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勇者かわいい ~知らんけど、たぶん猫ちゃんがオワコン世界を救うお話~  作者: PYON
第三章 アルゴス王国第五王女セレス

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仮面魔女シャーリー・メルク02

 わたしはダークエルフと向かい合った。

「おまえも魔導士か。我は魔王軍四天王……轟天の雷刃、バーミラ。さあ、魔術くらべといこう。人間ごとき、我が足元にも及ばぬがな」

 声と同時に、空気が震える。その存在だけで、戦場全体が圧迫されるようだ。

「わたしは氷の魔女、シャーリー。魔族の魔法、見せてもらうわ」

「ではまずご挨拶だ」

 バーミラが天に杖を掲げた瞬間、空が裂けた。轟音と閃光が重なり、稲妻が地を貫く。わたしの横に、黒煙を上げる巨大な穴が生じた。ただの「挨拶」でこの威力。中級どころか、上級魔術にも匹敵する雷撃だ。

「仮面をしていようと分かるぞ。わたしの魔法に圧倒され、心は怯えと絶望に震えている」

「それはどうかしら。むしろその饒舌さ……わたしの力を探っている証拠でしょう?」

 わたしが仮面をかぶる理由。シャーリーであることを隠すため……それもある。だがそれ以上に、表情を悟らせないためだ。魔術は精神のぶつかり合い。カードゲームに似ている。どのカードを切るかを読ませた方が負ける。仮面は、その揺らぎを覆い隠すための武器だ。

「ぬかせ!」

 次の雷撃が放たれた。今度はわたしを狙って。

「氷壁!」

 咄嗟に展開した氷の盾が、頭上に広がる。瞬間、稲妻が直撃した。

 轟音と光……しかし。氷は砕けなかった。それどころか雷撃を弾き返し、逆流させる。稲妻はバーミラの足元に落ち、石畳を爆ぜさせた。

 バーミラは目を細め、やがて低く笑った。

「ふふ……なるほど。思った以上にやるではないか。久しぶりに楽しめそうだ」

「ええ。わたしも同じよ」

 仮面の下で息を整え、無理やり口角を上げる。戦場の空気が再び張り詰めた。これは互角……いや、互角に見えるだけ。本当は一瞬でも気を抜けば即死する戦いだ。

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