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邪神の眷属になったようだが私は何をすれば良い  作者: 屯田観烏之羽(ミタミ・アノウ)
騎士覚醒編
24/82

日常

 モフモフ……これは魔性のモフモフ……

!!いかんいかん、つい毛皮の誘惑に乗せられてしまった。

以前までの私の趣味趣向は、正直殆ど思い出せてないのだがこれは危険だ。


 思わずモフモフ(それ)がアリスだという事を忘れて徹底的にモフモフ(撫でまわ)してしまった。


 ……少し精神異常になっているかもしれない、落ち着こう。


 アリスの方を見ると目が合った……いや合ってない、若干意識が飛んでいるように見える。


 このまま寝かせてやろう。

目を閉じさせて、一緒に自分の思考速度も遅くす(も眠)る。


 時折アリスが寝返りを打つ度、思考が等倍に戻っ(目が覚め)てしまうのが難点だったが、疑似的に眠る行為については問題なさそうだ。





 日の光が窓から入ってきたのを……というより室内の影が薄くなったのを感知して思考速度を等倍に戻(目を覚ま)す。


 アリスは……まだ眠っているな。

起こすには早過ぎるが、寝返りを何回か打ちながらガッチリ身体を掴まれてしまったので動くわけにもいかない。


 しかしアリスは……寝返りを最初に打った時に人型に戻っていたので、裸で抱き着いている状態だ。

せめて服だけでも着させた方がいいか、とりあえず掛布団で身体が見えない様にはしておこう。


 この部屋に時計は……無いな、病棟で見た日の出の時刻から言って五時半位だろう。

一週間近く病棟暮らしで休暇の半分近くを使ってしまったことになるが、まぁ焦る必要もないだろう。

休みくらいゆっくりさせてやるべきだな。


 少しだけ思考速度を落とす。

そんなに意識を飛ばす必要はない、一時間半も飛ばせば十分。


 そんなことを考えていたら二時間以上は過ぎてしまった様だ。


 意識的に思考速度を落として時間を進めるのはなかなか難しいな。

何かしら物音なり気配なりが動けば直ぐに等倍に戻ってしまうのに、何もないと一瞬で過ぎてしまう。


 日が……登り切ったかどうかは分からないが、そろそろアリスを起こすか。


 アリスの肩を軽く揺すろうと手を伸ばしたが、その動作を感じたのか起きた様だ。


「おはよう。」


 目が合ったのでとりあえず挨拶をする。

が返事は返ってこなかった。


 どうやら昨晩の事案(私の失態)を思い出したのか掛布団を被ってしまった。

声にならない叫びが聞こえる様だ。


 と思ったら掛布団を被ったまま寝具(ベッド)から落ちる様に移動して……服を回収しに行ったのか。

そのままモゾモゾと掛布団の下で着替え、動かなくなった。


「アリス、そろそろ朝食だと思うんだが……」


 これは、何と声をかけるのが正解だろうか。

次に掛ける言葉を考えていたが先に向こうから話しかけてきた。


「……先輩。」


 呼んでいるのだろうか?近づいてみる。


「アリス?大丈夫か?」


 近づいてみたがまた固まってしまった様だ。

アリスとの関係上、裸を見る程度の事は何度もあった様だが、一線を越えるような事には一度もなってない筈だ。

昨晩の事は……まぁ、一線を超えたと言われても仕方がない気がするな。


 ん、適当な事を考えていたらアリスが掛布団の中で態勢を変えた。

隙を窺っている様な気配だな、隙を演出してやろう。


 と思った瞬間には掛布団を弾き飛ばして飛びかかってきた。

とりあえず飛びかかってくる力を、そのまま寝具(ベッド)の方へ誘導するように此方も力を加える。


 読み通り寝具(ベッド)に押し倒される形で着地した。

そのことに気が付いたアリスが、既に赤い顔をさらに真赤にして目を泳がせているが、構わず抱き寄せる。


 慌てている人間を落ち着かせるには心臓の鼓動を聞かせるのが一番良い、と言うよりそれしか知らない気がする。

……待て待て、私は今心音なんてしないだろ。


 これはむしろ余計に慌てさせることになるかと思ったが、落ち着いてくれた様だ。


「……ずるいですよ先輩。」


 卑怯(ズル)だそうだ、まぁある意味そうかもしれない。

私に向けるアリスの感情が、所謂(いわゆる)恋や愛といった類に分類されるのを分かってやっているのだから卑怯だろう。


 抱き寄せたまましばらく経ってようやく朝食を食べに部屋を出た。


 食卓にはすでに朝食が用意してあり、傍らに紙片(メモ)が置かれている。

内容は要約すると……引っ越しの荷物がまだ残っているから取りに行ってくるのでごゆっくりってところか。

まぁ同じ家に居るんだからある程度わかるだろう、アリスは顔をまた赤くしていたが。


 朝食は……この前と同じか、まぁそう変わるものでもないか。

アリスも特に何も言う事もない、私もさっさと食べてしまおう。


「そういえば先輩の休みの予定は……ってないですよね。」

「そうだな、身体の調子を把握するのと出来ることの確認に割きたいところだな。」


 必要になりそうな情報はおそらく思い出せるだろう。

昨晩思った通り記憶喪失はおそらく意図的にやっている、ミラとも口裏を合わせているだろうな。


 ミラに問うべきか、否、答えはないだろう。

その辺りの管理もしているだろうし問題になったりはしないだろう。


「……アリスはどうする?」

「私は全部先輩にお付き合いしますよ。」

「そうか、なら頼む。」


 朝食を食べ終え、調理場(キッチン)の流し台に置く。

家事全般は全て任せて良いらしい、というより洗剤の取り扱い等で迂闊に手出しできない。

清掃道具類ですらかなりの種類が並んでいる、水で汚れを軽く落とすくらいが精々だ。


 さて、やっておきたい事は他にもいくつか思いつくが……まずは何から手を付けるべきかな。


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