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追放された魔無しの俺にだけ、世界最強の魔法がひざまずく  作者: seisei


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第13話 花見だよ全員集合。戦はご遠慮ください

【ここはローデン王国の王宮、武王の謁見の間】


「花見?」


 武王ザカンスは招待状を見ながら愛娘に問うた。


「は、陛下。無礼講だとか。気に召されないなら断ります」


 姫騎士アテナが答える。


「今をときめくアッシュ・グレックを直に見られる絶好の機会、逃すはずあるまい」


 その言葉に姫騎士は目をしばたいて驚いた。


「陛下のお耳まで?」


「何を言っている。あれだけの騒ぎを起こせば誰でも気にかかる。ましてや娘の想い人とあってはな」


 揶揄うように武王が言う。


 アテナがその言葉に顔を伏せた。


「虜にして見せるとか、少し図に乗っていました」


 アテナの反応を見た武王は少し狼狽える。


「まて、アテナ。仔細を申せ」


「アッシュは、わたくしの想像の遥かに上を行く存在でした。陛下もあの桜と言う神木を目の当たりにされたらお分かり頂けるかと。

 あのような神々しい存在を創造できる。人とは思えませぬ」


 アテナは恥ずかしいのか深く俯いて呟くように言う。


 その様子を武王は眉を顰めて見つめた。


「よし! ワシは行くぞ!」


 武王は立ち上がると叫んだ。


「なりませぬ。聞けば無礼講、身分を分けず入り乱れての、らんちき騒ぎを企画しているとか。

 あのお騒がせ公子が何をやらかすつもりか。

 飛竜も奴が呼び込んだ疑いがあります。

 陛下、短慮があってはなりません」


 忠臣が必死に止める。


「何があっても行くぞ。ワシに危害を加えられる存在がいると思うか?」


「ならば護衛は私が決めさせて頂きますぞ」


 そんな話が進む、その同じ時刻……


 アッシュは、魔眼のソフィアに歌と踊りを仕込んでいた。



☆★☆


【魔導国の王の間ではバインドと魔導王が話していた】



「親父。久しぶりだな」


 バインドの前には巨龍の頭に跨る魔導王ゴードがいた。


「バインド。お前、ワシを差し置いて魔導王と名乗っておるそうだな」


 真の魔導王ゴードが超重低音の声で問うた。


「ん? あれは格好付け。本気じゃない。もし皇太子の地位を剥奪されるなら自由に。

 それよりも、俺に金をくれ。皆の度肝を抜いてやりてぇんだ」


 嬉しそうにバインドは言った。


「お前ほどの召喚能力と頭脳があればそれくらい容易いだろう。遊びが過ぎるぞ」


 ゴードが吠える。


「あはは。最初はおちょくるつもりだったが、完全にやられた。あの格好で学園を練り歩く感性が理解できん。

 あの桜って木も舞台に最高。あれは学園になくてはならない。あの感性。

 俺はやられちまった」


「なんだ、そうか。良い友を得たようだの。友情は何にも勝る宝だ。大事にせよ。

 度肝を抜かすほどの小遣いをやろう。

 箔付けに近衛兵を連れて行け。

 そいつを驚かせてやれ」


 ゴードはいたずらっ子のように笑った。


「親父、分かってんじゃん」


 バインドが笑いながら言った。


 男は何歳になっても子供。


 その頃、アッシュはエディに現代の歌を伝授していた。


☆★☆


【ここはエルフ国の領事館、ハイエルフの王女と精霊王子が話していた】



「シア王女殿下。女王陛下がお忍びで参られるそうです」


 精霊王子が穏やかな声で伝えた。


「え?」


 驚愕に目と口を大きく開くハイエルフの少女。


「お母様が…….何をしでかすか……」


 オロオロとシア王女が呟いた。


「お目付役に精霊王も来られるそうです」


 今度は珍しい渋顔で漏らす精霊王子。


「へ? 精霊王陛下まで?」


 目を回すシア王女。


 暫くしてシア王女は決然と立つ。


「アッシュ様をお母様と精霊王リ・リアル陛下からお守りします。

 でもあのアッシュ様です。今回は何を企んでらっしゃるのか……

 王子様、ご覚悟を」


 シア王女は大声で宣言した。



 その頃、アッシュは、とある街角にいた。


「お、坊や。これは?」


 腰を曲げた老人が尋ねた。


「俺は学園の今年一年生のSクラスのアッシュ・グレック。

 これは招待状だよ。

 明日の昼から学園で花見のお祭りをするんだ。

 無料だから遊びにきてね」


 アッシュは招待状を老人に渡した。


 アッシュはそれだけ言うと次の人に招待状を渡しに行った。


「あれが噂のドラゴンスレイヤーか

 でもそんな怖そうな人には見えんかったの」


 老人が目を丸くして呟いた。


 アッシュの噂はどうやら市井の庶民にまであまねく響き渡っているようだ。


「楽しそうだの」


 老人はアッシュの笑顔に釣られてそんな感想を持ったようだ。


「でも、飛竜を片手で撲殺したって噂ですよ。

 あんな優しそうな顔をして本当は怖い人なんじゃ?」


 嬉しそうな老人に心配そうに老婦人が尋ねた。


「あの少年はあんなに優しそうな顔をしていたし、これを読むと身分を分けず皆平等に参加できるとあるよ。

 彼を信じて皆を誘おう」


 老人は市井で少しは有名な人だ。嬉しいのか目を細めていた。

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