睡眠の重要性、隣国の動き
使い魔に細々と仕事をさせているうちに朝を迎える。
アリスはまだ寝ている、暫くは起きないだろう。
婚姻届は発送する必要があるし、『アリスが何かしらの手紙を送った』所を見せておく必要があるので昼過ぎで良い。
ヤビィ達は昨日迄の事を考えれば今日明日は休ませるべきだろうが……ゼブル達の仕事が増え過ぎだな、四人で七人の世話はどう考えても手が足りない。
家事使用人の追加派遣は、ゼブルの事だから既に要請してあるだろうが、直ちに派遣される程この国の人口に余裕はない。
そもそもこの国の家事使用人と他の国で言う家事使用人はまるで別物だ。
一応は家主の補助が仕事の基本ではあるが、同時に多数の報告義務が国や使用人部に対してあり場合によっては家主より国内での立場は高いという事すら有りえる。
更に言えば家事使用人が配属されていない家には定期的に使用人部から調査が入っている、使用人部こそこの国で最も人手不足な部署と迄言われている以上、他国からの客人であってもそうそう簡単に回せる人材は居ないだろう。
私に出来る事はゼブル達の仕事を邪魔せず、手間を掛けさせない位だな。
ヤビィ達の方が要対応なのを間違えはしないだろうから、大人しく日々を過ごすだけでも十分だろうか。
ゼブルに付けた使い魔と交信する。
帰還した次の日の朝食は抜いていた事が多いので、食べなくても昼食で出せる様に考えられている様だ。
アリスはまだ起きないだろうし昼食に回して貰うとしよう。
そのままゼブルの仕事の補助をする様に使い魔の命令を更新しておく。
『ドゥ君、せっかくだし短時間でも眠ってみる?』
ミラから声が掛かる。
眠るという行為は出来ないと思っていたが……可能なのだろうか?
『ヤビト君を観察してたんだけど、多分出来そうだよ。』
多分という辺りに不安を覚えるが、これも実験の一つか。
もし自力で起きれなくなってもミラが起こしてくれるだろうしやってみるとしよう。
『ん、そこは大丈夫、ちゃんと起こせるよ。』
久しく感じる事の無かった眠気……と思われる物を感じる。
若干違う気もするが、ミラを信じて眠気に身を委ねる。
……まるで宙を漂う様な感覚がする。
思考そのものは途切れていない、が何も考えられない様な気もする。
風に吹かれれば流されるまま漂う綿毛の様な……
「先輩、もうすぐお昼ですよ。」
アリスの声が聞こえたと思った途端に地面に叩きつけられた様な錯覚を覚える。
痛みは無いが、僅かに呻き声の様な物を出してしまったかも知れない。
これは要改善だろうな?
『そうだね……まだまだ生物の構造を模倣しきるまでは行ってない証拠かな……』
一回目でこれなら十分な結果だろう、久しぶりに眠れたお陰で少し意識が開けた様な感覚がする。
目覚めの問題は兎も角、眠っていた間に見た夢の様な物も一応調べる必要もあるか。
繰り返し眠って調べ調整するだけだな。
「おはようアリス。」
「おはようございます先輩、よく寝れましたか?」
「よくと聞かれると微妙な所だが、久しぶりに眠れたよ。」
何時の間にか腕の中に抱き込んでいたアリスを開放する。
まだ昼食には早いがゆっくり着替えれば、食堂に着く頃には準備が整うだろう、多少早く着くくらいは問題ない。
「そうだ先輩、これ、一緒に出しに行ってくれますか。」
アリスが着替え終わった後にそう切り出してきたのは婚姻届。
「勿論、そもそも二人で出しに行く物だろう。」
「手紙に同封して配達してもらうので……どうなんでしょう?」
「似た様な物だろう、それに二人一緒に行く方が都合が良さそうだしな。」
「そうですね、じゃぁご飯食べたら行きましょう。」
二人で食堂に降りる。
一瞬今まで通りの食堂へ行こうとしたが、今日から新しい方だったと思い出して移動する。
まだ少し寝ぼけている様だが、アリスには気付かれなかった様だ。
昼食後はアリスと出て用を済ませてすぐに戻って来た。
今日は特に絡まれる事無く済んだのはやはりアリスが手紙を出した効果が大きいだろう。
合わせて動いた者には使い魔ではないが一応目印代わりになる物を仕込んでおいた。
一人二人ならまだしも五人も動きが有ったのは国内の組織も混じっているからだろうが、国内の組織なら訓練し直せと言ってやる必要があるので目印は外さない。
一応諜報部にも力を貸すことになるのだ、それ位は言っておくべきだろう。
遅くなって申し訳ない、ゆっくり休めたと思います。
あと今日はいつもよりちょっと字数少ないのも申し訳ない。




