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邪神の眷属になったようだが私は何をすれば良い  作者: 屯田観烏之羽(ミタミ・アノウ)
騎士覚醒編
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帰投

 (ようや)く移動だ、一日の何と長い事だろう。

今日の予定では、ベヘに戻った後はヤビィ達に必要になる道具類を買いに行く(つい)でに都市の軽い案内をするくらい……だろうか。

ヴェクターには既に使い魔越しに報告を済ませてあるし、途中で合流するので改めて呼び出される事は無い……筈だ。


「やぁドゥウェイン君、その後の調子は……うん、良さそうだね。」


 スティルバス氏と……後ろで車両の点検をしている森人(エルフ)は見覚えがあるな。

名前は……エリセウスだったか、実験の時にアリスの反対側に居た森人だった筈だ。


「アリシア君も問題なさそうだね、帰ったら経過報告用に精密検査がしたいから時間を取ってもらっても良いかな?」

「あー……明日以降でも?」

「一週間以内ならいつでもいいとも、できればアリシア君と一緒に来てくれると助かるね。」


 アリスと一緒にか……アリスの方に顔を向ければ頷いたので此方に合わせるつもりだろう。


「なら明後日の昼過ぎに。」

「了解したよ……さてもう出られるかな?」


 車両の点検が終わった様でエリセウス氏が近付いてくる。

ヤビィ達は……全員揃っている、触媒の子はクマル氏が既に車両に運び込んでいるし問題無いだろう。


「此処で乗るのは全員揃ってますし、乗車が終われば直ぐにでも出られますよ。」

「お世話になりまーす。」


 ヤビィ達も此方に挨拶しながら順次乗り込んでいる。


「……元気の良い子達だね、彼等には後で紹介してもらえるのかな?」

「えぇ、彼等の貴重性はおそらく現状の私より上になるでしょうから、早急に真面(まとも)な研究者を味方に付けておくべきですので。」

「……私は必要なら人体実験もする、真面では無い側だと思うがね?」

「この国で人体実験に手を出さない研究者は真面かと聞かれると首を傾げますね。

スティルバス氏の様に人体実験が必要で無いならしないと言える研究者の方がよほど真面だと思いますよ。」


 人体実験をした事が無いというのはつまり、許可が出たことが無いと言い換えられるからな。

法でも人体実験は許可さえ取れば問題無いと明記されているし、人体実験の定義に生物が関わる事柄(ことがら)と書かれている以上、道具の試用ですら人体実験扱いなのだ。

その許可が下りた事が無いというのは実に信用性に関わる大問題だろう。


「いやはや、私もまだこの国に馴染み切ってないという事かな、君がそう言ってくれるなら私は私に出来る事をさせてもらおうかな。」

「スティーブ、そろそろ出すぞ。」


 エリセウス氏から声が掛かる、話し込む前にまず乗るべきだったな。

ヤビィ達はもう全員乗っている、アリスももう乗っているな。


「話の続きは乗ってからにしましょう。」


 時間的な余裕はまだあるだろうが、余裕があるうちに予定を進めてしまった方が問題が起きた時に余裕を持って対処できる、予定は基本的に前倒しに進行できる方が良いのだ。

定員二十人で設計されているらしいこの車両は……狭い上に座席も固定されている、あまり車両内で話をするのには向かないが問題がある訳でもないか。

スティルバス氏が横の席に座り、それを確認したエリセウス氏が運転席に座って車両を発進させた。


 車両が基地から出て姿勢が安定したのを確認し、まずスティルバス氏をヤビィ達に紹介する。

私が居ない時に頼って大丈夫な人物としてだが、実際に早々迷惑をかけることは無い筈だ。

そもそも研究に忙しいスティルバス氏より確実に頼る事が出来る身近な人物としてゼブルが居る。

以前ならゼブルも忙しかっただろうが、今はアリスが押し掛けてきた際に付いてきたマーリンとメアリーが居るので手は空いている筈だ。

家に住む人数が増えればその分仕事も増えるだろうが、其処はヤビィ達も手伝うだろう。

男女比は……そもそも男二人に女四人だったのが男五人に女八人で大きくは変わらない。

場合によっては更に人が増えるだろうが、増える人員はヤビィ達の補助の名目になるだろうからその辺りも問題にはならないだろう。

その辺りの説明をとりあえず簡潔に説明し終わる頃にはステュム基地に到着した。


 ステュム基地には既に結構な人数が集まっているし、基地司令辺りに挨拶位とも思ったがヤビィ達を連れていると邪魔になるだろう。

ヴィクターと手早く合流して再出発する。

この前の騒動の調査等でまだまだ役に立つだろうから使い魔は置いておく、序でに挨拶も使い魔にやらせておこう。


 ヴィクターの紹介は……かなり雑に切り上げる事になった。

理由は長距離用の車両に今乗っている車両を載せる作業が始まったからだ。

ヤビィ達は一目見て列車だと気分(テンション)を上げていたが……成程列車ね。

その発言を聞いてヴィクターも成程と頷いている、ヴィクターの主言語は確か……新交易共通語だっただろうか?少なくとも私とは被っていなかった筈だ。

私の主言語は新魔術語だがヴィクターも同じ反応をしている辺り今の発言は正確に翻訳されたらしい。

物の名前というのはなかなかに厄介で、この国で作った新しい物の名前を決めずに放置している物も多い。

多数の言語で思わず納得できてしまう固有名をヤビィ達が知っているなら、一先ずヤビィ達に名付けを任せるのもありか。

ヴィクターもおそらく同じことを考えているらしい、思わずと言う感じで此方を見ている目に頷き返しておく。


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