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勇者かわいい ~知らんけど、たぶん猫ちゃんがオワコン世界を救うお話~  作者: PYON
第三章 アルゴス王国第五王女セレス

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06

 とりあえず、戦争は終わった。兵士たちもぞろぞろと砦に戻ってくる。死地をくぐり抜けたあとの安堵で、みんな浮かれている。

 肩を組んで歌うやつ。剣を振り回して踊るやつ。勝利の歌は波のように広がっていった。

 そんななか……砦の入り口でやたら騒がしい集団があった。

 どうやら兵士たちに囲まれているのは……じじいだ。

「……おい、じじい?」

「おお、レオン。ようやく帰ったか。わしもここを守りきったぞ」

 え?今なんて言った?

「聞いてください!このおじいさん、すごかったんですよ!」

 兵士のひとりが興奮気味に語り出す。

「魔王軍の魔法をぜんぶ、そのフライパンで打ち返したんです!まるで、テニスの名選手みたいに!」

「いやいや、嘘だろ……」

「本当なんです!あの火球も!あの雷撃も!ぜんぶ跳ね返したんです!なんなんですかこのおじいさんは」

「わしはただの料理人じゃよ」

 じじいは頭をポリポリかきながら照れている。

 ……いやいやいやいや。

 ただの料理人がフライパンで雷弾打ち返すな。

「でも、どうやって返したんだ?」

「簡単なことじゃ。フライパンの扱いには慣れておる。厨房で暇なときに、こうしてパンでボールを打ち合ってな。皆からは"厨房のマッケンロー"と呼ばれておったんじゃ」

 …………。

 厨房のマッケンロー?知らんぞそんな二つ名。

 じじいの世代の昔のテニス選手なのか?俺は知らんぞ。

「じじい、いくぞ」

「おう。ではおぬしたち、またのう」

 兵士たちの歓声を背に、じじいは胸を張って俺のあとに続いてくる。

 なんで戦場の英雄扱いになってんだ、このフライパンじじい。役に立ったのは確かだが、突っ込みどころが多すぎる。本当に何者なんだよ、じじい。


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