↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者かわいい ~知らんけど、たぶん猫ちゃんがオワコン世界を救うお話~  作者: PYON
第一章 元騎士団長レオン・ハートランド

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
6/58

04

 だいぶ近づいてきたな。南門の上には色とりどりの旗を掲げている。

 こんな張りぼての虚勢で魔族が騙されるとは思えないが……やらないよりはましだ。

 門の上には弓兵と魔術師を配置してある。だが、魔術師はわずか五人。

 本来ならこういう時こそ必要な戦力だが、希少な魔術師やヒーラーはすべて貴族の隊に優先して配属される。ここに回されたのは、力はあるが性格に難がある者や、落ちこぼれ気味の魔術師ばかりだ。

 門の内側では大太鼓を鳴らさせている。ドンドンと腹に響く音が町に広がる。こういうのは派手なほうがいい。少しでも兵や市民に「戦える」と錯覚させられるなら安いものだ。

 俺は見張り台に立ち、息を潜めて敵の動きを見つめた。魔王軍は門の前百メートルの地点まで近づき、さらに五十メートルに迫ったところで……ピタリと止まった。やはりか。俺たちの戦力を見極めている。

 こちらの旗も太鼓も、上っ面の張りぼてだと気づいているのだろう。ましてや、奴らには鳥人族が混ざっている。上空から覗かれたら一瞬で虚勢がばれる。

 魔族の軍勢は五十メートルの地点で足を止めたまま、じっと陣形を保っている。後方では荷車を引かせ、物資を運び込んでいるのが見えた。休憩、か。

 休む。整える。それがわかっているだけで、ただの蛮族ではないと分かる。

 訓練を積み、規律を守り、兵の体力を温存する。俺が騎士団で叩き込まれた軍の常識を、魔族どもは理解し、実行している。「作戦など立てられぬ野蛮人」……上官たちの言葉はすでに過去のものだ。

 とにかく、こちらから仕掛けるわけにはいかない。攻めれば、すぐに虚勢が剥がれ落ちる。俺の役目は敵の初動を見極め、必要なら自ら先陣を切ることだ。

 そうして緊張の中で時間が流れる。やがて、魔王軍の中に異様な影が現れた。

 ……巨人。それも五人。身の丈十メートルはあるか。丸太のような腕をぶん回し、俺たちを見下ろす。

 おそらく、まずは巨人に門を叩かせ、そのまま雪崩れ込むつもりだ。俺たちが急ごしらえで修復した門壁など、一撃で木っ端微塵だろう。

 その前に倒さなければならない。だが、俺の剣で仕留められるのは一体が限界。五人すべてを倒すのは到底不可能だ。

 ……貴族たちはまだ来ない。このままでは本当に町が蹂躙される。


 そして二時間が経過した。

 その時だった。大地を揺るがすような咆哮が空気を裂いた。

 「……っ!」

 一万の魔族が、一斉に吠える。

 地鳴りのような音が胸を震わせ、鼓膜を破りそうになる。

 本能が告げる。これは戦の合図だ。

 次の瞬間、魔族軍は一斉に進撃を開始した。

 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。