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邪神の眷属になったようだが私は何をすれば良い  作者: 屯田観烏之羽(ミタミ・アノウ)
騎士覚醒編
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一休み

 ヴィクターから細かい連絡事項を聞いて部屋を後にする。

使い魔はそのまま待機だ、思考力はあるが知性と呼ぶにはまだ研究が足りない。

物事が起きた時に対処的にしか思考しないので、命令するか周辺で何かしらの不穏な動きがない限りは自発的に何もしないのだ。

偵察に使っている他の使い魔の様に常時思考領域を占有されないだけ楽ではあるのだが、自立活動ができないのではまだまだ使い勝手は悪い。


 とはいえこの分野の研究は非常に時間が掛かるだろうから一先ず横に置いておく。

今しないといけない仕事は、特に無いか?アリスが報告書を書き終えていれば提出するくらいだろうか。

それも特に急ぐ必要は無い、明日でいいと言われているし基地司令は事後処理で忙しそうだ。

調査隊が編成されるのもまだまだ先の話だ、調査隊用の資料の作成事態は手の空いた部隊から手を付け始めるだろうが、流石に今日は殆どの隊が休息に当てているだろう。

つまり急ぐ必要性がない。


 ならアリスがちゃんと休んでいるか確認しに部屋に戻っておくか。

せっかく時間が空いているので、もっと混沌の精度や使用法等に調整と研究に当てたい所だがそれは部屋に居ても出来る。


 部屋に戻るついでに既に放っていた使い魔を回収する。

鳥型は重宝していたし、使い魔自体を触媒に色々と術式の展開などもできる様には設計していたが、やはり制作時の知識の漏れと何より時間の無さが原因でまだまだ改良点が多数あった。

ひとまず新式に更新する中継ぎ用の使い魔を用意して旧式と全て入れ替える。

大分怪しい知識で組んでいた位置転換術式は、最初に使っただけで全く使っていなかったが入れ替えで観測地点を離れさせずに済んだので実に有効に使えた。

中継ぎは旧式に積んだ術式を最新の論文や研究成果の情報を使用した新しい術式に変更した程度の違いしかないが、それでも応用の幅は大きく広がっただろう。

新式は当然混沌周りをもっと詰め、他人の研究成果ではなく自分の研究成果を利用して作りたい。

研究に必要な時間は思考加速すれば用意できるのだ、自分に合わせた専用の術式を用意するべきだろう。


 とはいえ今日は休みだ。

肉体的にも精神的にも疲労は感じないが、だから大丈夫という事はない筈だ。

疲労が全く無いのならいいのだが全く感じられないとは意味がまるで違うのだから当然だ。

ミラの仲間とやらも一度も会った……会った?そもそもミラの本体とすら直接会ってないがまぁ会ったと表現しておくか。

話にだけは聞いた仲間とも一度も会っていない、ミラは何と言ったか、確か休んでいると言ったような気がする。


 根源での話は流石にうろ覚えだ、あそこは時間の流れ方からして違うし、丁度あの時は実験の最中で身体は粒子程に小さく散り散りになっていたのだから脳がまるで機能していなかったはずだ。

そもそも今も物理的には脳が無いが、根源に入った直後と出る直後だけは(かす)かに思い出せる。

根源を出るときミラの眷属としての契約をしていた筈だ、だから出る直前辺りから記憶があるのだろう。


 その思い出せない間に他の仲間と会っているかもしれないが、ミラ以外一度も話しかけてこないという事は彼らは現在は動けない。

ミラとの繋がりの感じから言ってミラが嘘を言っている可能性もない。

つまりミラの仲間は休んでいるのは間違いない、休まなければいけないという事は疲れがあるという事だ。


 肉体的にはまず疲労を感じる事自体が異常事態だ、この身体に疲れが溜まる所などない。

だが精神的には?魂はどうだ。

精神は肉体に影響されるとは昔の哲学者が()いた一説だが、実証実験はされていない。

しようが無いというのが正しいだろうが、少なくとも私自身はこれを無視するわけにはいかない。

全く逆に肉体は精神に影響されるともその哲学者は説いていたが、要は安定(バランス)だ。

安定から程遠いだろう今の状態なら、精神が肉体に影響されて疲労を感じないと錯覚しているだけだと考えておくべきだろう。





 悪い癖だ、今日は休むと決めても思考だけは回り続けている。

身体を休める意味はない、肉に依らないこの身体に休みが必要なのではなく精神の休みが必要なのだ。


 結局、私の事を一番知っているのは私ではなくアリスなのだろう。

部屋に戻った私の顔を見るなり早々に寝具に押し込まれてしまった。

抵抗することは出来たがアリスが休ませようとしてくるのだから素直に従う。


 アリスこそ休ませてやりたいのだが、この状態では何を言っても無駄だろうな。

もう既に犬型だ、昨日と一昨日の差を比較したのか毛の量や小動物らしさを私好みに合わせに来ている。


 だがここは基地の中だ、しかも貴賓室。

万が一に備えて室内の状態を隣の待機室から窺えるようになっている筈だ。

とりあえずこの部屋の状態を外部から窺えない様に監視機器類や覗き穴の類を物理魔術両面で塞ぐ。


 ……別に(やま)しい事をするつもりではないのだが、思わず完全に外部と遮断してしまった。

アリスは以前にも私を指して自身に対する印象を大事にしていると指摘されている、咄嗟(とっさ)の行動で他人に見えない様にしてしまう辺り、他人の目に映る自分と言う存在をかなり気にしているのは間違い様の無い事実だろう。


 自分ではわからないが、間違いなく疲れているだろうしアリスもそう感じているだろう。

ここはアリス気遣いをありがたく受け取っておくとしよう。

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