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邪神の眷属になったようだが私は何をすれば良い  作者: 屯田観烏之羽(ミタミ・アノウ)
騎士覚醒編
27/82

日常

「そろそろ戻りましょうか。」


 一通り回った……とは言えないだろうが主要なところは回っただろう頃にアリスはそう言った。

確かにもう昼前と言うべき時間だ、そうしようと伝える。


 寄り道せずに帰る……と言っても家の位置は南住宅区の中心よりにある、ここからだとたどり着くのは昼過ぎになるだろうか。





 住宅区に戻ってきたが、実に平和だ。

どの家も昼食の用意をしているのだろう、人通りのほとんどない通りを見ながらそう思う。


『良い国だね、少なくとも民間人にはとても暮らしやすそうだ。』


 治安は非常に良く街の景観も綺麗だ、『国の暗部と関わりの薄い』民間人には非常に暮らしやすいだろうな。

つい先日一戦交えた者が言ってよいセリフなのかは疑問だが。


 それで、ミラが他に人が居る時に話しかけてくるなんて珍しい。

遂に頼み事をされるのかな?


『ん~直ぐに動いてもらう必要はないんだけど、一応情報だけ伝えておこうとね。』


 情報だけ?次の仕事で近くに行くならついでに……程度の考えでいいのか?


『そうだね、今すぐ何か出来ることがあるわけじゃないし、一応葉を付けておいたから本当にヤバそうになる気配がしたらその時改めて言うよ。』


 葉……ね、草や根(スパイ)等の言い回しと同じだろうか、他にも眷属が?


『君より遥かに適合率で劣るからね、向こうの情報を一方的に見るのが精いっぱいだから葉っぱ。

森に入ったら服や髪の毛にいつの間にかくっついてる葉っぱみたいなものだよ。』


 それだとかなり限定的な情報しか手に入らなさそうだな。

で、具体的には何が起きたんだ?


『ここから東の方の国で大規模な召喚魔法が行使されたみたい。

この欠片(世界)には(管理者)がもう既に居ないし、既に終末期目前なのに欠片(世界)の壁を超えた召喚なんかしたら反動で何が起きるかわからないから……気を付けてね。』


 ……つまり、他世界から何か呼び出した馬鹿が居るって事か?

終末期という単語も気になるが、それは今は別に重要ではなさそうだ。


『そういう事だね、葉は異世界から来た人に付けてあるから、場合によっては彼らの保護をお願いするかも。』


 人なのか、わざわざ人を他所(よそ)の世界から呼び出すという事は、相当な面倒事に繋がりそうだな。


『葉を付けた子も、君みたいに切っ掛けがあれば情報のやり取り位できそうなんだけど、それを期待するのは厳しいかなぁ。』


 とりあえずは了解した、東側の動向に気を付けつつ状況によっては異世界人の保護だな。


『異変が起こるなら東の方が確率は高いけど、絶対じゃないから気を付けてね。』


 世界の壁が如何(どう)と言われても対策は難しいが、保護ぐらいなら問題は無いだろう。

どういう異変が起きるか次第だな。


 ミラの気配が去る、同時にアリスが不思議そうな顔をしながら此方をのぞき込んでくる。


「先輩?どうしました?」

「ちょっとした考え事だ、気にしなくていい。」


 あまり心配させてもしょうがないし、直ぐに如何と言う訳でもない。

あー、だがどこかへ行こうとすればアリスもきっとついて来ようとするだろうな。

寧ろそっちの方がどうするべきか。

黙って出ても知らないうちに、後ろで何かしらに巻き込まれる可能性も高いだろうし。


 まぁいつも通り一緒に行動すればいいか。

かなり危険だろうが、アリスなら対応できるだろうとも思える。






 さてそろそろ家に、と思っていたが家の前に見知らぬ人物が立っている。

恰好的に軍人か……伝令だろうか?


 アリスと顔を見合わせつつ近づくと、直ぐにこちらに気が付いて敬礼してきた。


「休暇中申し訳ありません!伝令です。」


 やはりか、敬礼を返して続きを促す。


「本日夕刻までにアリシア、ドゥウェイン両名とも司令部に出頭せよとのことです。

発令はエヌマ軍事統括官、ヴィクトリウス大佐です。」

「了解、昼食後直ちに出頭する。伝令御苦労。」

「は!失礼します。」


 もう一度敬礼して伝令兵は帰っていった。


「ヴィクターからか、休暇返上は間違いなしだろうが……」


 この時期(タイミング)にか。

さっそく異変が起きようとしている、と言うよりもう起きているのか。


「先輩?」

「あぁ、とりあえず昼食にしよう。」


 考えるのは、後でもいいだろう。

まずは食事、そして着替えだな。


 家の中からゼブルが出てきて玄関を開けて待っていた。


「おかえりなさいませ、昼食の用意はできておりますが……緊急の任務ですかな?」

「昼食を食べる時間くらいはある、緊急ではないが残り僅かな休暇は返上になるだろうがな。」

「そうですか、ではまず昼食といたしましょう。」


 そう言って中に入っていく。

食卓にはジェニアが二人分の料理を運んでいるところだ、昼過ぎになってしまっているし先に食べたのだろう。


 食事の前にまずは外で着いているであろう埃を落とさないとな。

私の身体に……というより服に、だが。


 上着を一枚脱ぐ、と同時新しいこの家の住人……えっと、ちょっと小さいこの子はメアリーだったか。

メアリーが上着を持って行ってしまった、洗濯担当にでもなったのだろうか。


 とりあえずそのまま洗面所で手を洗って食卓に着く。

アリスも上着一枚だけ渡したのだろう、ほぼ同じタイミングで戻ってきた。


 昼食は麺に野菜の付け合わせか。

麺の種類は分からないが、箸の使い方は大丈夫のようだ。


 静かにとはいかないが、手早く昼食を済ませて部屋に……


「アリシア様?なぜドゥさんのお部屋に入ろうとしているのですか?」


 こっちの娘はマーリンだったか、まぁ普通止めるよな。

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