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邪神の眷属になったようだが私は何をすれば良い  作者: 屯田観烏之羽(ミタミ・アノウ)
騎士覚醒編
58/82

話にならない相手と話をする理由は無い

 外に出ればアリスが直ぐに近づいてくる。

ウィルは移送用に用意した車両に先に出た奴隷達を誘導している様だ、もう既に用意を済ませてあるのだろうか。


「観測機の方はもう起動してあります、その子は?」


 まだやる事も残っているので抱えてきた子供をアリスに預けてしまうか。


「ここの実験で触媒にされていた様だ、出来る限りの処置はしてあるが本国に精密検査の準備を要請しておいてくれ。」

「……了解です、こっちで預かっておきますね。」


 これで救助対象は全員確保できた。

あとは此方の目的の為の仕込みと隠蔽だな、起きないように眠らせていた研究者は起こして個々の実験資料を整理させておこう。

呪術分野でも人体実験絡みの情報は国内でも殆ど無いに近い、その貴重な情報を消却してしまうには惜しい。

例えその情報の精度がどれだけ低くても参考にはなる。

触媒にされた子の治療に役に立つ可能性は……正直期待できないがそれでも無いよりは良いだろう。


 使用人に偽装した使い魔に研究者起こさせる、(つい)でに思考誘導に思考催眠と真面な思考が働かない様意識に抑圧を掛ける。

状況が非常事態である事を演出までして刷り込み、十分に思考誘導が浸透したのを確認して

欲しいのはここでの実験結果を纏めた資料だ、とはいえ一人では時間が掛かるだろうから気付かれない様に使い魔に手伝わせておく。


 書類の類は全て持ち出す事は出来るのだが、全てに目を通してどれを重要視している等の情報は関係者にさせた方が楽だ。

思考加速すれば一人でやってしまった方が早くはあるが、何を重要視していたかは推測でしか出来なくなるので、面倒ではあるがしょうがない。

纏められて行く資料は全て使い魔に複製させておく、重要資料の判別は持ち出すように思考誘導してそれを回収させる。


 それらの作業中にこちらは次の用意を済ませてしまおう。

地下実験場が場所的にも丁度良い。

脱出用に開けた隧道はそのまま巨体の何かが無理矢理這い出た様に崩しておく。

実際そこからも出てくるだろうが、車両は結界で隔離しておくので問題は無い。


 既に強化調整の終えた悪霊達から順に配置し、周辺の魔素と呪詛が集まる様に流れを作る。

やや不自然さが残るが、問題になる範囲では無いだろう。

状況が整うのにしばらく時間がかかるので、その間に強化調整の終わっていない霊の調整に集中する。

魔素暴走を強制的に起こすのに必要な量が集まる頃には調整は間に合いそうだ、上の作業も終わっているだろう。


 途中で此方の様子を見に来たアリスには、ウィルにもう少しかかると伝えて貰う。

他の地域に行く部隊も既に部隊の割り振りは終わって出発した所らしい、配置に着くまでしばらくは掛かるだろうが本国と違って情報の伝達速度が違いすぎるので、そろそろ此方から出来る陽動は始めておきたい所だ。

少し急ぐか。





 上の作業が終わったのを確認して資料を奪取させる。

少し早いが足りない分は自分で供出して無理矢理帳尻を合わせてしまおう。


 再度此方に来たアリスに始めると伝えて退避させる。

アリスたちが車両に動力を起動してたのと、上の研究者が資料を奪取されて屋敷に戻ろうとしたのはほぼ同時だ、良い時期(タイミング)だ。


 集まってきている魔素と呪詛を更に狭い空間に集めて圧縮していく。

魔素暴走はそれだけで十分に発生するが、此処で更に火付け役として調整した霊を投入する。


 投入と同時に暴走が始まるが調整の為に中心に留まる。

集まった魔素が大きく爆発して屋敷を破壊したが今更物理的な効果は私には意味がない。

火付けに使用した霊に反応して不死者(アンデット)の群れが発生し始めるが、そこに回収した霊を混ぜ合わせていく。

これで思考力の欠片も無い亡者の群れでは無く、統率の取れた不死者の軍勢になるだろう。

都市部の方向は既に教えてあるし、そうでなくても不死者なら生者の多く居る場所は分かる筈だ。

続けて生まれてくる不死者達に武器を用意していく。

剣や槍、盾や弓、呪詛に呼ばれて集まってきていた霊には魔術が使えそうなものも居る様だ、魔素と共鳴する杖の類も用意しておこう。

素材は屋敷の中にある物で賄えるがそれだけでは貧弱だ、術式で素材自体の強度や精度の強化もして用意していく。


 普通に考えれば不死者の群れの中心で襲われる事もなく作業など出来る訳が無いのだが、しっかりと統率が取れているのだろう。

武装の支給に魔術による支援効果の付与と、色々と手を加えてやることが出来た。


 これで此方の都合上の陽動には十分すぎる戦力になるだろう。

ヒムニトリアは国に聖と付ける様な国だが、彼らが神の加護と呼ぶ国の守りも既に全容を知っている。

その対策も術式として付与しておいたので、運が悪ければ彼らがこの国を滅ぼす事もあり得るだろう。





 不死者の集団の一部が此方に頭を下げて首都へと向かって去って行くのを見送る。

移動速度は騎兵程度だろうが不死者に休息は必要ない、今日中には着くだろう。

此方の目的の人物に接触させている使い魔にも用意するように伝えさせる。


 此方も首都に向かう用意をしないといけないが、救出した奴隷達を連れまわす訳にも行かないな。

一度拠点に戻るか。

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