01
「それで、かわいい。これからどこに行くんだ?」
俺は猫ちゃんに尋ねる。
シャーリーが仲間に加わったのはいい。だが……アントンにしてもシャーリーにしても、どうにも行き当たりばったり感が否めない。仲間選び、ほんとは適当じゃないのか?本当に考えて選んでいる?
……いや、最初から猫ちゃんの考えなんて読めた試しがないがないんだけどな。
願わくば、今度こそ"まともに使える仲間"であってほしい。正直、今のメンツは普通じゃなさすぎる。
「東の辺境に行くにゃん。仲間の匂いがするにゃん」
「東の辺境……?」
シャーリーが口を挟む。
「私が聞いた話だと、ちょうど魔王軍との戦争が起きているわ。砦も落ちかけで、持って数日って噂よ」
「そんな場所に仲間が?」
俺は眉をひそめる。
「俺と同じ騎士団の人間か何かか?」
「それがね、砦の援軍に派遣されるのは……第五王女、セレスだそうよ」
「王女?」
思わず声が裏返る。
「なら、魔法部隊や親衛隊が護衛につくはずだろ。そいつらの中に逸材がいるとか?」
「でも、セレス王女よ」
シャーリーは肩をすくめる。
「彼女は"ポンコツ王女"と呼ばれているの。剣も魔法もからきし。運動音痴で、本ばかり読んでる引きこもりって話」
「……そんな王女を、よりによって激戦地に?」
「王から疎まれているのよ。だから、見捨てるつもりじゃないかしら。砦ごと」
胸の奥がざわつく。俺もかつて、上に見捨てられたことがある。必死に戦っていた俺たちを置いて、領主は逃げ去った。あの時、猫ちゃんがいなければ部下たちは全滅していた。
「……なるほどな。つまり王は、セレス王女を"捨て駒"にしたってわけか」
「おそらくね。王女の軍も平民の寄せ集めだろうし」
「……ふざけんな」
俺は拳を握りしめた。
「そんなもの、許せるか! よし、みんな急ぐぞ。砦に向かう! 俺たちが魔王軍を叩き潰してやる!」
「にゃあ」
猫ちゃんは小さく鳴き、俺の言葉に同意するように尻尾を立てた。




