お兄様の婚約者候補 7
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一時はたくさんの縁談が届けられていたわたしだけど、それもぱたりと来なくなった。
ダイアナによると、アーネストお兄様が裏から手を回したそうよ。
まあ、わたしの結婚にはノウェスナー国にいるお父様とお母様の意向が大きく関わるから、縁談をもらってもどうすることもできないし、いいのだけど。
「縁談が来なくなったのはいいんだけど、縁談の代わりにお茶会の誘いが来るようになったのはどうしてなのかしら?」
わたしは、縁談のかわりに目の前に積み上がっているお茶会の招待状を眺めて、「困ったわ」と息をついた。
縁談が来なくなった数日後から、お茶会の招待状が舞い込むようになった。
「オフシーズンのこの時期は社交も少ないから領地に帰っている貴族が多いと思ったんだけど」
「ここ数年は、オフシーズンでも王都に留まる貴族が多いんですよ。特に、結婚適齢期の女性はそうですね」
「どうして?」
「陛下とグラッドウィン殿下のお二人共の婚約者の席があいておりますから」
なるほど、つまりはお兄様とグラッドウィン殿下の婚約者の椅子に座りたくて、少しでもチャンスを逃すまいと王都から離れないのね。令嬢も大変だわ。
「陛下がカレン様の縁談の受付を停止してしまいましたので、かわりに娘たちを使ってカレン様にお近づきになろうという魂胆なのでしょう。女性同士仲良くなれば、それを使って縁談を持ち込めますからね」
「……貴族って、大変ね」
「王族の方が大変だと思いますけどね」
まあ、それは否定しないけど。わたしも、王女でなかったら、国のために人質になることもなかったでしょうし。
「ダイアナ、お茶会の招待状はどうしたらいいかしら?」
「この三つ以外はすべてお断りでいいですよ。ただ、この三つは少し検討する必要がありますね。断るにしても角が立たないようにしなくては」
そう言ってダイアナが他の招待状から選り分けたのは、ラングトン公爵家、ギブソン公爵家、モットレイ侯爵家から届いた招待状の三つだった。
ラングトン公爵家は、王太后アナスタシア様のご実家である。当主はアナスタシア様のお兄様なので、つまりはアーネストお兄様の伯父にあたる方だ。
ギブソン公爵家は、先日、わたしの元に縁談を送って来た公爵家である。ラングトン公爵家とあまり仲が良くないと聞いた。
この二つはなんとなくわかるんだけど、最後のモットレイ侯爵家はどうしてかしら?
フェアクロフト国の貴族名鑑は覚えたから、モットレイ侯爵家が歴史の古い有力貴族だというのはわかるけれど。
「ダイアナ、モットレイ侯爵家のお茶会を検討しなくてはならないのはどうして?」
「モットレイ侯爵のご息女エレイン様は、昔からアーネスト陛下の婚約者候補筆頭だからですわ。陛下は以前からお断りになっているのですけれど、ラングトン公爵家……すなわち、王太后様とも仲がとてもいい家で、完全に退けられていない状況なんです。エレイン様は二十歳で、そろそろ身を固めなければならない時期。あちらもかなり焦っておいでで、あの手この手で陛下の了承を取ろうと必死です。ですので、できればカレン様は近づかない方がいいのですけれど、断ったら断ったで角が立つので、断り方も考える必要があります」
「そうだったの……」
知らなかったわ。
そうよね。お兄様は国王陛下だもの。婚約者候補の一人や二人……ううん、十人や二十人いるはずよね。
「エレイン様ってどんな方?」
「高慢ちきで鼻につく令嬢です」
「……え?」
「カレン様は気になさらなくていいですよ。性格の悪いあの女に近づくとカレン様が汚されます。それにしても困りましたね。どうやって断りましょう。ラングトン公爵家は、陛下の外戚ですのであまり悪く言いたくはありませんが、権力を笠に着るいけすかないところです。……陛下は嫌がるかもしれませんが、ギブソン公爵家を味方に付けましょうか? あちらを味方につけて、残る二つのお茶会の辞退を手伝ってもらいましょう。ちょうどいいことに、この三つのお茶会の日取りは近い上、ギブソン公爵家が最も早いですから」
そうしましょう、とダイアナが手を叩いた。
「イヴリン先生にも手伝ってもらって、陛下を攻略してまいります。ギブソン公爵家のお茶会は十日後です。あとでドレスやアクセサリーを選びましょう」
わたしはダイアナとイヴリン先生の二人がかりで言い負かされるお兄様の姿を想像して、ついついおかしくなって、ぷっと噴き出してしまった。
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