01
俺と猫ちゃんはミネルバの町に向かっていた。途中で……なぜか仲間が増える羽目になった。
ことの始まりは道端。猫ちゃんが小柄な老人に声をかけたのだ。
「おまえはぼくの下僕になるかにゃ?」
「猫の下僕? 何を馬鹿なことを言う!わしはあの町を追い出されたんじゃ。かわいそうな老人を!あいつら許さん、特にあの騎士団長……!」
……あ、こいつ知ってる。
あの戦争のとき、俺にクレームつけてきた老害じゃん。
「かわいい! そいつはやめろ!」
俺は慌てて猫ちゃんを止める。
「あっ……おまえは!」
老人が俺を指差して叫んだ。
「おまえのせいでわしは! 責任取れ! わしみたいな弱々しい老人が町を追放されたんじゃぞ!」
いやいや、弱々しいどころか、さっきから声量だけで熊が逃げるレベルだぞ。
「猫ちゃん、そいつだけはやめとけ!」
俺は必死に説得する。
「勇者枠は5人までだろ? あんな奴入れたら足手まとい確定だ! 聞いただろ? 町でも嫌われ者! 同情の余地ゼロ!勇者枠の無駄遣い」
猫ちゃんは「?」って顔で首をかしげる。
……うん、ちょっと難しかったか。猫ちゃんだし。
「こいつ、ごはん作るの上手いにゃん」
「……え?」
俺と老人の声がハモった。なぜだ、なぜそんな情報知ってる。というか、料理スキルがパーティ加入の決め手なの? 勇者なのに?
「たしかに……わしは元宮廷料理長じゃった。だが今は……」
「それに、さっき『若かったら魔王軍くらい余裕で倒せた』って言ってたにゃん」
「おい! それはただの年寄りの戯言だろ!」
「とにかく、ぼくはこいつを下僕にするにゃん」
……あ、決めたな。
「……わかった。わしの力で良ければ貸してやろう。絶望しかなかった人生だが、残り少ない命……おまえらにくれてやる」
いや辞退しろよ。格好つけてんじゃねえよ。
「じゃあ、これをおまえにあたえるにゃん。ぼくは猫ちゃんのかわいい……勇者にゃん!」
猫ちゃんがキメ顔でそう言うと、老人の前に光が集まった。
現れたのは……巨大なフライパン。
……武器じゃねぇのかよ!?
「ありがたく拝命する!わしは元宮廷料理長アントン・ウィリアムズじゃ。よろしく頼む!」
さっきまで呪詛みたいなこと言ってた奴が、急にキャラ変して跪くな!
こうして俺たちのパーティに、足手まとい……いや仲間がひとり増えた。
……なんなんだよ、この茶番劇。




