第68話 最終兵器
空を埋め尽くす無数の飛竜。背後には強大な魔力を溢れさせている古代龍が二頭。
その一方は空を覆うほどに巨大な上に、溢れ出させている魔力量も桁違いだ。
そんな強大な龍達を前にして真っ赤なアーマーがクラスメイトたちの前に出る。
「最高の出番だ。いくぞ」
姫騎士アテナが叫ぶ。
両腕を左右に開き、決めポーズを取る。
「誘導体射出!」
アテナが叫ぶと先程アッシュがアーマーに仕込んでいた筆の様な物体がいくつも飛び出す。
それはアテナの頭上に飛び出すと大きな円形に展開する。
黒光りしていたそれは、ドラグスレーザーと同じ赤色に輝き始め、直径20メートルの大きな輝く円となる。
「ドラグスレーザー改、発射!」
アテナが力強く叫ぶ。
その瞬間、世界が赤い閃光に包まれる。何もかもが真っ赤に染まる。
アテナの頭上の円から空中に向かって極大のレーザー砲が放たれていた。
その光の巨大な帯は空を穿ち真っ二つに切り裂いた。
次の瞬間、凄まじい爆裂音が鳴り響いた。
腹を震わせ、耳をつんざくような轟音が鳴り響く。
そして、空を埋め尽くす飛竜の群れは消えていた。
「す、凄い」
最初に商人の息子のエディが驚きの声をあげた。
「これは凄まじい」
精霊王子が感嘆する。
「アッシュ様。驚きました」
こんな時でも聖女の眼にはアッシュの笑顔だけを映すようだ。
「うん。凄い威力だったね」
その言葉が終わらぬうちにアテナが胸を張ってやって来る。
「アッシュ。いいな、凄い威力だったぞ」
アテナはとても嬉しそうだ。
「待ってください」
皆が驚き騒いでいる中、エディが叫ぶ。
「あれは……」
震える声でエディが指し示すのは先程の攻撃で消えたはずの二頭の巨龍だ。
「あちゃー。肝心のボスが生き残ったか……あ、こりゃダメだわ。私の魔眼があれこそ殲滅龍だって言ってる。しかも怒り狂ってるってさ」
魔眼のソフィアが絶望したように殲滅龍を指差して叫ぶ。
それを聞いたクラスメイトたちは、絶望の声をあげる。
「アテナ殿下、さっさと殲滅龍と古代龍を撃ち落としてください」
聖女の幼馴染ギネスが慌ててアテナに言う。
するとアテナが頭をかきながら笑う。
「いやあ、すまんな。あれ一回きりの最終兵器なんだよ」
アテナがそう言うと、アッシュが後を継ぐ。
「あれは流石に凄い魔力を使うんだよ。あの誘導体に魔力を込めるのに最低でも二日はかかるかな」
と呑気に説明するアッシュだ。
「「「「「「はあ?」」」」」」
クラスメイトたちからツッコミだ。
「すまん。初めてだったんで狙いが逸れたようだな」
アテナは済まなそうに言う。
その時、怒り狂った殲滅龍の咆哮が世界を震えさせた。
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