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勇者かわいい ~知らんけど、たぶん猫ちゃんがオワコン世界を救うお話~  作者: PYON
第三章 アルゴス王国第五王女セレス

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アルゴス王国第五王女セレス05

 アカシックレコードに映し出される戦場。すべての戦いの中で、もっとも重要なのは……四天王との一戦だ。ここで勝てば勝利は見える。ここで負ければ、すべてが瓦解する。

 レオンさんとシャーリーさんは互角に戦っていた。だが、ダークエルフがミノタウロスを回復させた瞬間、均衡は崩れた。

 いや、崩れたどころじゃない。こっちは消耗しているのに、敵は振り出しに戻っている。このままでは押し潰される。

 撤退? 駄目だ。退けば総崩れになる。ならば、なにか、なにか手を打たねば!

 ぼくが使えるのは戦略カード。火計も、地形変化も、もう切った。残るは……水計。

 けれど、ただ水を浴びせるだけでは意味がない。重い水流に押し流されるのは味方も同じだ。手詰まりか? ここまでなのか?

 そのとき、耳元で猫ちゃんの声が弾んだ。

「シャーリーは氷魔法が得意ニャン! 周りのものを全部凍らせるニャン!すごいニャン!」

「……!」

 足りなかったピースが、音を立ててはまり込む。そうか……そういうことか!

 ぼくはすぐさま呼びかける。

「シャーリーさん!」

「はい!」

「これから水計を発動します。大量の水が降り注ぎます。それを……凍らせてください!」

 一瞬の沈黙。そして力強い返答。

「ええ、水を凍らせるだけなら簡単です!」

 頼もしい声に胸が熱くなる。これで決める。これで、この戦いを終わらせる!

「お願いします、シャーリーさん。この戦い、終わらせましょう!」

 ぼくは残された最後のカード……水計を掴む。掲げた瞬間、アカシックレコードに青い奔流が走った。カードがまばゆく輝き、戦場そのものが震える。

 そして……天から、滝のような水が落下し始めたのだった。


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