第74話 とどまることを知らず
「「「「「「「えええ」」」」」」」
クラスメイトたちが声を揃えて驚きの声をあげた。
「ふふふ。皆さんは本当に息がぴったりで気持ちいいですね」
笑って言ったのはハイドラコニアン種の女王アリスだ。
「「そんなことはない」」
次に口を合わせて言ったのは個性の塊の魔導王子バインドと剣鬼ライドの二人だ。
強い否定だ。
仲良しとか言われるのが恥ずかしいお年頃の男の子なのだ。
しかし二人の言葉は皆から完璧に無視された。
「しかし、アリス陛下。あなたは一族の女王でしょう。軽々しく我々と戦争を起こすなんて言うもんじゃない」
諭したのは姫騎士アテナだ。
ローデン武王国の王女であり幼少から帝王学を学んだ彼女ならではの忠告だ。
アテナの発言に対して、俺の声を聞いてくれよと二人の男の子がジト目で主張したがやはり無視された。
名付けでリア女王からアリス女王になった少女が答える。
「はい。忠告ありがとうございます。しかし、一族の者全てに名付けをしてくださったアッシュ様は今や我らの神と同然です」
その言葉に最も強く反応したのは、水晶の化身レディと獣人の娘ミイほかアッシュ教徒たち数百人だ。
「アッシュ様神」
「我らの神よ」
一斉にアッシュを讃え始める。
「「「「「「お前ら付いてきとったんかい!」」」」」」
クラスメイトたちが突っ込む。
「ミイ、なんか吹き込んだ?」
こんどはアッシュがジト目で教祖ミイに尋ねる。
ミイは目を泳がせながら……
「いいえ、アッシュが偉大なこと以外何も言っておりません」
と答えるのだった。
アッシュはこめかみを人差し指で押さえつつ言う。
「ごめんよアリス女王。この子たちは『ごっこ遊び』しているだけなんだよ。
お掃除で世界を救おうとかなんとか言いふらしているんだよ」
アッシュが申し訳なさそうに説明した。
「はい。清めの儀式のことですね。おかげで我らの洞窟も清々しい空間に変わりました。
我々もその『世界の汚れをお掃除する』者たちにお加えください」
アリス女王が真剣な顔で申し出た。深々と頭を下げている。礼のことも既に習っているらしい。
アッシュは眉を顰めて首を振る。
「もう、変な誤解はやめてね。汚れをお掃除するのは良いことだから俺も止めはしないけど……」
「ありがとうございます」
半分無理やりにアッシュの了承を得るアリスだ。
そんな二人の姿を生温かい目線で見るのはクラスメイトたち。
「ああ、また信徒を増やしてるよ」
「あれはやられたな」
「もう引き返せないな」
などと口々に感想を述べていた。
真祖アケマドーレの潜む龍の洞窟にてアッシュの無双はとどまるところを知らなかった。
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