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勇者かわいい ~知らんけど、たぶん猫ちゃんがオワコン世界を救うお話~  作者: PYON
第四章 魔王ミレーネ・ヴァルガス

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エピローグ01

 おれは冒険者ドミンゴ。トレジャーハンターだ。俺たちはようやく勇者の洞窟の最深部にたどりついた。

 入り口の石碑を解読したところ、この部屋に最初にたどり着いたものが勇者として認められるらしい。神より最強の力を与えられるのだ。それから5人の仲間に勇者パーティとしての力を与えることができる。

 ここへ来るのは大変だった。体力、素早さ、謎を解く頭脳。あらゆる力が試された。

 それで、あの扉が最後の扉だ。ここへ挑んだのは俺たちが最初ではない。ここに来るまでにたくさんの白骨を見た。彼らもこの試練に挑んだのだろう。そして、無残に敗北していったのだ。

 俺たちはこの洞窟に挑んだ男の日記を手に入れた。そこにはここに配置されたあらゆる罠についての記述があった。もちろん罠の攻略法も。その持ち主は帰ってくることがなかったようだ。結局、どこかで野垂れ死にしているのだろう。本当に無理げー、攻略不能のクソゲーと言ってもいい。

 今回も入り口では10人であったが、今は3人しかいない。ここへ来ただけでも奇跡なのだ。

 これで、俺も勇者になれる。チートな力を手に入れられるのだ。これで金、名誉、女。望んだものはなんでも手に入る。おれを無能だとかろくでなしだとかバカにした町のやつら、覚えてろ。最高のざまあをしてやる。王になってハーレムを作って酒池肉林なんていうのもいいな。

 『この力で世界を救え』石碑に書いてあるが知ったことではない。


「では最後の部屋に入るぞ」

「ちょっとまて、おれが最初に入る」

 戦士のギャランが俺を押しのける。

「リーダーの俺が最初だろう」

「うるせえ。お前が勇者になったら、俺たちは下僕ということだろう」

「ああ、おまえたちは仲間だ。ちゃんと力は与えてやる」

「それが耐えられないんだ。ドミンゴ、お前みたいな性格のわるいやつの下僕になるなんて、ごめんだ。おれが勇者になる。もちろん、ちゃんとおまえにも力は与えてやる」

「ちょっとまて。おまえも自慢話が多くて、うんざりしてたんだ。ケチだしな。おまえ、前に貸した50ゴルドを返してもらってないが」

「うるせえ、その細かいところも嫌いなんだよ」

「やるか!」

 俺たちは剣を抜く。前からこいつらの品のなさにはうんざりしてたんだ。盗賊に毛が生えた程度の輩じゃないか。特にギャランは口がくさいし、酒癖は悪いし、最悪だ。ここで殺しておいたほうがいいかもしれない。こんなやつに勇者の力を与えてもろくなことにはならない。

 ギャランが俺に斬りこんでくる。

 

「おい、おかしいぞ、この部屋」

 そのとき、声が俺たちの決闘に割り込む。シーフのブライトだ。そっちを見ると最後の部屋の扉が開いている。その中からブライトの声。こいつも抜け駆けを狙っていたのか。それにもう最後の部屋に入ってしまっている。ブライトが勇者になってしまったのか。

 

「ブライトくん、なにがおかしいんだ」

 勇者になったら、媚をうっておかないとならない。

 ブライトには偉そうにしたからな。それに相当こきつかった。無能とバカにしたな。勇者になってもこいつには力を与えないつもりでいた。勇者枠は貴重だからな。やっぱかわいい女の子に与えるのがいいよな。たぶん、俺のことを恨んでるだろうな。もし、逆に力を与えないとか。ここでざまあとか言って置いていかれたりしたら……。

「ブライトさん、俺はあなたについていきますよ。前からあなたは他の人と違うとおもってたんですよ。しかし、このドミンゴは最悪ですよ。ここに捨てていきましょう。それが世の中のためです」

 ギャランのやつ。

「ブライトさん。ギャランこそクソ野郎です。この間、ブライトさんの悪口言ってました。なんかにおわないか。ウンコのにおい。あれはブライトだなって」

「おまえこそ」

 

「ちょっと待ってください。最後の部屋に入りましたが何も起きないのです。それに石碑が倒れてて勇者の儀が発動してしまったのかもしれません。ぼくたちより前に入ったものがいるのかも」

 

「「なんだと!」」

 俺とギャランは最後の部屋に駆けつける。

 たしかに何も起きない。どういうことだ。俺たちは膝をつく。

「ドミンゴさん。ぼくはこの洞窟に入ったところから気になっていたことがあるんですが」

「なんだ」

「あの、入り口からここまでずっと、これがあるんです」

「これ?」

 俺はブライトが指をさしているところを見る。

 そこには小さな足跡が点々と続いていた。

 それは、コンクリートを塗ったところに必ず現れるあれだ。猫の足跡。やつらは、どこから現れるのか、新しくコンクリートで固めたところに現れる。そして、コンクリートや漆喰が乾く前に足跡をつけて去っていくのだ。その足跡は勇者の石碑のところまでまっすぐにつづいているのだった。

  

「もしかして、猫が勇者になったのか」

 おれたちはその場で失望に崩れるしかなかった。

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