表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
邪神の眷属になったようだが私は何をすれば良い  作者: 屯田観烏之羽(ミタミ・アノウ)
騎士覚醒編
70/82

帰投

食堂は既に基地の隊員達が夕食に集まりだしている。

(もっと)も食堂が埋まる程に集まることは無いだろう、この基地はかなり人員が多く配置されている方ではあるが、それでも基地の隊員全員を食堂に集めても座れる程度でしかない。

無駄に広く空間が取られている様にも感じるが、そもそも食堂というより食堂に使われる事の多い多目的集会室が正しい。


「あ、ドゥさん。」


 とは言っても基地の宿泊設備は隊員の分しかなく、いくつかある会議室を開けて健康診断に使用し、今は宿泊用に配置換えをしている途中であり、当然ヤビィ達は食堂にまだ居た。


「全員まだ此処に居たか、丁度良いから健康診断の結果を渡そう。」


 一人ずつ順に診断書を渡す、身長や体重から臓器の機能状態まで書かれているので他の人には見えない様にするのは忘れない。

全員分の内容は把握しているが、一応彼等の保護責任上の都合が有るので其処は目を瞑って貰うしかない。

そのまま診断書の見方で幾つか聞かれたので答え、全員が診断書に十分目を通し終えたのを確認して次の話だ。


「次はこの国の入国許可証だ、少し早いがもう渡しておこう。」


 入国許可証と言っても国民証と実態はあまり変わらない。

国内で金銭の取引が完全に無い関係上、国民証に登録される仮想通貨と個人情報が無いと買い物どころか施設の利用すらできない。

中身に登録されている通貨で、数日分の食料と身の回りの物を買い揃えられる程度と言ったところだろうか。

勿論私の所持する通貨から出しているので無駄遣いしない様にと釘は刺しておく。

 とは言っても使い方の説明に、実際に使用してみない事には覚えるのも大変だろう。

基地内には売店の類は無いが、間食や飲料水の類を購入できる販売機は設置されているので其処に……自販機?どうやら似た物は彼等の世界にも有る様だ。

何も購入せずに居る者も居れば、迷わず間食を購入した者も居る。


「……まぁこの国で君達は普通に生きて行けそうで良しとするか、最後に明日の予定だ。」


 間食に既に手を付けている者も居るが、まだ話は終わっていない。

食べながらだが、ちゃんと此方の話は聞いている様なのでそのまま話を続ける。


「明日は朝食を食べたらこの基地を出発して、私の住む都市まで移動になる。

此処からはかなり遠いが昼過ぎには着くだろう、途中で人が増えるが……そうだな、ヤビィが代表で挨拶してくれればそれで良いだろう。」

「あー、そこで俺かー……ちなみに挨拶が居るって事は偉い人です?」


 ヤビィの後ろでは「俺が行こうか?」と言わんばかりの売り込み(アピール)をしようと動きかけた者がいたが、その後に続いた偉い人の言葉に固まってしまった。

その調子では任せられないのでヤビィに任せるべきか。


「私の上司で、私より階級は三つ上で上から四番目の階級になる。」

「ドゥさんさんが少尉だから……小佐?いや中階級抜いて大佐ですか?」

「意外だな……分かるのか?」

「軍事はまぁ……多少なり齧ってはいましたし尉官佐官は創作物でも割とよく出るので。」


 ……軍事国家にでも住んで居たのだろうか?

まぁとりあえずヤビィを代表にしておけば大丈夫か?


「今更だが、ヤビィ達としては代表は誰だったんだ?」


 此方としてはヤビィが主で、後は(つい)でに近かったのだが、それは此方……と言うより私の主観だ。


「あー……この状況で既に関係無い気もするけど、一応この集団で考えたら……」


 横に居る女性を見るヤビィとその女性に見られるヤビィ……どっちなんだ?


「クラス委員やってた二丹(ニタン)さん……かな?」

「執行部所属の玖波乃君の方が上だと思うわよ?」


 つまり小集団としてはクラス委員なるニタン氏が、その小集団が属する大集団としては執行部のヤビィが。

成程確かに悩むな、此処に居る人間に他の小集団が混じっているならヤビィの方が優先されるだろうが、此処には一つの小集団だけでその小集団の代表が居る。

一分隊の分隊長か、その分隊が所属する隊の……この場合は副隊長補佐とかだろうか?

階級が同じなら……まあ分隊長に委譲するだろう。


「ふむ、ニタン氏の方がこの集団としては代表と言えそうだな。

とはいえ代表は二人でも問題無いし、二人に頼もうか。」

「うぃっす。」

「わかりましたわ。」


 ヤビィの態度が大分砕けてきたな、まぁヴィクターにはこれ位の方が良いだろう。


「じゃぁ今日はこれで本当に終わりだ、明日の朝食後はいつでも出られる様に、後入国許可証は無くさない様に。」

「「ありがとうございました。」」


 驚いて一瞬固まってしまった……礼と挨拶が揃っている辺り普段から全員で合わせてやってるのか。

え?これで軍事国家出身じゃないの?とても民主主義で軍事嫌いの国民が多い国で育って人間には見えないぞ?


「なぁヤビィ……」

「あー……まぁその……俺も度し難いとはよく思ってますよ。

教育者からしてそういうやり方しか知らない……というかそれ以外のやり方を模索する事すら上の世代が許さないというか……業の深い国です。」


 何とも生き難い国から来た様だ、表向き民主主義国家で人権を大事にしているらしいが……辞書が有るなら一度言葉の意味を引き直す所から始めた方が良いのではないだろうかと思わずにはいられないな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ