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邪神の眷属になったようだが私は何をすれば良い  作者: 屯田観烏之羽(ミタミ・アノウ)
騎士覚醒編
26/82

日常

 仕切り台(カウンター)の向う側に行ったアリスが気になるが、そもそも入っていいのだろうか?


「マスター、アリスは何をしてるんだ?」

「エリー?あぁ、鍵箱(ロッカー)の中身を弄っているんだろうよ。

此処は常連限定で荷物を預かったりもしているからな、お前さんのもあるが……あー鍵の番号がなぁ、エリーになら知ってるだろう。」


 軍関係者用の非常用保管庫(セーフティボックス)みたいなものか、武装一式くらいは置いてありそうだな。


「記憶の回復に使えるかもやもしれぬし、確認してみるといいだろう、左の部屋の百四十九番だ。」

「そうだな、ちょっといってくるよ。」


 仕切り台の……ん?これはどういう固定方法だ?

確かアリスは上に上げていたが、あーここか。

天板の蝶番(ちょうつがい)の反対側に(ボタン)があるのかと思ったが、『蝶番』のすぐ下にもあった。

蝶番を固定する釦があるのか、珍しいな。


 さて気を取り直して仕切り台の向う側に入り調理室を通り過ぎて左の部屋へ。


「先輩?」


 アリスはちょうど自分の鍵箱を閉める所だった。

私のは百四十九番と言っていたな、……この鍵箱部屋(ロッカールーム)想像より大きいぞ。

手近な鍵箱に書かれた番号は零零一(001)、三桁管理か。

ざっと見ても六百はありそうだ、大きさにばらつきがあるせいで位置が予想し難い。

アリスに聞いた方が早そうだな。


「……アリス、私のは何処だ?」

「先輩のはこっちですよ。」


 鍵箱部屋ですらアリスの案内が必要と言うのは何とも情けない。

もう少し記憶の修復を優先するべきだな。


「あ、鍵……」


 百四十九番の鍵箱を前にアリスは先程いた場所に戻って再び開け始めた。

んん?鍵箱に付けられた錠は……鍵穴の付いた七桁の回転式番号錠(ダイヤルロック)

マスターが鍵の番号と言っていたのはこれだが、鍵も必要なのか。


 自分の鍵……部屋にあるだろうか?

ゼブルが把握している気もするな、帰ったら聞いておこう。


 アリスが鍵を持って戻ってきて錠の番号を合わせ始める。


「はい開きましたよ。」

「ありがとう。」


 手早く開けてしまったが三重の鍵だった。

番号を合わせた上で、鍵を使わないと開かない二重錠だと思っていたが、鍵を回した後に更に空中に文字盤(キーボード)が浮かび、十一桁も入力していた。

面倒な鍵だな。


 まぁ機密物資を入れるのを想定するならこれでも緩いくらいだろうか。

個人の物を入れるにしては厳重過ぎる気がするが、果たして中身は……


「書類と……鍵、短剣(ナイフ)、この瓶は……薬品か?」

「その鍵私のロッカー用です、瓶は何だったかな……」


 アリスも知らないのか。

書類は……取り込んでしまうのは不味いか、混沌の中に写しだけ取れそうだし複写しておこう。

鍵と短剣も一応複製、瓶はどうするべきかな。


「不味い物だと持ち歩くわけにもいかんしな、取り合えず置いておくか。」

「そうですね、先輩が思い出すのを待つべきかと。」


 とりあえず鍵箱の中の確認を終えて閉める。

扉を閉じたら自動で施錠された、回転式番号錠も全て初期位置に戻っている。

開けるのが面倒な分、楽……なのか?間違って閉めてしまうと困ったことになりそうだ。


 アリスが鍵を鍵箱に戻すのを待って店に戻る。


「おかえり、せっかく来たんだから何か飲んでいくかい?」


 そういえば喫茶店だったな此処。

品書き(メニュー)は、おまかせ?それしかないのか?

アリスの方を見ると首を振っていた。


「せっかくですけど今日はまだ色々することがありますので帰ります。」


 元々散歩なのだからそれくらいの時間はあると思ったのだが、此処はアリスに従っておこう。


「ということらしいのでせっかくだが遠慮しておくよ。」

「そうかね、ではまた来たまえ。」


 軽く手を振って応えつつ店を後にする。

しばらく歩き続け店が十分離れた辺りでようやくアリスが喋りだした。


「一応言っておくと、決して不味いわけではないんですよ……」


 まぁそういう事だろうとは思っていた。


「ただその……マスターは半竜人族(ハーフドラゴノイド)な訳で、どうしても味覚が、ね。」


 種族による差だろうからどうしようもないだろうな。

哺乳類と爬虫類の違いだろうか、そこまで大きな枠組みの違いでもないか。


「さてアリス、次は何処に行くんだ?」

「次は……」


 特に上げるまでもない普通の関わりの普通の店の様だ。

食料に衣料品、日用品類を取り扱う店を回っていく。

どれも日常的に使う物だな、まぁ都市内にいる分にはこういう店こそ必要になるのだが。


 工具や武具類は全て軍で販売しているらしい。

「地下か」と聞けば「地下です」と返ってきた。

地下への行き方は前に使ったところ以外は知らないがあちこちにありそうだ、とはいえ今は散歩なので特に確認はしない。


 しかし店の種類がまた多いな。

食料なら野菜屋と肉屋の様に完全に分かれているし、衣料品も男性と女性で完全に分けているだけじゃなく種族でも店が分かれている。

それも仕様が無いのか、小人族(ハーフリング)竜人族ドラゴノイドは体格差が倍で済まないしな。


 よく見れば店に種族の名前が振られている。

肉屋の隣の肉屋、魚屋の隣の魚屋……味付けがどうのと言うより、食べられるか食べられないか等があるのだろう。

種族によっては毒になったり薬になったりもするだろうしな。


 食事一つとっても振舞う側はかなり気にしないといけない事は多いだろう。

マスターは普通に勧めてきたがそれで大丈夫なのだろうかと一瞬思ってしまった、凡人用の味付けはできても味見自体ができないから調整できないとかだろう、きっとそうだと思う事にしておく。

ブクマ登録5人目に星5評価が1件付いた…だと(・。・;

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