表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
邪神の眷属になったようだが私は何をすれば良い  作者: 屯田観烏之羽(ミタミ・アノウ)
騎士覚醒編
49/82

東へ

 三番貨物容器(コンテナ)の中身を一応確認して丸ごと混沌に沈める。

中で変質しそうな気もするが、既に幾つか入れてある物を出して見たが、数日程度なら問題なさそうなのは確認済みだ。

沈めた(つい)でに記憶の中にある、四人乗りで移動速度重視の車両の設計図を混沌で組み上げていく。

素材等実際の完成機を見ていないので完全再現とは行かないだろうが、とりあえず現状必要な機能は満たせているだろう。


 二人乗りなら二輪でもいいしが、途中でミラを物理的に呼び出す予定だ。

初めから四人乗りで用意してしまった方が手間がないし、それに二輪では休み難いし安定感にも欠けるので四輪だ。

ペタ基地まではこの車両の巡航速度で一時間と言ったところだろうか、道が整備されていないのでその三倍は計算に入れておく。


 基地を……そういえばここの基地を確認していなかった。

ベヘ領から北上してジズ領、その北東辺りで森林地帯に構えてる基地ならステュム基地か。

使い魔に高空観測させているので現在地や目的地が直ぐ分かってしまう為に、地名等はあまり気にならなくなってしまうな。

道案内位でしか地名が必要になる事も殆ど無い所為でもあるだろうが。

兎に角ステュム基地からさっさと出発してしまおう。


 車両にアリスが乗り込み安全帯(シートベルト)を付けるのを確認して車両を発進させる。


「アリス、席は後ろに向けてくれ。」

『ミラ、以前頼んでた事だが。』

『りょーかい、別に戦闘力とかいらないから人型に必要な分だけ借りるね。』

『あぁ。』

「後ろに人を呼ぶから、驚くなよ?」


 いきなり物体が現れると人は大なり小なり驚くものなので、先にアリスに声をかける。

次いで召喚地点の予告代わりに軽く(もや)を展開する。

靄自体は別に混沌では無いので靄が固まって人型に……という展開は出来ないが、靄で突然人が座っている様に見えてしまう違和感を薄れさせられる。


 序でに人型なので安全帯も着用させる。

高空から自身の位置を観測している為、障害物やそれに準ずるものは初めから見えているから急停止する事は無いが、石を踏んで車両が跳ねる事くらいはあるだろうし無駄にはなるまい。


「えーっと、ちょっと待ってね、身体と顔をもうちょっと本来の僕に寄せるから。」

「……アリス、そこで靄に隠れて顔を見せずに化け直してるのが……さて、何と紹介するべきか。」


 そういえば何も考えていなかった。


「まぁ、私はミラと呼んでいる。

最近私の使っている能力と非常に縁が深い関係の友人だ。」

「……最近の先輩の変貌振りの原因ですか。」

「まぁその認識でも間違いではないか。」


 ミラの用意は大体整った様なので靄を消す。


「あはは、いやごめんね?なかなか自分を作る機会なんかないから手間取っちゃったよ。」


 そういえばミラとは基本的に混沌越しで、その姿を見たことは一度もない。

後部確認鏡(バックミラー)越しに一応確認する。


「ミラ、アリスについては。」

「だいたい聞いてるよ。あ、ちょっと彼女とは内緒の話があるから盗み聞きしたら駄目だよ?」

「ん、あぁわかった。」


 車内の空気の流れが変わる、声の振動が通らなくなる様に遮音結界でも張ったのだろう。

唇の動きを読もうと思えば読めなくはないだろうが、とりあえず当分は車の運転に集中する。





 国境(・・)に存在する秘密基地まで僅か一時間で着いてしまう程この国の国土は狭い。

技術や知識の進歩を最優先にして、国中の多くの物を犠牲にし、多くの血を流してでも国を変えると革命を起こしたのは当時の国王。

数百年前当時に大馬鹿者と各国から叩かれ、王都の近郊の街三つまで国土を減らして行われた革命の成果こそ現在のこの国そのものだ。

教育と研究と開発に全てを注がれているからこそ、国境まで一時間等と言う数字が出てくるのだが。

ここで他所の国の文化水準に合わせて馬車なんて使おうものなら国境まで二日はかかる。


 恐らくこの国が大陸に覇を唱えたら大陸の統一は十年以内で終わってしまうだろう。

普通に考えれば無理だが、他国から来てこの国の教育を受けて国に帰った貴族や王族はそれなりに居る。

戦争にすらならずに即内応してくる国は多いだろうし、そもそもこの国がこんな小さな領土でこれだけ研究や実験を繰り返せるのも、他国の支援あってこそだ。

支援に当たってこの国の技術や知識の一部を還元しているが、大規模に提供されているわけではない。

国の生活様式を一変させるには相応の切っ掛けが必要で、その切っ掛けを待っている国は既に多い。


 技術や知識の還元で特に優先度が高く、無理矢理に近い形で進めた医療関係は、既に西側各国に浸透している為に、既に国民が暴徒化したことがある国もあるらしい。

それだけこの大陸の平均的な文化水準(レベル)は低く苦しい。


 そんな他国に出かけるのは、本来は嫌な仕事だったのだが。

町や村に滞在する必要が無いなら、今回からは楽な仕事になる。


 他国に持たせるには早い、あるいは危険と判断されて国外持ち出し禁止の装備や道具類の情報は一通り記憶の中にある。

そしてこの車両の様に混沌で構築できるという事は、今まで盗難や紛失、破棄等が原因で持ちだせなかった多数の装備が外国でも使えるという事だ。

特に車両は大きい、行商や旅人がいる為に街道は使えないが、人目を忍べるなら四輪も二輪も使えるし、悪路でも浮動が使える。

そして何より食料や水が今までの十分の一もいらない。

機動力が違いすぎて作戦予定日数が圧縮できるし、アリスもどうやら絶食状態でも活動できる様なので二日三日程度の作戦なら水も食料も無くても良い状態だ。

各国の軍的に脅威度が計れない所の騒ぎではないだろう。


 そろそろペタ基地が見えてきた。

まだ昼前、装備の用意はほぼ出来てないだろうな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ