羽をもがれた最愛(SIDEアーネスト) 3
お気に入り登録、評価などありがとうございます!
「まったく困ったお姫様だ」
棚の中に膝を抱えて小さくなっていたカレンは、高熱を出していた。
本当は体調の悪いカレンを移動させたくなかったが、グラッドウィンやラングトン公爵家派閥の連中に気づかれず行動したかったこと、それから、町に優秀な医者がいなかったことから、アーネストは彼女を急いで王都へ連れ帰ることにした。
さすがに一日で戻れる距離ではなかったので数日かけて移動したが、カレンの熱は引かなかった。時折ぼんやりと目を開けることはあっても、焦点があっていないし意識も混濁している。
食事がとれる状況ではなかったので、ぼんやりと目をあけている時に口移しで水やジュースを飲ませたが、きっとカレンはそれすら認識していなかっただろう。
王都に到着すると、王城の敷地内のカレンが使っていた離宮の部屋に運び込み、信頼できる侍医のモーガンを呼びつけた。
慣れない旅の疲れと、それから流行風邪に感染しているとモーガンが言っていた。解熱剤を打ったから落ち着くだろうと聞いてほっとしたアーネストは、できれば側についていたい気持ちを抑えつけて、あとをモーガンに任せた。
自分には、他にやらなければならないことがあるのだ。カレンのために。
アーネストはすぐさま宰相とギブソン公爵と共に、グラッドウィンとラングトン公爵たちを捕縛するために動いた。
調べてみると、母アナスタシアも関与していたとわかったのでそちらをどう処罰するのかも検討しなければならない。
王太后に王弟、ラングトン公爵家とその派閥を一斉に罪に問おうと思えば簡単なことではなかった。身分も身分ならば、すべてアーネストの親族だ。身内を処罰すれば、もれなく自分にも飛び火がある。だが、もはや手加減してやるつもりはなかった。
彼等は、手を出してはいけないものに手を出したのだ。
(弟だと思って大目に見ていたが、もう無理だな)
母親だろうと弟だろうと関係ない。
アーネストの世界の中心はカレンで、カレンに手出しするならば、たとえ血縁者だろうとアーネストは一切の躊躇なく切り捨てる。
「罪状は我が国の賓客であり未来の王妃でもあるカレン王女の誘拐および殺害未遂容疑だ。国交関係にも深くかかわるから、国を乱そうとしたとして反逆罪も適用させてくれ。他にも諸々くっつければ、問題なく処刑できるだろう」
「ラングトン公爵家やその派閥はともかくとして、王太后様やグラッドウィン殿下の処刑は難しいですよ。さすがに陛下に飛び火が大きすぎます。身分剥奪の上、生涯幽閉とするくらいが妥当でしょう」
宰相が顎を撫でながら言う。
ギブソン公爵も一つ頷いた。
「でしょうな。隣国の王女の誘拐と殺人未遂に反逆罪までつけば、確かに王族とはいえ充分処刑する理由にはなりますが、陛下はまだお若い。陛下の治世がはじまって数年しかたっていないこのタイミングで大勢の人間を処刑したとなれば、陛下に残虐なイメージが付きまといます。処刑は最小限に。あとは幽閉、もしくは鉱山送りあたりが妥当でしょう。考え方によっては、あっさり命を奪うよりも厳しい罪になるかと」
「……それもそうか」
別に、自分に残虐なイメージが付きまとおうと構わないが、それで国が荒れてカレンに飛び火するのは困る。国が荒れればノウェスナー国王夫妻もカレンを嫁にくれないだろう。
(まあ、労働などしたことのないやつらにとって、鉱山での労働の方が死ぬよりつらいかもな。体力的にも、プライド的にも)
アーネストとしては、この世から消し去った方が安心できるのだが、カレンのために生かしておいた方がいいのであればそうしよう。
「旗本となる頭は潰したほうがいいだろうからラングトン公爵の処刑は絶対だ。だが、残りは幽閉もしくは鉱山送りで手を打とう」
「かしこまりました。ではそのように進めましょう」
これで、ようやく邪魔者を一掃できる。
すべて片付くまで時間はかかるだろうが、すべてが片付いた暁には、大手を振ってカレンを腕の中に閉じ込められる。
(もう二度と、私の側から離れられなくしなくてはね)
王女としての責任感よりも何よりも、すべてにおいてアーネストを優先するようによくよく教え込まなくては。
そう思えば、多少の苦労も楽しめるかもしれないなと、アーネストは笑った。
面白い!続きが気になる!続きが読みたい!と思ってくださった皆様、
ブックマークや下の☆☆☆☆☆にて評価いただけると嬉しいですヾ(≧▽≦)ノ









