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勇者かわいい ~知らんけど、たぶん猫ちゃんがオワコン世界を救うお話~  作者: PYON
第二章 審問官シャーリー・メルク

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01

俺と猫ちゃんはミネルバの町に向かっていた。途中で……なぜか仲間が増える羽目になった。

 ことの始まりは道端。猫ちゃんが小柄な老人に声をかけたのだ。

「おまえはぼくの下僕になるかにゃ?」

「猫の下僕? 何を馬鹿なことを言う!わしはあの町を追い出されたんじゃ。かわいそうな老人を!あいつら許さん、特にあの騎士団長……!」

 ……あ、こいつ知ってる。

 あの戦争のとき、俺にクレームつけてきた老害じゃん。

「かわいい! そいつはやめろ!」

 俺は慌てて猫ちゃんを止める。

「あっ……おまえは!」

老人が俺を指差して叫んだ。

「おまえのせいでわしは! 責任取れ! わしみたいな弱々しい老人が町を追放されたんじゃぞ!」

 いやいや、弱々しいどころか、さっきから声量だけで熊が逃げるレベルだぞ。

「猫ちゃん、そいつだけはやめとけ!」

 俺は必死に説得する。

「勇者枠は5人までだろ? あんな奴入れたら足手まとい確定だ! 聞いただろ? 町でも嫌われ者! 同情の余地ゼロ!勇者枠の無駄遣い」

 猫ちゃんは「?」って顔で首をかしげる。

 ……うん、ちょっと難しかったか。猫ちゃんだし。


「こいつ、ごはん作るの上手いにゃん」

「……え?」

 俺と老人の声がハモった。なぜだ、なぜそんな情報知ってる。というか、料理スキルがパーティ加入の決め手なの? 勇者なのに?

「たしかに……わしは元宮廷料理長じゃった。だが今は……」

「それに、さっき『若かったら魔王軍くらい余裕で倒せた』って言ってたにゃん」

「おい! それはただの年寄りの戯言だろ!」

「とにかく、ぼくはこいつを下僕にするにゃん」

 ……あ、決めたな。

「……わかった。わしの力で良ければ貸してやろう。絶望しかなかった人生だが、残り少ない命……おまえらにくれてやる」

 いや辞退しろよ。格好つけてんじゃねえよ。

「じゃあ、これをおまえにあたえるにゃん。ぼくは猫ちゃんのかわいい……勇者にゃん!」

 猫ちゃんがキメ顔でそう言うと、老人の前に光が集まった。

 現れたのは……巨大なフライパン。

 ……武器じゃねぇのかよ!?

 「ありがたく拝命する!わしは元宮廷料理長アントン・ウィリアムズじゃ。よろしく頼む!」

 さっきまで呪詛みたいなこと言ってた奴が、急にキャラ変して跪くな!

 

 こうして俺たちのパーティに、足手まとい……いや仲間がひとり増えた。

 ……なんなんだよ、この茶番劇。


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