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AIを使うと馬鹿になる?――その答えをAIと一緒に考えてみた  作者: 山田りく


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【第10章】未来の不確定を減らすための「真の保守」

 最後に、私たちがこのエッセイの出発点とした「保守」という言葉に立ち戻って、この巨編を締めくくりたいと思います。


 世間一般では、「保守的」という言葉はどこかネガティブなニュアンスで使われがちです。「変化を嫌うこと」「古い古い因習にしがみつくこと」「新しいテクノロジーを拒否して、過去の殻に閉じこもること」。これらは全て、保守の偽物であり、単なる「反動」や「現状維持」に過ぎません。


 私たちが再定義した、本当の意味での保守とは、「未来を予測不可能で不確定すぎるものにしないために、いま手堅く備えること」です。


 AIという強大なテクノロジーの進歩は、誰にも止められません。これを禁止して過去に戻ることは不可能です。そして、AI社会という未来には、人間の思考が機械にハックされ、誰も責任を取らない綺麗な一般論によって社会が静かに思想統制されていくという、巨大な不確定要素リスクが潜んでいます。


 この予測不能な荒波を前にして、本当の保守主義者が取るべき行動は、子どもたちからAIを遠ざけることではありません。


 大人がするべきなのは、どれほど時代が変わり、道具が進化しようとも、人間が人間として社会を生き抜くために絶対に手放してはならない「普遍的な土台(不易)」を見極め、それを手堅く子どもたちに引き継ぐことです。


 その土台とは、かつてエジプト時代から、そしてインターネットの黎明期を経て、現代のAI時代に至るまで、人類が何千年もかけて磨き上げてきた、たった2つの力です。


 ひとつは、幼児のように「繋がっているか」を確かめる「接続確認の力(疑う力)」。


 もうひとつは、自分のモヤモヤを他人に明け渡さない「曖昧さを言語化する力(紡ぐ力)」。


 この2つの羅針盤さえしっかりと子どもたちの胸の中に渡しておくことができれば、未来がどれほどAIによって激変しようとも、社会が不確定な大混乱に陥るリスクは最小限に抑えられます。なぜなら、彼らは機械に使われる「馬鹿正直な従属者」ではなく、機械を道具として使いこなす「自立した人間」として、自分の足で立ち続けることができるからです。


 大人の役割は、未来を拒絶することではありません。「最近の若者は…」といういつものコメディをユーモアを持って俯瞰しながら、守るべき人間性のコアだけを手堅く次世代へ手渡していく。それこそが、AI時代を生きる私たちの、最も誇り高く、最も堅実な「保守」の態度なのです。

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