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邪神の眷属になったようだが私は何をすれば良い  作者: 屯田観烏之羽(ミタミ・アノウ)
騎士覚醒編
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一休み

 アリスの反応を見て本格的に睡眠状態の見直しを考えたが、まだ偽装以上の睡眠は取れそうに無い。

しかし必要なのは精神的な睡眠、精神体の休養で本当に眠る必要は無い。


 とはいえ精神体を休ませるとは一体如何するべきなのか。

精神系の術式は幾つか知っているが、その(いず)れも物理的な身体の神経に作用する魔術だ、其れでは効果がない。


 この国でも精神や魂の分野の研究はまだ碌に進んでいない。

(おそ)らくスティルバス氏の研究が、魂関連の分野では一番進んでいるだろう。

今度戻った時に経過報告と合わせて聞きに行くべきだろうがまだ当分先だな。


 本当ならそっちを優先しても良いのだろうが、ミラの言っていた葉付きの様子が気になる。

危険な気配がしたら言うとは言っていたが、それを待ってから確認しに行っては手遅れになる可能性が高いだろう。


 何と言っても東。

東の方にある国で召喚と言う名の人攫いを率先してやりそうな国は一つだけだ。

現状でこの国と完全に敵対している大陸唯一の宗教国家。

あの国よりさらに東側の諸国とは表向き国交は無いが、向う側でもあの国は頭の痛い問題だそうだ。


 まず何と言っても国の規模が大きい。

国土も人口も国としては大陸最大規模で、そして東側で広く信仰されている宗教の宗主国だ。

宗主国とは言っても周辺国での教義とは乖離(かいり)し始めていて既に孤立しているらしいが、宗主というだけでなくあの規模の国を無視する事は出来ずに居るらしい。


 まぁそうだろう。

国土の広さは資源の多さ、食料や鉄をあの国から輸入している国は多いし、国によっては水源すら抑えられているだろう。

そして何よりあの国は周辺国の医療面を完全に抑えてしまっている。

薬も医療魔術も全てあの国の手の内だ、東側諸国であの国を排除するために連合を組んだとしても、戦いにもならないだろう。


 西側の連合国からではあの国を通らずに東側諸国とは接触できない。

海路は造船技術が足りず不安定、空路は気流が乱れていて龍種やそれに準ずる硬さと機動力がなければ近づけない。

そういえば以前古龍種(エルダードラゴン)と接触した時は結局、交渉の日時と場所を伝えるだけで肝心の中身は聞いていないな。

あれから既に半年以上経過しているが内容の秘匿はまだ続いているだろうし、まだその辺りは当てに出来ないだろう。

つまりまだ東側諸国への援助は出来ない。


 だが既にあの国は行動を起こしてしまった。

その目的は判らないが東側で孤立している現状、碌な事を考えていない可能性は非常に高いだろう。

戦争を仕掛ける可能性は非常に高い、東側諸国の団結の為と(うた)って東側に手を出される分には良くは無いがまだ良い。

西側諸国の何処かに攻めて来た場合は完全に敵兵だ、攻撃前に寝返ってくれなければ助けられないし、例え寝返ったとしても敵味方入り混じった最前線の真中で孤立する可能性が極めて高い。

この国に攻めてきたら論外だ、長距離攻撃術式で国境を越えた次の瞬間に吹き飛ばしてしまう。


 助ける気が有るなら……やはり急いであの国の中に潜り込んで脱出の手引きをするしかない。

一人だけなら門を使えば連れ出せるだろうが三人を超えると魔素量的に不可能だ。

政治利用されてからでは遅い、急がないと見捨てる以外の選択肢が無くなる。

しかし軍人としては無断で敵国で行動する訳にはいかない。


『葉を付けた以上僕としては助けて欲しいけど、それで君の生活を犠牲にしてくれとは言わないよ。』

『そこを判断するのは既に私ではなくこの国だ、なんと言っても敵国に居る人物を亡命させたいと言っている訳だからな。

最悪見に行くだけ見に行って帰ってこいと言われる可能性もある。』

『あーそうか、軍人さんは大変だねぇ。』

『まぁ別の国の旅人に紛れ込ませてやる位は何とか出来るだろうし、行けない理由は先に潰しておいた。

助けられない事は無いだろうと思う。』

『ん、ありがとうね。』

『それはそうとミラ、精神体を休ませる手段に何か心当たりは無いか?』

『ごめん、そっちはどうにもなんない。

他の皆は僕が精神を封印する形で眠らせてる位で、それができる手段があるなら僕も知りたい所だよ。』

『それは……お前はどうしているんだ。』

『気合で限界までやったら封印を解いて交代だねぇ、精神を削ったり穴開けたりとかそういう魔法はあるのに精神を癒す魔法ってほとんど無いんだよ。』

『魔法でも難しいのか、いや精神に触るとはそういう物か。』

『うん、ごめんね。』

『謝る必要は無い、今無い物は創り出せば良い、それこそ私の役目だろう?』

『……うん、ありがと。』


 そもそも精神が急速に疲れていくのは、こうして思考し続ける癖の所為だろうからな。

後は記憶の整理が終わって、そこに付随している感情に引き摺られているのもあるだろう。


 アリスも案外それに反応したのかもしれない。

顔に出るなら疲れよりそういった感情、則ち記憶喪失前の其れだろう。

雰囲気だけかもしれないが、ヴィクターには分からなくてもアリス程近いと分かってしまう程度の差の違いかもしれない。





 アリスは横で寝ている、夕食時だが起こしてやるべきだろうか。

いや、私の身体から出る気や魔素を吸収している?実験後から随分と密着したがると思ったが、そういう体質になる様に身体の基礎を作り変えているのか。

人生全てを私に捧げるなんて事を言っていた事があった筈だが詳しく思い出せないな、本気でやるつもりなのか。

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