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邪神の眷属になったようだが私は何をすれば良い  作者: 屯田観烏之羽(ミタミ・アノウ)
騎士覚醒編
18/82

身体の状態

 相変わらず黒一色の世界に見えるが色が戻ってきた。

ミラが帰ってきたか。


 ミラが居ると居ないとで世界の色が変わるのは面白い違いだ。


「やぁドゥくん、だいたいのちょーせーはおわったよ。」


 溶けている様な格好と口調でミラが……あー大体の調整が終わった?間延びしている上に抑揚もない喋りで一瞬何と言ったか判別に困りそうだった。


 確か調整には二、三日かかるという話だった筈だが随分と速い。


「もう終わったのか。」


 そういえば何かお願いがあるとか……言われていたような気がするが内容は聞いていなかったな。


「終わったという事は、そろそろ頼み事を聞くべきか?」

「ん、まだいいよ。

なんか変な気配を感じるし、何が起きるか確定してからお願いするよ。」


 変な気配とは一体……いやまずは自分の身体の事が先だな。


「そうか、とりあえずまだ時間があるならこの身体になれる方が優先していて大丈夫そうだな。」


 ミラは手だけひらひら振って答えていた。


 さてと、調整が終わって具体的に何が変わったかをまず確認しないとな。

扱える限りの混沌を意識して集める。


 昨日の夜の七から八倍前後と言ったところか。

前回同様短剣(ナイフ)直剣ショートソードを創造する。

飾り気の欠片もない武骨な短剣と直剣が……ふむ、前回と違ってまともに使い物になりそうだ。

短剣を右手に持って、左手の直剣の腹に叩きつける様にぶつけてみるが、折れるどころか曲がりも刃こぼれもない。


 昨日とは比べるまでもない進歩だ。

それと昨日は密度不足だと感じたが、どうやら質の問題でもあったようだ。

昨日と同程度の量だけでも、今作った剣とほぼ同じ水準(レベル)に出来た。

あるいは単純に扱いなれていないという問題もあったか。


 剣を全て混沌に戻して他の武装が作れるかを一通り試していく。

槌や大槌、槍、鉾、弓、この辺りは問題なさそうだ。

魔術短銃は構造や仕組みを知らないので複製は作れそうにないが、使い捨ての魔術を撃ち出す機能だけなら模倣は簡単だ。


 盾や鎧も問題は無さそうだが、物理と魔術の両面で見てもわざわざ防具の形にする意味は薄そうだ。

防具(これ)に割くくらいならそのまま散布して結界の様に使う方が確実だろう。


 いや、確実性ばかりで判断するのは良くないか、混沌の武装化も含めて可能な限り情報を隠匿しておくべきだ。

基本的には付与魔術(エンチャント)に偽装する形で運用した方がいいだろう。


 魔術触媒としても質が向上している、非常に使い勝手が良い。


 使い魔(ファミリア)は、数も性能も伸ばせる様だ。

今出しているのは一体だけだがこいつも強化してやろう。


 意識を現実に戻す。

身体を動かす感覚は、流石に混沌の中と実際とで大分変わってしまう。


 病棟の中庭には殆ど人は居ないが、人目は避けられないか。

まぁ調整と割り切り、ゆっくりと単純な動きを行う程度なら問題は無いだろう。


 得物は……実に用意周到というか、病棟の中庭で鍛錬する人が他にもいるのかわざわざ木剣が置かれている。

重症を負って入院している訳でもないので些か軽すぎるが、無いよりはましだろう。


 木剣を握って縦振り横振り斜め振りと色々振っていく。

こういうのには流派によって型がある筈だが、生憎と分からないので体の可動域や力の入り具合を調べる様に動く。


 ゆっくりと木剣の素振りを……いやまて、これは素振りとは全然違う体の動かし方をしているな。

流れと勢いと重量に逆らって行う素振りはもう素振りとは言わない別の何かだろう。


 力を入れずに、寧ろ力を抜いて素振りを行う。

こちらの方が素振りと言えるだろう。

力を入れたらどうなるのか一瞬だけ気になったが今は我慢だ。


 背後から強烈な視線!


「先輩?どうして鍛錬しているんですか?」


 振り向かなくても判る、声に怒気は感じられないがあれは怒っている。

思わず身体が止まってしまったその隙に背後に付かれた。

ここは言い訳するべきか、いや下手な事を喋るのも喋らないのも不味いだろう。


「あー……いや、単純に身体の状態を把握しようとだな。」

「わざわざ剣を使う必要はないですよね?」


 確かに、木剣があったから手に取ってしまったが、体操(ストレッチ)だけでも事足りるだろうな。

何と返すべきか、完全に言葉に詰まってしまった。


「さぁ、お部屋に戻りましょうね?」


 そのまま襟を後ろから掴まれて引きずるような体勢で部屋に引っ張られていった。

本当に引きずられたわけではないが。


 そのまま部屋に戻ると研究員の……えっと……?

結局名前を思い出せないというか聞いていない、昨日もあった私の担当に付いている研究員が待っていた。


「お帰りなさい、君達はいつ見ても仲が良さそうだね。」


 やや揶揄(からか)い混じりの挨拶が飛んできた。

アリスはやや頬を赤くしながら「私の先輩なんですから早く返してくださいね」と返し……おい待て。

いや突っ込んでは駄目だ、この流れではもっと揶揄われかねない。

直ちに話の流れを変えなければ。


「あー、私の健診の番か?」

「はい、第八多目的診察室で既に待機済みです。」


 ……しまった、動作面と機能面に気を取られ過ぎて体の内部構造について一切確認していない。

確か心拍その他諸々が未確認状態だったのだから透過(スキャン)撮影辺りは確実にするだろう。


 いや、いまさら誤魔化しは効かないか。

そもそも実験で使った生体保護槽(ポッド)からして医療用の改造機だ。

実験直後の情報(データ)も記録が取れているだろう、素直に受けるか。

欠片も宣伝していないのにブックマークが付いている……

時期を見てこの作品を土台に異世界召喚物でも書こうとか思ってたけどやる気出てきた。

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