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邪神の眷属になったようだが私は何をすれば良い  作者: 屯田観烏之羽(ミタミ・アノウ)
騎士覚醒編
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接触

 状況は、此方の思惑(おもわく)通りに移行している。

彼等には使い魔を付けてあるのだからそこまで心配はしていない。

ある程度の自立思考能力と人間的な会話が可能なだけの改良をしてあるし、使い魔に何も言わなくても此方の思考を受信して活動してくれる。

戦域全体を観察している別の使い魔から流されてくる戦況は、当然向こうにも伝わっている。

横槍を入れようとしている部隊も無いし、邪魔が入る事もなさそうだ、これなら万が一の事態も起こらないだろう。


「しかし……」


 彼らと死竜(アンデットドラゴン)が交差した瞬間に幻術を掛ける。

(あたか)も死竜と戦っている様に見せる幻影と同時に、彼らを物理的に視認できない様に隠蔽してしまう。

あくまで物理的に隠蔽しただけで、魔素や空気の乱れ、足音や足跡が消えたりはしないがそこは死竜と幻影で隠蔽できるので問題ない。

と、言いたかったのだが其れ以前の問題だ。


「あまりにも酷すぎる……この為体(ていたらく)で一体どうやって国を守るつもりなのか。」


 丁度指揮を執っていた不死者の一人が、暇を持て余したのか此方に寄ってきたので軽く雑談に興じる。

戦況は……此方から追加した不死者部隊が中央に当たった関係で、元から居た不死者達が前線の両翼に集中してしまったのが原因だろう、既に両翼共に壊滅している。

つまり前線の端が突破できてしまっていて、そして防御陣地は内や横からの攻撃を想定して構造をしていない。


 勿論此方としては都合が良い。

この状況では前線は放棄して防衛線を下げるしかない。

放棄しなければ前線の中央に陣取っている部隊が半包囲されて壊滅するのが目に見えている。

前線が壊滅するとその後ろの防衛線の士気は落ちる。

防衛であろうと攻撃であろうと戦争の基本は相手の戦意を挫く事にあり、最初に交戦する部隊は精鋭である事が基本だ。

もしそれが全滅、壊滅等しようものならそれだけで全軍に影響してしまう。

しかし前線の部隊が無事な内に速やかに下げれば、戦術的戦略的にはまだ大丈夫だと味方を鼓舞することが出来る。


「……下がる気配が無いな、指揮官不在か?それとも愚者が邪魔しているのか。」


 不死者からは、おそらく後者だろうと言っている様だ。

首都に飛ばした鳥型の一体に魔術回路を繋ぎ直すと丁度戦闘中だったようで兵士の身体に突き刺さっている所だった、さっさと引き抜かせて周辺の状況を確認させる。


 周りを見渡せば其処は戦場だ、首都の中で此方の放った鳥型とは別に戦闘が起きている。

道端に転がっている死体は兵隊だけでなく民間人もかなりの数巻き込まれ……いや、戦っているのが民間人か。

民間人の外傷の殆どが剣による傷で、どうやら国民と兵士の間で争っている様だ。

此方の放った部隊はまだ兵隊としか戦闘していない様なので、そのまま民間人らしい勢力に加勢する様に命令しておく。


「どうも自国民と対立している様だ、原因が何かは分からないが。」


 この不死者も元はこの国の国民だろう、動揺している雰囲気が伝わってくる。

正直な所、此方からの戦力供給は既に過剰気味だ。

現状の不死者達に此方が不死者創造で追加した戦力を足すと、この国の戦力では適切な対応が取れなければ滅びると言い切ってしまえる。

だから此方の戦力は適当な所で引き揚げさせる心算(つもり)だったのだが、既に滅びは避け(がた)い状況と言えるだろう。

この国は元より滅ぼす為の準備が随所で既にされているのだ、上の予定よりも年単位で早いだろうが滅びる物は滅びるのだから構う事は無いか。


 不死者の腕を掴む、不死骸骨(スケルトン)死肉鬼(グール)とは違う、生物から生命力だけが無くなった様な状態の彼の構造はほぼ普通の人間と言えるだろう。

魔素暴走を意図的に起こした上に介入迄した関係で、私が彼等の身体を改造するのは簡単だ、彼らに拒否権も無い。

何か問題があった時に強制停止させる為の措置だったが、その為に用意しておいた回路を利用して今隣にいる彼の身体だけを改造する。

人間に足りない魔臓の作製に、生命力の欠落に絡んで失われている身体の機能の補修をしていく。

不死者の主(アンデット・ロード)と言うべき存在に造り直しながら、(つい)でに混沌も混ぜておく。

事実上の使い魔みたいな物になるがそこは後で如何にでもできるので問題ではない。

身体の構築が完全に終わって安定したのを見計らって声をかける。


「君が望む物が何かは確認しなかったが、力が無くては如何にも出来ないだろう。

私の創造した不死者の軍勢の指揮も君に委ねる、遣りたい事を遣ると良い。

私はそろそろ下がらねばならないが君の事は見ている。

君が遣りたい事、遣るべき事が終わったらその時にまた会おう。」


 彼は自分の身体の変化に戸惑っている様だが、私の言葉を聞き終わって直ぐに頭を下げた。

騎士の礼の様だ、剣は無いが応えておく。


「有り難う御座います賢者殿。この恩は必ず。」


 賢者等と呼べる様な存在では無いのだが、此方の所属等は一切教えていないしこのままの方が都合が良いだろう。

彼の動向によっては全て引っ繰り返して終わらせてしまえる様に手綱を離してはいないので万が一の後始末も簡単だ。

彼がこの国に何を求めるかを最後まで付き合っている時間は無いが、その動向は把握できる。

彼が私を呼べばそれに直ぐ応えられるだけの仕込みもあるしあとは彼に任せてしまおう。


 さて、思ったより時間が掛かってしまったがいい加減子供が心配だ、アリス達は車両に乗って既に出発しているがまだそこまで距離は離れていないし、そもそも車両自体私の能力の制御下なのだから転移するのも簡単だ。

移動している車両内部には流石にいきなり出れないが上部になら問題ないだろう。

車両内で待機させていた転移用の使い魔に車外に出て位置転換術式を展開させる。

此方も展開して即座に転移、車両の上部を飛行していた使い魔の位置と交換される。

空中に飛び出す形だが問題なく車両に着地する、向こうには鳥型の使い魔が一羽出るが位置交換時の空間の揺らぎで多数の鳥が飛び立った用に見えただろうか、何処かで聞いた物語の転移の演出の様だ、国に帰ったら調べておくか。

遅くなって申し訳ありませんm(__)m

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