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邪神の眷属になったようだが私は何をすれば良い  作者: 屯田観烏之羽(ミタミ・アノウ)
騎士覚醒編
25/82

日常

 さて結局何から手を付けるべきかと思案していると、アリスから「まずは散歩に行きましょう。」と提案された。

そうだな、散歩は確かに今現状するべきことの一つだろう。


 まずは何処に何があるのか、どういったことに使われるのか、何かあったら何処に行けばいいのかを把握しておくべきだろう。

上空から俯瞰(ふかん)できるから、道に迷うという事と無縁でいられるだろうが、そもそもどこにあるのかを知らなければどうにもならないからな。


 とりあえず外を歩くのに適した服に着替えに……そういえばアリスは、結局私の部屋に全部荷物を持ち込んでいるんだったな。

着替えの間位は外で待つべきかと考えていたが、アリスは箪笥(タンス)を漁りだしていた。

……私の服が入った箪笥だ。


 どうするつもりかと一瞬首を傾げそうになったが、私が着る服を選んでくれているようだ。

漁る事一分、「今日はこれが良いと思います。」とアリスが用意した服は、黒を中心に白と赤の装飾の付いた(ラフ)に着れそうな服だ。


 外に出て着替えるのもおかしいだろうと思い、背を向けて着替える。

今日はとアリスは言ったが、アリスが自分用にと出した着替えも黒主体に白と赤だったので単純にお揃い(ペアルック)が良かったのだろう。

散歩……と書いて逢引(デート)と読めばいいんだろうな。


 玄関の壁に掛けてあった帽子を、取ろうとしたが幾つも種類があったので悩んでいるうちに横からアリスの手が伸びくる。

帽子一つ選ばせてくれないというべきなのか、帽子一つ選べないと思われているのか、まぁ些事(さじ)だな。


 帽子の被り心地を確かめているうちに靴まで用意されていたが、もう何も言うべきことはない。


「さぁ行きましょう!」


 とても楽しそうなアリスの声が響く。


「あぁ、行こう。」


 さて、アリスは私をどこへ連れて行ってくれるだろうか。





 二人で街を回る。

住宅街いや住宅区というべきか、住宅区は街の中心にある病棟と役所等を囲むように円状に配置されている。

家があるのは南区、さらに南下すると大型の商店(モールマーケット)を中心に、まるであふれ出ているかのように大小の商店が並ぶ商区と言ったところか。


 改めて衛星都市(ベヘ)全体を俯瞰してみるがかなり大きい。

四つに割って見るのが良いだろう、東西南北に分けてみれば、それぞれ一つの町として機能するようにされている。

都市の外周と東西南北には、それらを区切るように大きな線が引かれている様に見えるが……そういえばこの前の夜に見た時は外周には壁があったはずだ。

夜間や非常時のみ起動する収納式の壁か、線に見えるそれが昼間の格納場所なのだろう。


 所々不自然に空間が開いているするのも、そういった設備を格納している場所(スペース)だろうか。


 軍事施設は特に見当たらないな、この前上官に会いに行った時も地下に降りていたし上も普通の建造物だった、全て地下だろうか。


 北区と西区、北東から南西に向かって引かれているのが鉄道。

東区から南区に掛けては川が街の下側を通っているな、重要施設の多くは地下に集約されているのかもしれない。

鉄道も本当は地下にしたかったのだろう、街から出た軌道(レール)の殆どが森に隠すように轢かれている。

さらに南から出て西はこの前の丘か。


 ……この街広いな、施設の説明は必要になる所だけ聞こう。

民営商店は無いということだし値に差はないだろうが、取り扱っているかどうか等はありそうだ。


「それでアリス、まずはどこに向かっているんだ?」

「まず馴染みの店に行こうかと、実験に参加していて久しぶりですし。」


 馴染みの店ね、何の店だろうか。

歩く事……結構遠いな、商区の大分南側だ。


「マスターお久しぶりです!」


 ようやくついた店は、寂れている様な雰囲気を出す喫茶店だった。

扉を開けながら挨拶を飛ばすアリスについて一緒に入る、客はほとんど居ない。

雰囲気だけでなく本当に寂れているのかと思ったが、どうやら違いそうだ。


「やぁエリー、三週間ぶりくらいだね。

ドゥには改めて挨拶した方がいいかな?」


 店の仕切り台(カウンターテーブル)の奥の調理室だろう場所から出てきたのは、爬虫類系の……蜥蜴人族(リザードマン)系だろうか?蜥蜴(とかげ)より竜に近い気もするが。

足先から頭の上まで見て六十六寸(200cm)強はあるし、尻尾を含めれば百寸(300cm)は超えてそうだ。

横にも大きくて結構な威圧感があるな。


 ん?エリー?あぁ、アリシアの愛称はエリーでも通るのか。

そして当たり前にこちらの事情を知っている……


 つまり情報屋か軍関係者用の店といったところか。

この人物については、思い出せそうだ。


「あぁ、まぁ歯抜けだらけの記憶だし一応聞いておこうマスター・ルーグ。」

「おや、なんだ思っている以上には思い出せているじゃないか。」


 合っていた様だ。


「ルーグ=パラナット、見てくれからよく蜥蜴と言われるが半分は竜だ、私を蜥蜴呼ばわりする者が居たらぜひ教えてくれ。

所属は諜報部だ、先日うまい話に釣られて白くない様(グレー)な依頼を受けると痛い目を見るという、貴重な教訓を新設部隊に叩きこんでくれて感謝するよ。」


 あぁ、新設部隊だったのか。

殺さなくて正解だったな。


「あ~……歯抜けどころか起き抜けで殆ど何も思い出せない時だったからな。

正直な所、後一時間前倒しで来てたら危なかったな、主に殲滅する方向で。」

「それは怖い、記憶が無かろうと『鬼』の名は健在だったか。」


 鬼……ね、ヴィクターはらしくないと言っていたが、鬼絡みの二つ名が付いているなら()もありなん。


「鬼ね、そんな二つ名があるならもう少し強めに行ってもよかったか。」

「カッカッカ、彼らの聴取は私も聞きにいったが相当怯えておったぞ、強めに行かれては潰れておっただろうよ。

それより諜報部に移籍する気はないかね、ヴィクターは手放す気は無いだろうから協力だけでも構わんぞ。」


 まぁ諜報向きに見える能力だしな。


「そこは横向きに検討しておこう。」

「横かよ、どこ向いて何を検討してんだ。」


 そういえばアリスは殆ど会話に入ってこないな。

仕切り台(カウンター)の向う側の調理室には入り込んでいる様だが。

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