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パーティを追放された俺が魔王城をリフォームしたら魔国が強くなった件  作者: 一雲一人


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第28話 魔界一番の観光地

誠街へと続くレールの上を、蒸気機関車が汽笛を鳴らしながら軽快に走っていた。


ここへきて客車が二両に増えたのは、醤油のおかげである。港にある宿屋の刺身料理が「新鮮さ」を売りにして大人気となり、その評判を聞きつけた客が殺到していたのだ。


評判は次々と広まって街はどんどん発展し、今や誠街はイリス街とほぼ同じ人口密度になりつつあった。


実は、北領地や東・西領地からの移住者に加え、はるか遠い山岳部族までもが移住してきていたのである。


さらに、「最初は無料だった土地の提供が、そろそろ終わるらしい」という噂が立ったことで、「我も我も」と駆け込みでの移住者が押し寄せる事態となっていた。


しかし、実際には内陸側にまだまだ広い土地が残されている。


「土地がなくなる」という噂が立ったのは、単に「海の見える眺めの良い場所」が埋まってしまったことから生まれた誤解に過ぎなかったのだ。


そうした移住ラッシュの結果、イリス街から誠街へと続く街道沿いには、途切れることなくびっしりと店が立ち並ぶようになっていた。


この港にある桟橋や漁船——これらを発明し設計したのも、他ならぬ誠であった。


魔王すらも、この船の存在を知らなかった。イリス街にはあまりにも目移りするものがあふれていたため、この田舎の浜辺までは意識が向いていなかったのである。


だが、ここでも誠はやりたい放題に街を盛り上げていた。


なんと、この街には時を刻む「ビッグ・ベン」までそびえ立っていたのだ。


それは中世ヨーロッパを思わせる建築、ゴシック様式や巨大なステンドグラス、外側から建築を支える「飛びかえり(フライング・バットレス)」を再現していた。


ゴシック建築で使われる、建物の外側に設けられたアーチ状の補強構造である。


これもまた誠の仕掛けた代物である。とんでもなく大きく美しいブロックを組み上げ、腕利きの彫師の手によって精密な彫刻が施された、この街独自の誠洋式デザイン。まさに美への探求の結晶であった。


その『時の鐘』が響かせる音色は他に類を見ず、「ここでしか聴けない素敵な音色」として評判を呼んでいく。


しかも、宿屋や小料理屋に至っては瓦屋根と準日本家屋、和と洋の極端な融合の街を築いていた。


誠が仕掛けた西洋文化モチーフの街並みと、どこにもない独特の和の風情が、そこには確かに確立されていた。


誠の手によって生み出されたその世界観は、いつしかこの場所を魔界一番、いや世界一の観光地へと変貌させていたのだった。


  ※   ※      ※


ある日のこと、水平線の向こうから筏(いかだ)に乗って「バイキング」と名乗る五人の種族がやってきたという。


その話は、すぐに誠とイリスの耳に届いた。


「聞いたか、誠! そんな得体の知れぬ種族、本当に街に招き入れて大丈夫なのか?」


「大丈夫だろう。その五人、珍しそうに目を見開き、口をぽかんと開けて、この世のものとは思えないとでも言いたげな表情だったらしいぞ」


「何かあったら、イリス大四天王様のお力を、お頼み申しますぞ……!」


「あぁ、その時はまかせろ!」


とは言ったものの、誠は少し気がかりだった。


誠の記憶にある「バイキング」とは、豪快な風を受けて大きな黒船の帆を広げ、海を荒らし回る海賊のイメージだったからだ。それが「筏」に乗ってきたという点が、どうにも引っかかっていた。


(この頃の誠は、指先にイメージを込めて「出ろ、火!」「出ろ、水……!」と、イリスの強力な魔法を少しでも真似しようと試みていたが、いつも何も起こせずにいた)



そんな折、バイキングのリーダーだという「ガンダルフ」が領主に会いたいと言っている――という知らせが、街の役所からの手紙によってイリスのもとへ届いた。


「SLに乗れば、1時間もかからずにここまで来られるだろうに……」


そう誠が呟くと、イリスは床に転移陣を描き、手招きをした。


「行くぞ!」


やってきたのは役所の応接室。ここを任されているのは、事務長のジムだ。


「イリス様、誠様!」


ふたりを見るなり、ジムは慌てて起立した。


「で……」

イリスが問いかける。


「誰がなんだって?」


「はい! バイキングという種族のガンダルフと名乗る者が、イリス様との謁見を希望しておりまして……」


「で、なぜその男は領主である私の所まで直接来ないのだ?」


「それが……本人たちが申しますには『海では迷わないが、陸を歩くとさっぱり方向が分からなくなる』とのこと 方向音痴でして! 今も仲間の皆さんと一緒に宿屋へ泊まっているのですが、毎晩迷子になっては警備隊に保護されて戻ってくる始末なのです……」



「そうか。まあいい、ならばここへ連れてまいれ」

「かしこまりました!」


少しすると、バイキングと言う種族の面々がやって来た。


案外と礼儀正しい様子だった。


イリスを見ると、その場で片膝をつき、右手を胸に当て、われらバイキング族に御座います。


で!要件はなんだとっ、……ガンダルフが言うにはこの港町を筏に定期的に食料や生活ぶっしの補充の為に居住する建物と桟橋が欲しいとの事だった。


誠、どうするっ……イリスが見る。


それでしたら、新たに少し西に行った古い桟橋の改装が始まります。そこでよければ、と!


その後、誠が引き連れて壊れて朽ちた桟橋へとやって来る。


バイキングのメンバーは頷いた。


浅瀬がなく港にするには桟橋すら要らないほどの立地条件だった。


ここには、以前の網小屋と言う、漁を振る時に魚網の補修作業をする場所があった。


誠はこの場所なら使っていいと明け渡した。


それにしても、何故ふねでは無いんだとバイキングに聞いたが、実際小舟を、使っているのはここの漁師でそれもまこと考案で作ったものだった。


バイキングはそれにも目ざとく興味津々だった。




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