お邪魔虫 4
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そんなことがあった数日後。
今度はダーラ・ギブソン公爵令嬢がわたしを訪ねてやってきた。
「聞きましたわ、カレン王女殿下! あの非常識な方が押しかけて来たそうですわね」
非常識な方とは言わずもがなエレイン・モットレイ侯爵令嬢のことだろう。
お兄様はあのあと、ギブソン公爵家のお茶会に参加した令嬢たちから聞き取り調査をし、それを証拠として、逆にエレインに謝罪をするようにモットレイ侯爵家に使いを遣った。
エレインはと言うと、ずっと「体調不良」と言って、その命令を拒否し続けている。
ちなみに、グラッドウィン殿下もお兄様からおしかりを受けたそうよ。女性のお茶会の問題に口を出すのならば、片方の言い分だけを聞くのではなく公正に判断しろって。
「前々から当家はエレイン・モットレイ侯爵令嬢と陛下との婚姻に反対しておりましたが、今回の件で決心を固めました。わたくし、いえ、ギブソン公爵家は、カレン王女殿下の味方ですわ」
……うん?
ダイアナが用意してくれたお菓子をつまみつつ雑談をしていると、ダーラが突然そんな宣言をはじめて、わたしは首を傾げた。
味方をしてくれるのはとっても嬉しいけれど、お兄様の結婚問題とわたしの味方、何か関係があるのかしら?
「本当はお義姉様になっていただきたかったのですけど、陛下相手ではわたくしのお兄様に勝ち目はないでしょうし」
「よくわからないけれど、わたし、妹がいないから、お姉様と呼ばれるのは嬉しいわ」
「まあ!」
ダーラが華やいだ声を上げて手を叩く。
「それではカレンお姉様とお呼びさせてくださいませ。ところで、お姉様、今後の予定は決まっておりますの?」
「今後の予定?」
ええっと、まだお兄様から正式発表はないけれど、秋になったら人質の任期満了宣言がお兄様からなされて、わたしは冬を待たずにノウェスナー国に帰ることになると思う。
雪が降りはじめる前でないと、帰国が困難になるからだ。
その後は、どうかしら?
家族の元で少しばかりこれまで持てなかった団欒を持たせていただいた後、国王であるお父様がほどほどのところで縁談を決めるでしょうね。
その相手がノウェスナー国の貴族になるのか、他国の貴族や王族になるのかは、わからないけれど。
できれば、お兄様への気持ちの整理をつける時間が欲しいから、嫁ぐまでは一年か二年、猶予があると嬉しいとは思っている。
でもこれらは、あくまでわたしの予測だから、実際どうなるかはわからないわ。
……お父様にお手紙を書いて確認しておこうかしら?
そんなことを考えていると、ダーラが困った顔でダイアナを見る。
ダイアナがゆっくりと頭を振った。
「最後の調整が難航しているようです」
「なるほど。ラングトン公爵家派閥ね」
「ええ。王太后様は幽閉……いえ、療養中ですが、ご存命ですし、グラッドウィン殿下とは頻繁に手紙のやりとりをなさっているようです。ラングトン公爵家派閥とグラッドウィン殿下が結託なさっている以上、もうしばらくかかりそうですね」
「面倒くさい人たちね」
……何の話かしら?
ラングトン公爵家派閥の名前が出たから、何かトラブルでも起こっているのかもしれないわ。
「陛下がブチ切れて強行突破なさる前に、穏便にまとまってほしいところではありますが……無理かもしれません」
「お父様に伝えて、当家も準備をしておくわ」
「助かります」
よくわからないけれど、ダーラの口ぶりだとギブソン公爵家はお兄様の味方をしてくれるみたいね。ギブソン公爵家はラングトン公爵家と仲が悪いと聞いていたけれど、お兄様とは仲良くしてくださるみたい。
「カレンお姉様、もし何かあれば教えてくださいませ。当家が必ずお力になりますので」
「? え、ええ、わかったわ。ありがとう」
ギブソン公爵家がお兄様の力になってくれるのならこんなに心強いことはない。
あとは時間が許す限りお喋りを楽しんだあと、ダーラは「また参りますわ」と言って帰って行った。
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