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邪神の眷属になったようだが私は何をすれば良い  作者: 屯田観烏之羽(ミタミ・アノウ)
学校編
74/82

新生活の幕前

 よくよく考えてみれば記憶の修復が、一部を除いて完了してから初めて家に帰ってきた気がする。

実に……何日ぶりだ?

あまり重要ではないが随分と久しぶりの様な気がしてきた。


「お帰りなさいませ、そしていらっしゃいませ皆様。」


 態々(わざわざ)敷地外でゼブルがジェニアを伴って待っていた。

いや、態々と付ける必要は無いか。

今は屋敷の入り口の横は増築の真っ最中で騒がしいし当然の配慮だろう。


 そういえば記憶の修復中にアリスが家に引っ越してきていたな。

侍女が二人付いて来ていた筈だ、マーリンとメアリーだっただろうか。

あの二人に限らないが、アリス絡みでの注意事項をゼブルに伝えた事は有っただろうか?


 無かった様な気がするが、そもそもゼブルは私より年上だし、その辺りの確認を疎かにしている筈は無いか。

今更言う必要もないだろうし、あの二人との関係がある程度固まった後なら邪魔にしかならないだろう。


「ドゥ様?」

「あぁいや、ある程度記憶の復元が終わったが……随分と久しぶりに家を見た気がしてな。」

「まぁ、もうお戻りになって……ごほん、それは良い事でございますね。」


 ふむ……ジェニアはどうやら戻らない方が良いと思っていた様だ。

まぁ以前の私の行動を振り返ればそれも当然だろう。


「完全ではないが、おそらく完全に戻しても以前の様な事にはならないから気にするな。」


 とりあえずヤビィ達はゼブルが連れて、もう既に外側は出来ている増築……というか新築の家を案内している。

部屋割りや棚等の大型の家具類を何処に設置するか等の内装を、建築技師達に相談して決めている所だろう。


「あぁそういえば……突然庭を大きく削る事になってしまって済まなかった。」

「いえ、まぁ少し残念ではありますけど……どの道もうそろそろ建て替えですから。」

「そういってくれると助かる。」

「……以前のドゥ様と比べて、随分変わられましたわね。」


 肩を竦めるしかない。

以前は精神的に余裕が無く、方々にかなり迷惑を掛けていたのは間違いない。


「とりあえずジェニアもゼブルの手伝いに行ってくれ、女性の事を男性に任せるのはな。」

「了解です、とはいえ既にマーリン様が行っておりますが。」


 ふむ、今自然に様付けして呼んだという事は、ジェニアもマーリンとメアリーの事は知っているか?

まぁ態々確認する必要もないだろう。

向うの意向もあるだろうし、下手に突かない方が良好な関係を維持できるだろう。


 さて……ゼブルもジェニアもヤビィ達に付けた。

アリスは部屋か、取りに行く物もあるし丁度良いだろう。


 というかここは私の部屋……まぁいいか。

特に気にせず部屋に入ればアリスは着替えを用意して風呂に行く所だった様だ。

一緒に入ろうと言わんばかりに私の着替えまで出し始めているが。


「あー、役所に書類を出してくるので入るにしても後だな。」

「……そうですか、ちなみに何の書類ですか?」

「ん、履修届だ。」

「あー履修……履修?そんなの出しても受理されないんじゃ……」

「いや、もうヴィクター含め上に話は通してある、後は正規の手続きを踏めば通るな。

アリスも通ると思うが……何か取るか?」

「え、いやそんないきなり言われても……ちょっと考えます。」


 貴重な戦力の代行者を、一単位であっても講義に縛り付けるのを上は嫌うので、ただ履修届を出しても通らないのは間違いないのだが。

上には既に使い魔の実用性を証明してあり、任務や講義の何方でも、或いは両方とも使い魔であっても問題が無い事は説明しておいてある。

そもそも上も拠点に常駐していて、有事に直ぐに派遣できる代行者を用意しておきたかった様で、すんなりと話は纏まっている。

それにアリスは私が何もしなくても通っていただろう。


「急ぐ必要は無いからゆっくり考えてくれ、私は既に決まっているので出してくる。」

「分かりました……いってらっしゃい。」


 さて……とりあえず中級の呪術科降霊部から順に単位を取るか。

申請して受理されて……次の講期は何時からだったか、中途で入っても中級学部なら取れるだろうし問題は無いだろうが……

いや残念だが中途も無理そうだ、もうすぐ建て替えの時期で全面的に一時中断になる様だ。


 アリスにはメアリーが付いているだろうし、使い魔ももう置いてあるが……

一応ゼブルには声を掛けておくか。


「ゼブル、所用で少し外すが後を頼む、何か有れば先だって派遣しておいた使い魔に、それと昼食は待たなくて良い。」

「承知しました、いってらっしゃいませ。」


 さて、この時間なら役所も人は少ないだろう。

軍所属と判り易い服は着ていないが、それなりに顔は知られてしまっている。

騒ぎにならなければ良いのだがそう楽に事は運ばないだろうな。


 せめて熱心な追い掛け(ファン)や面倒な追い掛けに出くわさなければ良いのだが……役所だからなぁ。

役所内で認識阻害を周囲に掛けるのは禁止されているし、顔を隠すのも駄目だから騒動を回避するのがなかなか難しい。

家の中で申請できればいいが、そういった仕組(システム)はまだまだの出来だろうだ。

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