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邪神の眷属になったようだが私は何をすれば良い  作者: 屯田観烏之羽(ミタミ・アノウ)
学校編
75/82

新生活の幕前

 役所に設置されている情報端末機に手早く必要な情報を入力していく。

態々役所端末を触りに来るのは、おそらく年単位で久しぶりだろう。

その所為で着いて早々人の目が集まっているのだが、その視線の殆どは「どこかで見た事が有るような」程度で済んでいる。

三年程前なら色々と目立っていた所為で、公共施設に入れば即囲まれるなんて事も有った。

流石に忘れられている訳では無いだろうが、話題にするにはもう古い……筈だ、お陰で手続きを速やかに進められている。


 所定の手続きを済ませ、続けて講義の案内が表示されるので目を通す。

もう既に現在の講義は予定の八割を終えている様だが、中級はどうせ試験に通れば問題無いから関係ない……むしろ早々に次に行けるので手間が省ける。

元々国外の任務で必要になる事もあるだろうと中級程度の知識は初めから勉強済みだ。

真面に講義を受けに行っても退屈を持て余すだろうから丁度良い。

単位を取っていない理由も呪術は適正が無かったからだが、今なら如何にでもできるし試験だけ出ても問題無い。

どうせ試験だけ受けるなら同じ呪術科の精霊部に、折角の機会だから取り損ねてる魔術科の陣学部も受けてしまうか。

試験そのものは試験日に四回行われているから、取ろうと思えば四つ取れるが……そこまでやらなくてもいいだろう。


 降霊部の案内を終了し、続けて精霊部、陣学部と手続きと案内を進める。

案内されている講義の概略が何れも、実践はともかく知識としては知っている物なのを確認して終了する。

一応試験対策位はするべきだろう、面倒な連中に絡まれる前に家に……


「おやぁ?誰かと思えばジェラルド君ではないですかぁ。」


 ……絡まれてしまったか。

無視する方が面倒なのでとりあえず相手の顔を確認する。


「……?済まないが……何処で会った誰かな?」


 見覚えは……何回か会ってるな、何回か名乗られてはいるが一度も名前が一致していない。

名前を覚えるだけ無駄だが、そもそも彼は覚えないのが良い人物だったか、冗談抜きで面倒な相手に絡まれた。


「君に……君に名乗るのはこれで4度目だが……まぁいい、私は。」

「三度も名乗られて覚えていないという事は、特に覚える必要を感じない程度の接点でしかないだろう、要件を先に言え。」

「君という奴は本当に……まぁいい、君が何やら他所から人を連れてきたと聞きましてねぇ。」


 あー……恐らくヤビィ達に用は無いな、それに(かこつ)けて私に干渉しにきているな。

それから四度目ではない、今の顔で四度目であって変装して接触してきている回数を含めれば十八回は名乗られている。


「それが何か?」

「随分とたくさん連れて来たそうじゃないですか……もしやエージェントを辞めて孤児院の真似事でもするつもりなんですかねぇ?」


 ……孤児院?

あぁ、触媒の子の話にヤビィ達の話が混じっているな。

しかしそんなことを聞いて何がしたいのだろうか。


「代行者としてはこれまで以上に仕事が来るし、あの子は死者との契約で私が預かっただけで意味も無く子供を集める事は無いが?」

「……仕事が来るならこんな所で履修届など……どれも中級のようですが受けている暇など無いのではないですかねぇ?」

「回り(くど)い、用が無いなら私は帰るぞ。」

「いやいや用は有りますとも……」


 (わず)かにだが目の前の彼が(まと)う空気が変わった。

実力行使も(いと)わないという訳では無いだろうが、一応何もさせない様には準備しておくか。


「いい加減アリシア様を返してくれないかな?」

「……アリスはアリスの意思で動いている、私の所に来ている事が間違いだ。」

「だが君がアリシア様を危険な場所に連れまわしているのは事実だ!」


 少し感情的になっているな、それだけ今回アリスをあの国に連れて行ったのが影響しているのだろうか。

それと代行者として仕事が増えると言ったのも影響していそうだ。


「私の仕事に付いて来る事を決めているのもアリスだ。」

「貴様がっ。」

「地が出ている。」

「っ……」


 さて、一方的に絡まれているだけだがいくら何でも役所で騒ぎ過ぎだ。

役所の警備員が近付いてきているし、早々に退散しよう。


「少し頭を冷やしてから出直すと良い。」


 ただでさえ手続きで時間が掛かっているのだ、昼食もおそらく既に済んでいるだろう。

無駄に時間を取られる前に帰りたいが、街中で白昼堂々転移するのは……特に問題は無いか。


 家に置いてきた使い魔と位置を交代する、こんな近距離で使うつもりは無かったので帰還用に調整した長距離飛行が可能な鳥型では役不足も良い所だが、準備運動程度と思って飛んでもらうか。





「おや、おかえりなさいませ。」

「ん、ジェニアか……ヤビィ達は外か?」


 使い魔と交代して家の庭に出れば、そこに居たのはジェニアだけ。

ゼブルとマーリンも敷地内には居ないとなると。


「皆様父と共に買い出しへ行かれましたわ、昼食は如何しましょう。」

「残してあるなら貰おう。」

「では食卓でお待ちください、直ぐご用意しますわ。」


 さて、まずは食事を摂って次は……アリスは部屋にいるな。

先程の感じから言ってアリスの悩みの種はあれだろう。

アリスはこの国の生まれではないし、国元で何かあったのだろう、一応調べておくか。

ハルムニクスス(アリスの故郷)方面に飛ばしている使い魔だけでは情報収集は難しいから増援も送っておこう。

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