↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者かわいい ~知らんけど、たぶん猫ちゃんがオワコン世界を救うお話~  作者: PYON
第三章 アルゴス王国第五王女セレス

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
34/58

04

いける。ようやく、勝機が見えた。

 斧の軌道が読めてきた。最初の圧倒的な恐怖はもうない。俺は猫のように低く、しなやかに身をひねり、剣を刻み込む。浅い傷ばかりだが、確実に奴の身体を削っている。

 巨体が揺らぐ。呼吸が荒い。俺と同じように、疲労している。そうだ、これは根比べ。先に折れたほうが負ける。勝てる……勝てるぞ。

 俺はさらに踏み込む。斧の影をすり抜け、剣を打ち込む。鉄の皮膚に手応え。傷が積み重なり、ミノスは血で染まっていた。

「……これで、終わりだ!」

 俺は勝利を確信していた。そのときだった。

 稲妻のような轟音が背後から走る。バーミラ。あの雷の魔女が、一瞬だけこちらに視線を向けていた。

「ミノス、大丈夫か」

「はい……しかし苦戦を……」

「ならば、立て」

 バーミラの杖が天を裂く。次の瞬間、ミノスの頭上に闇が降り注いだ。それは炎でも雷でもない。癒しの闇。

 裂けた肉がふさがる。血が止まり、皮膚が再び硬化していく。刻んできた傷が、瞬く間に消えていく。

「……嘘だろ」

 全身が冷える。積み上げてきたものが、音を立てて崩れ去る。

「バーミラ様……感謝いたします!」

 ミノスが雄叫びを上げた。さっきまで疲弊していたはずの声が、獣の咆哮へと変わる。さながら死地から蘇った怪物。まるで、すごろくのゴール直前で「振り出しに戻る」に止まった気分だ。いや、それ以上だ。今度のミノスは、最初よりも速く、強くなっている。希望が、粉々に砕けていく音がした。

 勝てない。そう悟りながらも、俺は剣を構えるしかなかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。