表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
邪神の眷属になったようだが私は何をすれば良い  作者: 屯田観烏之羽(ミタミ・アノウ)
騎士覚醒編
33/82

招集

 車両の減速に合わせて、慣性に従って身体を荷物に押し付け……というほど速度は出ていない、多少感じる程度だ。

そこまで速度が出せる様な環境なら、同じ車両でも鉄道車両を使う方が速いだろう。


 車両はそのまま停止したりはせず徐行している。

窓が無いから中から外の景色は見えたりはしないが大した問題ではない、今は基地の敷地外で誘導に従っているようだ。


 周囲に配置されている人員からみて、車両の後部が死角に入るのを待ってから使い魔(ファミリア)を車両の後部扉の隙間から地面に落としておく。

例え居間のが人の目に触れたとしても、一瞬何かおかしな影が見えた程度にしか感じないだろう。

そして影だからこそ上空を探し、その隙に影の形をした使い魔は本物の影に潜む。

大分慣れてきたおかげで、生物の形を持たせなくても使い魔として扱える様になったおかげだ。


 そのまま使い魔には人の目を避けながら森の中まで移動させ、鳥型に変形して北部の調査に先行させる。

車両から出した影は一つだが、五体の使い魔に分裂して森から飛び立たせた。

変形もだが、分裂も容量さえあれば問題ないようだ、あと試していないのは合体くらいだろうか。


『あ、その中の一体ちょっと借りていい?」


 ミラから声が掛かる。

前回もそうだが突然話しかけられるのはそれなりに驚く、驚くがミラの声がかかる寸前に一瞬だけ思考速度が加減速するので、周囲に不審に思わせたりするような動作は一切出さずに済ませられている筈だ。

アリスは分かってしまうようだが、今もこちらを見ている。


『問題ないが……東用なら専用にもう一体出すぞ?』


 使い魔を持っていかれても許容範囲ではあるが、東の国……あそらくあの自称聖国だろう、に飛ばすなら余裕を持たせておきたい。

今出した使い魔では観測くらいにしか使えないし、最低でも自衛能力は付与するべきだろう。


『ん~、そっちはそっちで気になるんだけど、君の行先にもちょっとね。』


 事前に聞いている通りの反動云々(うんぬん)絡みか。


『そういうことなら目に頭脳が付くようなものだし構わないが……偵察用で問題無いのか?』

『うん、僕がそっちで何かするためには君達眷属を通す必要があるんだけど、ファミリア越しでも大きな違いはないからね。』


 活動に際しての縛り(ルール)における抜け道みたいなものか。


『ということで僕も先行偵察しておくね。』

『わかった、ありがとう。』

『また後でねー。』


 ミラの軽い乗り(ペース)に緊張感が抜け落ちそうだが、不審がられるので顔には出さない。


 ついでにアリスの持つ水晶球が映している地点を、使い魔に掠める様に飛ばさせる。

(マーカー)は青黄赤以外にも、魔術反応は紫、動物類に緑等、いくつも色が振られているが反応しなかった。

私の使い魔の技術自体は魔術を基礎に置いているので、紫色の反応がしてもおかしくはなかったのだが、混沌のせいだろうか?

とりあえず使い魔は補足され(にく)そうだ。


「先輩もう着きますよ?」


 おっと、アリスが怪訝(けげん)そうな顔をしている。

後は使い魔に最低限持たせておいた思考力に任せよう。


 車両が完全に停止し、機関(エンジン)音が停止すると同時に後部扉が開かれる。

まずアリスが降り、ヴィクターが降りてから私も降りる。

降りた先には二人の隊員、階級は……准尉と曹長か、階級章周りは大分思い出せてきたな。


 准尉という事は私とアリスの一つ下、上から八番目下から七番目の階級だ。

階級だけ見ればちょうど真中(まんなか)に当たるが軍人全体の数を考えればかなりの優秀な人材(エリート)だろう、曹長もその一つ下だ。

基本的に人数は上に行くほど減る三角形(ピラミッド)型だが、その中の下層三割を脱したなら、それだけでも優秀さの証左となる。

一方代行者(エージェント)は少尉階級が初めから付くので、兵士の准尉と代行者の少尉との間の階級差など殆ど無いに等しいだろう。

もっとも、代行者連中は変わり者が多く昇進を蹴り飛ばす様な連中ばかりなので、あくまで階級だけを見た時の話になるが。


 ヴィクターが代表として幾つか言葉を交わした後、准尉の案内で基地に通される。

曹長は車両の物資の積み下ろしに残るようだ。


 基地内に入り、まず最初に案内されるのは指令室、ではなく個室だった。


「ジェラルド卿とハルメリアス卿はこちらの部屋をお使いください。」


 卿、卿か、ここで言う卿と言うのは貴族相手に使用される卿とほぼ同じだ。

この国に貴族は……まぁ二人ほど名誉貴族が居たはずだが、貴族政そのものは廃止されているので居ない。

その我儘三昧(わがままざんまい)さ……休暇が欲しい面白そうな仕事を寄こせ等々……を知る上が、まるで貴族の様だという蔑称として。

一方下は厄介極まる任務や戦場、他種族間の紛争等、国の内外問わずに解決して回る偉人への敬称として。

代行者を卿と呼ぶ事が一部で流行ったのだ、この国の住民は基本的に家名もあるし、瞬く間に浸透していったらしい。

勿論俗称なので伝令等では正式な官位を呼ばれる、本当に貴族だ、とは誰も誤解していない。


「ありがとう准尉殿、ところで基地司令殿は?」


 アリスが当然の疑問を聞いてしまった。

基地司令、則ち此処の大佐がいる筈だ、そして援軍の代表が来たなら最初に案内するべきはそちらの筈だ。

なのにいきなり個室に案内されると言うのはおかしい。

これが他所の国なら遠方から来た疲れを……という流れがありえなくも無いだろうが。


「基地司令は……その、前線に出ておりまして、はい。」


 そう言いながら頭が痛そうに手を添えて顔をそらした。

実際痛いだろう、その直近の配下になる筈の少佐や大尉も出てこないとなると他も前線か指令の代行で机仕事(デスクワーク)か。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ