味しいご飯に毎日ありつけないし、寝床の安全が保たれない。

 ひかりみたいな人が寝ている時に来るかもしれない。」

 アルはそれを聞き、「でも……」と威勢が弱まる。

 アルにとってご飯が1番だったし、『ひかり』を出したことでアルの心を揺さぶった。


 梓は最後の一押しをする。

「私達に飼われる条件を言って!伝えるから。たぶん引き受けてくれるから」

「分かったにゃ……条件は毎日うまい飯と自由に外出させることにゃ」

 アルは梓の説得に負けた。


「よし!じゃあ行こう!『サ(・)ー(・)チ(・)』さっきの人のデニムのズボンを探して」

 交番の前を通る様子がひかりの頭の中に流れる。

「交番だ!アタシ先に行って待ってる」

 ひかりは走って向かった。


 男が見えてくると

「ちょっと待って!」

 と大声で呼び止めようとする。


 その男は驚いた様子で後ろを振り返り足を止めた。

 ひかりは事情を説明し始める。

「アルを飼って欲しいんです!」

 男は首を傾げて、

「君の猫じゃないの?」

 と聞いた。


「アルは捨て猫で、飼い主を探していたんです。アルがあなたがいいらしいので飼ってくれませんか?」

 男は目を瞑り眉間に皺を寄せて考える。


(飼いたいけど、自分1人で飼えるのか?お金はどうする?でも、アルを見てたら思い出す、猫がいる生活を。

 お金はバイト増やせばいいか。捨てられて可哀想だし最後まで面倒見よう!)

 男は覚悟を決めた。

 その目には真っ直ぐとした意識があった。


「分かった!飼うよ!絶対に最後まで面倒見る!」

「本当!?あとアルから条件があって、毎日美味しいご飯出すのと自由に外出させることなんですけど」

「うん!大丈夫!!」

 男は飼う気満々だった。


 そこに梓とアルが来た。

「飼ってくれるって……えっと、名前聞いてない。アタシは天魔野ひかりです!」

「すみません、僕は小川直人(おがわなおと)です」

「私は鈴木梓です。猫はアルって呼んでますがアルベルトが本名です」


「アルベルトか、カッコいいね」

 直人はアルに向かって言った。

 アルは満更でもなかった。


 ぐぅ〜〜!!とひかりの腹がなった。

「いや〜お昼ご飯まだ食べてなかったからかな」

 ひかりは照れながら言った。

「すみません、どうぞ食べてください」

「いやでも……」


「僕は済ませたんで、それにアルベルトのトイレとか買いに行くんで」

「そうですか。公園で食べて待ってます!」

 直人と分かれて、公園でピクニック気分でお昼ご飯を食べた。


 時刻は夕方——。

 空がオレンジ色に染まっている。

 直人が走って公園に戻ってきた。

「すみません、ご飯とかトイレ買って家に準備してたらこんな時間に」


「いいんですよ!じゃあ、アル、バイバイ!!」

「アル元気でね!」

 アルは嫌そうにトボトボ歩く。

「あとこれ僕の住所です。アルに会いにきても構わないので」

 直人は住所が書かれた紙を渡した。


「ありがとうございます!!」

「それでは」

 直人とアルは横並びで歩いて行った。

 梓は背中を見守り、ひかりは見えなくなるまで大きく手を振った。


「良かった良かった!」

「うん、私達も帰ろう!」


 アルの飼い主探しは幕を下ろすが、アルと直人の絆を深める話が幕を開ける。

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