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邪神の眷属になったようだが私は何をすれば良い  作者: 屯田観烏之羽(ミタミ・アノウ)
学校編
78/82

新生活の幕前

「また随分と盛り込んだな。」


 それ以上の言葉も無い。

此処は別に軍事基地では無いというのに、ほぼ最新の軍事用機能が一通り用意されている。

ヤビィ達も含む軍部と関係の無い人間も居るので、基本的には全て使用できない様に細工はしてある様だが、それでも私とアリスそれからゼブルは使用できてしまう。

うっかり街中で起動してしまう事が無いように厳重に鍵を掛けておく必要があるな。


「とりあえず認証式は二重か三重にしておいてくれ、流石に危険な機能が多すぎる。」

「旦那と嬢ちゃんとあのエルフの爺から二人以上でいいなら既に実装済みだぜ。」

「なら問題無いな、設備申請の方は?」

「それはこっちでやっとく、流石にやり過ぎたからな。」

「そうか、なら仕事の話はこれで終わりだな。」


 申請書類を向うで片付けてくれるなら、此方で処理する仕事はもう無い。

後は精々……


「で、彼等の事は如何見た?」

「ん~そうだなぁ……なんというか不思議な感じだな。

こっちで用意できそうな物は一通り予想できてるやつも居たし、とんでもねぇ要求してくる奴もいた。

だが聞き分けは良いし、出来る事を聞いてその組み合わせを考えるやつもいる。

とりあえずちょっとこっちで何人か預かってみたいな、俺らにない物を知ってそうな感じがするわ。」

「わざわざあの国から連れてきた甲斐があるだろう?」

「ちげぇねぇ。」


 とはいえヤビィ達の意思もあるし手続きも必要になる、今日はこれで終わりだと帰っていく半鉱人を見送る。

取り敢えず私が主体でしないといけない事はこれで三日後迄無くなった筈だ。

今回の報告書やヤビィ達の入国手続き回りは既に使い魔に処理させた訳だから……登録してきた単位の復習でもしておくか。

試験が行われるのは一月後だが、三種も一度に受けるのだから時間は掛かる。

……いや、本気でやれば一日も掛からずに終わるか。

教科書を丸ごと取り込んで思考加速を掛けて確認すれば良い、実践まで込みでも時間は大して掛からない。

ならしばらくは落ち着いた時間が取れそうだ、色々とやろうと思っていた事を済ませよう。

まずはやろうと思っていた事の整理からだが……





「先輩、晩ご飯の後に少し時間を貰っても良いですか。」


 話の内容は……今の所わからない。

ハルムニクススに派遣した使い魔に任せている情報収集では、特にそれらしい話が確認できない。

民衆から流れてこないのなら国の上層部内で発生して上層部内で留まっている問題だろう。


「そうだな、早い方が良いだろうが、食後直ぐでなくても待っているから急がなくても良いぞ。」

「……なら終わった後そのまま寝られるようにしてからお願いします。」


 頷いたのを確認してアリスは部屋を出ていく、マーリンとメアリーのいる部屋に行ったので話の内容をどうするかの結論は出ていないのだろう。

態々先に此方の予定を抑えたのはその時迄に答えを出すという決意だろうか。


 同居人が七人も増えれば食事の場所に困るかと思ったが、新築された家に住人全員が入れるだけの空間が用意されていた。

調理場も含めてほぼ最新の設備が用意されている、しばらく食事は此方で摂る事になるだろう。

移動するのが少し面倒なのは間違いないだろうが、一ヵ月後には解消されている程度の話だ。


 食後に手早く風呂場で身体を洗う。

いや洗った振りだ、身体に着く汚れは自動的に全て取り込んで分解されている。

浴槽に浸かった際に水を取り込んでしまわない様に気を付ける必要もある、面倒で直ぐ出てしまった。

少し早いがアリスを部屋で待とう。





「先輩……」


 アリスが部屋に来るまで思っていた以上に時間が掛かった。


「まだ悩んでいる様だな。」

「……」


 何を悩んでいるのかは分からないが、私の希望を伝えておこう。


「アリス、何をそんなに悩んでいるのかは判らないが……アリスがしたい事を優先すれば良い。」

「……それを……その答えを先輩は受け入れてくれるんですか?」


 悩みの内容かその解決に私が絡むのだろう。

アリスの立場、出身を考えるとこの場合ありそうなのは……故郷に帰る、だろうか?

代行者としての関係を解消する必要があるし私絡みと言えるだろう。

他にこれほどアリスを悩ませる事案があるかは判らないが、それ程外れてはいない様に感じる。

「受け入れてくれる」という表現では如何なる答えを出したのかはわからない。

関係を解消するのは「受け入れる事」だが……


「そうだな……何を考え出した結論で、如何したいのかが判るなら、大体の事は受け入れられるだろう。」

「なら……でも……」


 俯いて思案するアリスを寝具に座らせつつ抱き寄せてみる。

何の抵抗も無く、寧ろアリスから寄って来る辺り、現状の関係を変えたい訳では無い様だが……


 暫くそのままでいる。

考えている事が僅かに口から漏れ出ているが聞き流す、アリスの出した答え以外は今は聞く必要は無い。


 アリスが立ち上がる。

そのままアリスの荷物から一枚の紙を取り出した。


「本当は先輩がちゃんと記憶を全部思い出してからにしたかったけど。」


 そう言いながら渡してきた紙。

書式がハルムニクススの物だが内容は判る、これは……

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