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狐の嫁入りを見てしまったら、九尾の狐の婿になりました。 〜普通ってどこに売ってる?〜 異世界スイートテイル(肉球マーク)  作者: 2番目のインク
第三章:戦闘民族

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おまけ.死神とメイダの話

焚き火の爆ぜる音が、パパタローの問いかけを吸い込んでいく。

 カテリーナは、月光に照らされた自身の白い手袋を見つめ、静かに口を開いた。


「……なぜ、私が死神になれるのか。それは呪いでも、後天的な魔法でもございません。……私の魂の底に、千年前の『無謀な恋』が眠っているからですわ」


彼女の語る声に合わせて、夜霧が揺れ、過去の幻影を映し出す。


「……かつて、生者の立ち入らぬリスフェルドの地に、一人の『死神』が降り立ちました。形を持たぬ死の概念、ただ淡々と魂を刈り取るだけの存在。……そこへ、一人のメイダの戦士が挑みかかったのです。戦うことだけを生き甲斐とし、神すらも獲物と定めた、傲慢なまでの武人」


幻影の中で、黒い鎌と巨大な鎚が激突し、火花が散る。


「……死闘は数日間に及びました。死神は驚いたのでしょう。己の鎌を弾き飛ばし、死を恐れぬどころか、戦いの中に悦びを見出すその生命の輝きに。……そして戦士もまた、己の剛力をすべて受け止め、底知れぬ静寂を湛える死神の美しさに、生まれて初めて拳を止めた」


二つの影が、荒野で向かい合う。


「……あろうことか、二人は『つがい』となったのです。……死神は戦士に、命の灯火ロウソクを視る術を教え、戦士は死神に、大切なものを護るための力と、この世への執着を教えた。……神のことわりと、獣の闘争本能。その禁断の交わりこそが、私の一族の始まりですわ」


「……アジャラカモクレンテケレッツのパー ……」

カテリーナが立ち上がり、死神のハルバード・カスタムの石突きを地面に2度突く。


その言霊が、眠っていた二つの血を呼び覚ます。

 戦場にそびえ立つ幻影の木蓮。その白い花びらは、死神の冷徹な「断絶」と、メイダの熱き「破壊」が混ざり合った、この世で最も美しい暴力の結晶。


「……死神の家系でありながら、メイダの重装歩兵。……一見すれば不自然な私のこの姿こそが、二人の先祖が残した愛の形なのですわ。……さあ、パパタロー様。……花見の続きと参りましょうか」


漆黒に染まったカテリーナが、ハルバードを構える。

 背後の木蓮から、死を告げる花吹雪が荒れ狂う。

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