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邪神の眷属になったようだが私は何をすれば良い  作者: 屯田観烏之羽(ミタミ・アノウ)
騎士覚醒編
50/82

東へ

 当然の様に基地で足止めされる。

装備は服だけで良かったのだが、基地内で常備されている国外活動用の服は現在出払っているらしく、追加分が輸送されてくるのを待つ事になった。


 服以外の装備類も無く、一式揃えて送られてくる夕方前まで基地で特にすることもなく待機だ。

既に使い魔は飛行不能領域を陸路に切り替えて先行させているので、最悪使い魔に接触させることになるだろう。


 ミラはそのまま人型を使ってアリスと喋っている。

基地内の人物には使い魔で、あれは出国管理上で一人とは数えないと説明してあるし、発している魔力波長は完全に私の物と一致させてあるので問題は無い。

問題は無いが、アリスとずっと喋り続けていて私が一人放置される形になってしまった。


 特に基地でやる事も無く、暇を持て余すのも勿体ないので混沌内で装備類を順に構築していく。

問題がないかどうかより改良できないかを主眼に置いてみれば、そもそも素材上の問題で強度不足だったり硬度過剰だったりと色々と手直したい所が見つかった。


 混沌の性質は……呼び名の通り混沌だ。

この世のありとあらゆる物が分離する以前の状態、という認識でこの世に在るあらゆる物質に成り代われる物……と考えていたのだがどうも違う。

(ある)いは知らないだけで存在する、もしくは存在する可能性もある、という程度の物質にまで成れるのか。


 刀身の硬さはより硬くと求めつつ重量は最も手に馴染む物と同じになる様に調整しながら刀を編み上げていく。

そういえば普段使っている刀は複製を取っている。

複製なら混沌製だし回収して直すのも簡単だ、今編み上げた刀と比較して強度測定等してみるとするか。


 手頃な岩や木等を切っても測定にはならないので直球で二つの刀をぶつけ合わせる。

新しい方は地面に突き刺す様な形で固定し、刃に向かって振るえば……刃が当たった所から綺麗に切断された。

勿論普段使っていた刀の方が、だ。

切れ味の比較は必要なさそうだ、切断されて飛んで行った刀身を回収して修復する。

刀剣の構造上、刀身の腹は他と比べて脆い、なのでそこに切りつけて見るが弾かれ掛けた。

弾かれずに済んだのは単純にぶつけるのでは無く、切るつもりで刃を滑らせたからだろう、そして案の定傷一つない。


 鉄の塊でも直接ぶつけてみるかと鉄塊を付けた様な鈍器(メイス)を構築する、もちろん強度も硬度も大体鉄だ。

手加減無用と殴りつけてみれば弾き返された、いくら何でも硬すぎる。

竜の鱗でも割れるだけの力を込めたのだが鈍器の方が砕けている。

修復して術式を籠めて殴れば大きく(ひび)が入った、罅は入ったがそれでも形は維持している。

当然の様に鈍器は砕けたが。


 もう一度刀を出して知り得る限りの術式を重ねていく。

切断力や硬度、靭性や衝撃、不壊性、形状維持等兎に角重ねていく。

混沌を基にすると魔素との相性が良く、浸み込む様に刀身が取り込んでいく。

同一の術式は多重掛けしていないが、術式の量から言って竜の首も容易く落とせるだろう。

刀本来の切り方ではなく叩きつける様に斬りつけるが刃が途中で止まってしまった。

双方僅かにも動かない、仕様が無いので混沌に戻してしまう。


 今度は新しいのを二本用意する。

一本は変わらず的の代わりだ、軽く素振りする位の感覚で腹と刃に斬りつけて見るが火花を散らした位で傷らしい傷はない。

今度は術式の切断強化だけ籠めて振ってみればあっさりと切れ、刀身が届いていない筈の地面も軽く切れている。


 結論から言って使い勝手は良いとは言い難く、うっかり関係ない物まで斬り落としそうと言った感じだ。

刀剣握って数十年数百年という世界の人達が、それこそ山を斬ると言って持ち出しそうな産物に思える。

切り札の一つとして持っていても良いが普段使いには危険だ、切断強化一つで間合いが狂う程魔素との親和性が高い。

術式を込めなくても魔素が混入する事はあるのだから味方を巻き込みかねない。

刀は普段の物で十分だという結論にしておくか。


 銃器類は素材の魔素との親和性の問題で小型化が難しい問題なのだが混沌で解決できてしまうので設計から見直さないと駄目だ。

そもそも混沌が触媒に使えるし、術式は其れこそ混沌内に溜めて置けば良い、魔術陣すら混沌内で大規模に形成できて展開する必要がない。

銃器の形状にする必要性すら無いが、逆に銃器の形を取る事で擬態(カモフラージュ)する事も出来るか。

あまり面倒が無い様にそこそこ大型の銃器に見せ掛けた物を考えておこう。





 そもそも暇つぶしに近かったので思考加速はせず作業していたが、そろそろ日が沈んできた。

基地への補給物資を運んだ車両は先程来ていたが、荷の点検がしばらくかかるだろう。

アリスは……まだミラと二人で喋っているな。

ミラの依り代に使っている人型から何度も混沌を引っ張り出されている感じもするし、アリスの方も装備の確認等もしているのだろう。


 アリスは私が居ない所ではよく喋るらしい。

私と居ると色々と気を使ってしまっているのだろう、もっと普段から喋っていても良いのだが、きっと私がそうさせてしまっているのだろう。

もう少し気を付けて遣らねばならないのだが、自身の立ち居振る舞い、癖といった物を直すのはなかなか難しい物だ。


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