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邪神の眷属になったようだが私は何をすれば良い  作者: 屯田観烏之羽(ミタミ・アノウ)
騎士覚醒編
48/82

東へ

 結局そのまま朝方までアリスは起きなかった。

よく寝たと言いたげな顔をしていたが、おそらく純粋に寝ていた時間はそこまで長くないだろう。


 昨日気が付いた時点からさらに体質が変わっている様に見える。

私自身がそうであるように、アリスもまた根源に触れた事で大きく体質が変化している。

私と共にある為の進化を模索しているのだろう。


 生物の進化の果てに目指す物が、混沌の其れで良いのかは私には分からないが。

アリスが其れを求めるなら、私は其れを守るだけだ。





 昨日一日の残党狩りと調査を経て、この基地は臨戦態勢から警戒態勢に移行した様だ。

まぁ自然相手に警戒を緩めすぎる訳もないし当然だろう。


 基地内には一緒に来たベヘからの支援部隊以外にもジズ内の別の基地やレヴ方面からもいくつか部隊が来た様で既に手狭だ。

一昨日の騒動で当日中に原因の発見と対処ができるとは想定していなかっただろうし、対応できてもそれだけが原因とも限らない事もよくある。

代行者がこの手の任務で期待されているのは原因の解決ではなく、防衛・対策部隊の用意ができるまでの時間稼ぎが九割。

新たに魔獣や魔物の大発生が起きても、既に仕事の範囲外としても問題ない状態だ。


 報告書は、アリスの分も既に埋まっているので提出してしまおう。

まだ日は昇り切っていない時間帯だが、基地司令はもう起きて仕事をしている、ヴィクターももう起きている様だ。


「アリスは先にヴィクターの所に行っててくれ、私は報告書を基地司令の所に提出してから合流する。」

「え、何もこんな朝早くから働かなくても。」


 アリスはまだ休みたいのだろうが基地を出てしまった方がゆっくりできる。

さっさと仕事を終わらせてしまうべきだ。


 部屋を出ると隣の待機室から案内役が出てきたが、既に案内無しでも基地内部の構造は把握しているし誰がどこに居るかも把握している。

アリスの方に付く様に命令を出してさっさと基地司令の下に向かう。

そもそもこんな時間帯に仕事し始めている基地司令が今どこに居るのか案内は出来ないだろう。


 基地内にいくつかある階段から一番近い物を使って屋上へ出る。

基地司令は単眼鏡に握り飯という食事時の偵察兵の様な装備で森を見ていた。


「司令殿、先日の報告ですが……御自身の目で確認しないと気が済まない性質(たち)でしたか?」

「む、おおジェラルド卿、これはお恥ずかしい所を見られましたな。

決してそういう訳でもないのですが、偵察兵をしていた頃の癖で高い所から見渡そうと身体が動いてしまうのですよ。」

「あぁ、最初に覚えた仕事等は体が早々忘れない物ですし、つい手を出してしまいますよね。」


 私は初めから代行者で軍部での下積みは殆ど無いが、修練と研究、特に研究は有事以外は思考や演算領域を割いて続けているし似た様な物だろう。


「一偵察兵から始まった私の軍人経験上、どうしても術や装置の情報だけでは満足できず、立場も忘れて身体が動いてしまうのですよ。

それで、報告書なら別に急がなくても、急用でもありましたかな?」

「まぁそこそこ急ぐ必要は有りそうだと考えてはいますので、一応使い魔をこの基地に置いて行きますので有事の際には使い魔をお使いください。」

「これはありがたい、まぁもう既に森の雰囲気も以前の様相を取り戻しておりますし何も起きはしないでしょうがな。

とりあえず報告書はもうここで受け取っておきましょう。」


 執務室に届けておく位の時間はあるが、まぁ問題にもならないしここは渡しておくか。


「気遣いに感謝を。

私もアリスも出ますが、戻る際に一度此方の基地にまた寄りますので、またその時に。」

「うむ、またこうして喋るのを楽しみにしておく、気を付けてな。」


 司令職に就いている割には話しやすい人だったが、まぁこの国の軍人は半分以上はそんな物だったな。


 屋上を出てヴィクターの所に向かう。

昨夜時点で傍受した長距離通信で出国許可自体が出ている事は既に把握している。

装備類は最低限だったが、別に最低限で困る事もない。


「大佐、一応任務を確認に来たが、内容はヒムニトリアを北から南に向けて首都を掠めつつ移動して情報収集と、それから現地で活動している諜報部隊に物資の補給で間違いないか?」


 室内に入るなり要件を済ませる。

アリスは概要だけ聞いたところだったようで、詳細は合流してからのつもりだったのだろう驚きの顔を一瞬していた。

ヴィクターは数多に手を当てて深いため息を()いた、横に私の使い魔が待機している時点で分かり切った事だろうに。


「話が早いのはいい事だが、なんだかなぁ。

まぁ概ねその通りだ、装備は最低限だが補給の名目もあるので一応馬車の使用が許可されているが、どうする?」


 どうするも何もない、馬では遅すぎるし邪魔だ。


「馬は不要です、物資の量次第ですが馬車も邪魔ですね。」


 最低装備で使える馬車と言えば、骨董品みたいな幌馬車しかない。

木製で振動も酷いし耐久性も酷い。


「あー、物資は俺達が基地に来るときに一緒に輸送してきた食料と趣向品が幾つか、あと少々の武器だ。

馬車の積載量ギリギリはあるし無いよりはマシじゃないか?」

「いえ、ギリギリなら尚更(なおさら)邪魔です、使い魔と同じ要領で輸送手段を用意するので其れで行きます。」

「まぁ古いしな、その馬車の代わりの輸送手段が必要に応じて消したりできるなら機密上問題も無いだろう。」


 かなり省いたが、正式に任務も受領したので留まる意味も無い。


「早めに行った方が良さそうな気がするので、物資を受け取り次第直ぐ出ます。」

「せっかちなお前を見るといつも通りな気がしてくるな。

うちの隊の三番コンテナを持ってけ、それから国外任務用の装備は流石にこの基地にはないから国境のペタ基地で手配してあるから忘れるな。

はぁ、さっさと行ってさっさと帰ってこいよ。」

「了解です。」


 一応任務なので敬礼して部屋を出る。

アリスも敬礼して付いてくる。

確かにヴィクターが言った様に何時も通り、以前通りになってきたな。

11/7固有名詞を間違えて引っ繰り返ってたので修正しました。

レヴ内の別の基地やジズ方面 → ジズ内の別の基地やレヴ方面

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