お邪魔虫 5
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それから三週間ばかり経ち。
夏も下り坂に差し掛かったころ、ノウェスナー国のお父様から手紙が届いた。
わたしがお父様に書いた手紙の返信である。
人質期間を終えてノウェスナー国に帰った後のことを訊ねたのだけど、お父様から帰って来た手紙には「アーネスト陛下と調整中なのでもう少し待ってほしい」と書かれていた。
……お兄様と調整中?
もしかして、わたしの縁談にはお兄様も意見する、と言うことなのかしら?
そうなると、わたしの縁談相手は他国の貴族か王族である可能性が高くて、フェアクロフト国にとってもノウェスナー国にとっても不利益のない相手を探しているってことかしらね?
ノウェスナー国とフェアクロフト国の戦争が終わったとはいえ、フェアクロフト国にしてみたら、ノウェスナー国が他国と手を組んで再び戦争を仕掛けてくるかもしれないと警戒したっておかしくない。
お父様はそんなことはしないと思うけれど、「大丈夫です」と言葉で言ったところで、それで安心してくれるのかどうかは別の話よね。
だから、両国の関係の深いところにわたしを嫁がせたいのかもしれないわ。
……でも、それならそうと言ってくれてもいいのに。
まさか、わたしが嫌がると思っているのだろうか。
わたしだって王女の端くれだ。国のために嫁ぐ覚悟くらい決めている。
それとも、十年も人質としてフェアクロフト国で暮らしていたから、いきなり嫁ぐ話をしたら傷つくと思っているのだろうか。
お兄様も国元のお父様も優しいから、その可能性の方が高そうね。
わたしだってもう十八歳なんだから、割り切って考えられるのに。
わたしはお父様に手紙の内容を了解した旨と、それから自分の近況をしたためて返信の手紙に封をする。
わたしの立場はまだ人質だから、手紙を書いてもノウェスナー国へ届く前に検閲されるから、内容はあたりさわりのないものだけだ。
子供のころからそうだったから、お父様はわたしがフェアクロフト国で幸せに暮らしていると思っている。手紙に、離宮でのいじめとか、アナスタシア様のこととか書けないもの。そんなことを書けば即座に破り捨てられるわ。
――そうして手紙の返信を書いて、二日ほどが経った雨の日のことだった。
わたしのもとに、グラッドウィン殿下がやって来た。
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