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邪神の眷属になったようだが私は何をすれば良い  作者: 屯田観烏之羽(ミタミ・アノウ)
騎士覚醒編
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何処へ行っても問題だらけ

「そういえばエージェント殿は首都に御用と伺っておりますが、そちらは後回しでも構わないので?」


 既に使い魔が現地で保護対象には接触済みだが、今すぐに行っても連れ出すのは難しいだろう。

勿論全て薙ぎ払うつもりで行くなら話は変わってくるが、流石にそれは後始末で大変な思いをするだろう。

出来る限り自然に連れ出せるのが良い、使い魔に先導させて人目を撒いた瞬間を狙って車両に乗せて下がれれば最良だろう。

それを思うとまだ首都の奥深くに潜り込んでいる現状で手を出すのは難しい。


「まだ向うの状況が良く無くてな、いや……」


 いっそ魔素暴走の方向を、意図的に首都を巻き込む形に調整してみるか。

使い魔越しに、戦闘訓練らしき時間がかなり長めに取られているのが見える。

戦闘訓練をしているという事は兵士として扱うつもりだろうから、魔素暴走で発生する魔物を首都に(けしか)けてやれば前に出て来れるだろう。


 訓練と実戦は違う。

どれだけ訓練で良い成績を出そうと、実戦で呆気なく死んでいく者は多い。

遺品でも偽装してやれば死者に数えられて追っても掛からずに済むかもしれない。


「まさに屋敷周りが陽動を起こすのに丁度良い条件が整っているし、周辺の味方部隊は最低限だけ残して全て下げておいてくれ。

他の地域での作戦で利用できそうなら使ってくれても良いが、首都方面だけはそのままにしてくれると助かる。」

「ふむ、具体的に何をするかは御聞きしても?」

「数値的に言ってあの屋敷の周辺には既に禁術の反動が溜まっている様に見える。

術の反動が溜まっているという事は何かしらの誤魔化しをしているのだろうが、反動そのもの事態も濃密な魔素の塊の様な物だ、それを着いて魔素暴走を強制的に引き起こす。

術の反動を切っ掛けに起きる魔素暴走は、本来それを受けるべき物に向かって始まり、その後周辺に撒き散らす様に色々な災害を起こすものだ。

この災害絡みで湧いてくる魔物を首都の方向に誘導しようと思っている。

大騒ぎになるだろうが、それだけ此方は目標と接触しやすくなるだろうという算段だ。」


 ついでにこの国自体への牽制にもなる。

不意の軍隊の出動や復旧作業で資金的に大きな痛手を与える事が出来る。

街道の再整備や安全確認で人手が取られるのは勿論、戦闘で損耗する装備類の再配備にも馬鹿にできない金額が必要になる。

当然財政は苦しくなるし、この国の民や周辺国にも反動が行くだろうが其処も計算の内だ。


「成程、確かに現状を考えると色々と(とく)の有る状況が発生しそうですね。

では観測兼連絡隊員を一人だけ同行させますので其方だけお願いします、他は全て他の隊の戦力に組み込みますので支援は全くできなくなりますが。」

「それぐらいは問題ないな。」

「魔素暴走の危険性をエージェント殿に一々説く必要は無いでしょうが、腐っても魔素災害の一種です、十分御気をつけください。」

「忠告はありがたく受け取っておこう、此方で預かる隊員も無事にお返しする。」

「宜しくお願いします。」


 短く敬礼をして緑人の少尉は直ぐに去っていった。

各部隊の調整と指揮系統の調整で忙しいのだろう、独立部隊として指揮系統外で動くことが殆どの代行者で良かったと思う。

そう思ってしまう辺りが代行者は我儘だと言われる原因かもしれない。


 改めて用意する装備等は殆ど無い、アリスも……普段使いの主武装を全て混沌で複製して装備していた。

ミラが用意したのだろうまた勝手に引き出されている、ミラが用意しなければ私が用意していただろうが。

車両を何時でも動かせる様にして待機していると大仰な背部装備を担いだ隊員が走ってきた。


「すみませんお待たせしました!同道させて頂きますウィリアム陸士です、よろしくお願いします!」

「あぁ、よろしく。

早速だが出発する、後部席に乗ってくれ。」

「了解!」


 随分と元気の良い隊員が来たものだ。

律儀に乗車の際に「失礼します!」と言っている、礼儀正しいと称するべきだろうか。

まぁ屋敷周りは急げば救助できる者も残っているかもしれないし急ぎたい。

挨拶もそこそこに乗車を確認して直ぐに車両を発進させる。


 屋敷の位置情報を確認した時点で既に使い魔を出して偵察に向かわせてある。

道にに掛けられた罠の類の確認を並行しているので屋敷にはまだ辿り着けていないが、森の中を車両で通る分此方も殆ど速度を出せていない。

此方が屋敷に辿り着く頃には使い魔達で罠の解除まで終わらせてしまえるだろう。


 上を求めれば(きり)が無いが、使い魔の性能をもう少し高めたい所だ。

後ろの隊員が居なければ私もアリスもこんな森の中で車両を使うより走った方が速い。

だが今の使い魔にそこまでの速度が出せない、鳥型ならもっと早く移動できるが地上の罠の解除に時間が掛かってしまうしそもそも降りる必要がある。

使い魔の性能を、もっと筋力や出力に振る事は出来るが森の中では力の持ち腐れだ。

瞬間的な移動の最適化に割ける判断力が足りていないのだ、しかしそこに割くほど出力は落ちる。

無理矢理帳尻を合わせようとしても安定感に掛けてしまう、使い魔の形に動物以外も参考にしたいが参考になる物が無い。

一から設計できればいいのだが、それこそ無限に時間が掛かるだろう。


 混沌の汎用性の高さを利用して出来る事は格段に増えたが、まだまだ出来ない事の方が多い。

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