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邪神の眷属になったようだが私は何をすれば良い  作者: 屯田観烏之羽(ミタミ・アノウ)
騎士覚醒編
52/82

何処へ行っても問題だらけ

 ヒムニトリアの首都までは、国境のペタ基地からでも片道でニ週間以上かかる。

勿論車両無しでの話になる、そして車両が有っても一切街道は通れないので車両を使っても三日はかかると予想している。

車両の最高速度を維持して走れるなら、それこそ一日で行ける距離しかない筈なのにだ。


 道というのはそれだけ重要だ、真直ぐに走れるというだけでも非常に楽になる。

森の中を木々を避け車両が通れる隙間を探しながら、場合によっては木々に避けさせながら進んでいるが、そう強く思わされる。

もっと真面な道を走りたいものだと。


 四輪で用意した車両だったが、正直四輪での踏破も厳しいので浮遊移動(ホバリング)状態に早々に切り替えた。

障害物が多すぎて車輪で走れるような場所ではない。

正直車両本来の性能の三割も発揮できていないだろうし、車両を通す為に木々に避けさせる為に術式で干渉する必要があるのでコスト的にも良くないのだが、それでもやはり馬車よりは楽だろう。


 運転している私は色々と手間を取らされるので良いが、アリスは車両で座りっぱなしで退屈だろうと思っていたが、ミラがずっと人型に憑いていてアリスと話していた。

退屈はしないだろうが、会話の内容を聞こえない様にしている上で時折此方を見ながら話していたりと、一体何を話しているのか気になってしまう所だが、余り会話に首を突っ込んでも良い事は無い気がするので無視だ。


 浮遊状態なら車両は殆ど揺れないし、音も静かな物なのでアリスが眠っていても車両は移動させられる。

森を抜け、崖を飛び越え、平野でも極力浮遊移動のまま進み、気流の乱れで空からの目が使えない山岳地帯に隠してある味方の諜報、工作部隊の拠点には基地を出発してから丸一日、二日目の朝方に到着した。


 名目上の補給物資、本来不要な補給物資といえば嗜好品が殆ど。

要するに酒や甘味や珍味の類が殆どだ、丁度拠点内で寛いでいた隊員が嬉しそうに物資を漁り始める。


 他国内に潜伏して情報収集や様々な工作活動を行う部隊は多いが、此処の拠点は他国どころか敵国だ、戦闘力の高い部隊も多い。

主任務は大きく変わらないが危険度は他よりはるかに高く、それだけ精鋭が集められているのだが。


「何か慌ただしい感じがするな。」

「……んー、準戦闘態勢に近い気がしますね。」


 アリスも同意してきた。

寛いでいる隊員がいる以上警戒態勢等では無いだろうが、それでも駐留している部隊が多い、何より……


「予定外の補給にエージェントクラス……上層部のGOサインですかな。」


 緑人(エクスィブゴブリン)種や鬼人(エクスィブオーガ)種で構成される、所謂(いわゆる)魔獣災害に偽装した破壊工作特化の部隊が二部隊以上来ている。


「ふむ、特に何も聞いていないが、現状の報告を聞くところから始めるべきの様だな?」

「エージェント殿は話が速くて助かりますな。」


 補給物資を降ろした私に近づいて来て話しかけてくるのは緑人の少尉、一応階級的には同階級だ。

代行者(エージェント)とはその兵種そのものの希少性と破格の能力の関係で、実際にはもっと上の階級と対等に近いが敵国内で活動する諜報工作担当も同じくらいに敬われ重用されている。

特に緑人種も鬼人種も国外には報告していない種族で、他国では基本的に魔獣扱いされているのを逆に利用した非合法戦略部隊として運用されている、その少尉ともなると実際の所左官程度の扱いはされている筈だ。


「実は先日からヒムストリア各地で少々、と言いますか、かなり不穏な気配が漂っておりましてな。」


 緑人の少尉が手で合図をすると彼の補佐官だろう鬼人の准尉が地図を持ってきて広げる。

初めからそういう流れにすると決めて待っていたのだろう、此方としても無視するつもりは無いが。


「エージェント殿は首都に御用があると聞いておりますが、申し訳ないがこちらにもご協力願いたい。」


 元々の地図には乗ってない、様々な情報を手書きで書き足したやや襤褸々々(ぼろぼろ)な地図に駒を置いていきながら説明が始まる。


「首都は勿論なのですが、他にも確認しただけで5カ所程……大規模な魔術、呪術等が展開された痕跡を探知しております。

首都には文化圏が明らかに違う人の姿が、それ以外では大規模な魔獣災害やの他に、禁忌に指定されていてる系統の呪術らしき痕跡と、手を出したい案件が山程ありましてな。」


 要は、見逃し難い悪事の痕跡を捉え、それらを止めさせる為の許可が欲しいと打診していたのだろう。

とはいえ、聞いた限りでは他国の内政干渉と取られかねない案件も混じっている。

軍事行動をするなら初めから私かアリスにその旨の連絡が有あるだろう。

補給物資は嗜好品、上層部的には見なかったことにしろと言いたいのか、あるいは我儘三昧な代行者が勝手に介入して勝手に解決してしまう事を狙っているのか。

……ふむ。


「アリス、何処に手を……いや、放置するならどこだ?」

「……なら魔獣災害は放置ですね、手伝う意味を見出せません。

首都は後回しになりますが、禁忌と表現した痕跡は気になります、後はこれだけ部隊が来てるなら私たちが手を出すまでもないです。」

「と、言う事でこの術の痕跡の調査は、この屋敷は此方で処理する。

他は……この部隊編成なら十分秘密裏に対処できるだろう?」


 地図に置かれている駒に対して此方の部隊を示す駒を配置して提案する。


「ふむ、この辺りの担当は些か心配ですがそこはどうにでもできるでしょう。

しかしあの屋敷は後始末が大変ですがお二人で大丈夫ですか?」

「問題ない、禁忌系なら幾らか使えそうな手段がある。」

「では、屋敷の方はお任せします、先行偵察の詳細報告は……あそこの彼からどうぞ。」


 作戦の割り振りという作戦会議の前会議の様な物だったが、緑人の少尉にとってはおそらくほぼ予定通りだろう。

屋敷で行われている術の解析と処理に、おそらく工作部隊だけではなく研究班を要請する必要があるだろう。

ここの拠点に来ている部隊では対応が難しい、他方はここの部隊の専門の筈だ。

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